さて。今日は唯一の観光日。
昨日ライブがあったチェルトナムは、イギリスの有名な観光地コッツウォルズ地方(COTSWALS)にあります。 「蜂蜜色」と呼ばれるライムストーンを使った街並の村々が点在するこの地域は、もっとも英国らしい風景が残っていると言われ、日本でもイングリッシュ・ガーデンの番組などでよく紹介されています。
しかし、これだけ頻繁に英国に来ていても、まだこの地域を訪れたことがなかったので、これ幸いとばかりにさっそくコッツウォルズ巡りの計画を立てました。
ところが、この地方は公共交通機関の便が悪く、おまけにシーズン・オフの12月には観光バス・ツアーもありません。だからといってレンタカーを借りるほどの時間もないので、とりあえず今回はあまり欲張らず、チェルトナムから路線バスで行けるバートン・オン・ザ・ウォーター(BOURTON ON THE WATER)という町を訪れることにしました。
前日にチェルトナムの観光案内所でバートンへの行き方を聞くと、朝9時にバスがありました。でも、今回宿泊したホテルが少々変わったトコで、夜中はホテルのスタッフが誰もいなくなってしまうのです。そして朝9時に出勤すると言われていたので、荷物をどうしよう・・・。いざとなったらバス・ステーションにあった野ざらし一歩手前のようなコインロッカーに預けるか、と考えていたら、少し早めにスタッフがレセプションに来ていたので、無事に荷物を預けられました。
で、バス・ステーションにやってきたバスは、長距離バスのような、かなり豪華なバス。田舎のひなびたバスを期待してたからちょっと拍子抜け。でも、まぁ、ともかくドライバーから往復キップを買って乗り込みました。
なだらかな緑の丘陵地帯の風景の中を走ること30分、コッツウォルズの村々でも有名なバートン・オン・ザ・ウォーターに到着しました。
村の真ん中を川が流れ、「コッツウォルズのベニス」と言われるバートン・オン・ザ・ウォーターは、淡い黄色の石造りの家が立ち並ぶこじんまりとした愛らしい村ですが、旅行ガイド「ロンリー・プラネット」でコキおろされているように、観光客目当てのお店がズラリと並んでいます。夏などハイ・シーズンにはこの小さな村が観光バスでひしめくそうで、ううっ、想像したくないっ。
がっ、今日はあまりゆっくりとしていられる時間はありません。チェルトナムとの路線バスは日に4本ほどしかなく、1時半頃のバスでチェルトナムに戻らないと、予約してあるロンドン行きの列車に間に合いません。
なのでまず先に、ここから30分ほど歩いたところにあるスローター(the SLAUGHTER)という村へ出かけることにしました。
ネットから印刷しておいた地図だけを頼りにしばらく歩いていると、いきなり車が激しく行き交う国道みたいな道路に出てしまい、
「ほんとにこの道でいいのかなぁ。案内もないし。なんだか田舎の風景とは縁遠そうな雰囲気だぞ。」
と、かなり不安になりつつも排ガスの中をひたすら歩いていくと、ようやく「SLAUGHTER」と書かれた道路標示がありました。
その標識に従って脇道に入ると、やっと静かな田舎の小道だぁ。
それにしてもかなり寒いっ(涙)10時を回っても降りた霜や水たまりの氷が全然とけていません。でも水たまりの氷を見るなんてすっごい久しぶりで、なんとなく嬉しいです。
その田舎道を歩いていくと、やっとロウワー・スローター(LOWER SLAUGHTER)と呼ばれる村に着きました。教会と十数軒ほどの小さな家が集まる村で、その中にマナーハウス(昔の田舎の貴族の邸宅)を改造したようなホテルや、鴨やガチョウが遊ぶ小さな水路が流れ、村全体が淡い黄色で彩られて、絵本から出てきたような静かな小さな村でした。
そしてそこからアッパー・スローター(UPPER SLAUGHTER)という丘の上の村まで散策するのがお勧めらしく、散策路のルートを観光ガイドから印刷しておいたのですが、それが「右に水路を見ながら〜」みたいに言葉で説明してあるだけ。「実際に行けば分かるだろっ」と軽く考えていたら、さっぱり分からんっ(苦笑)
同じトコを何度も行ったり来たりして、「だ〜っ!面倒だっ!」と遂にブチ切れ。
FOOTPATHへのゲート
結局、素直に村にある標識に従って行くと、「パブリック・フットパス(PUBLIC FOOTPATH)」と呼ばれる小道に出ました。牧草地などの私有地を自由に通行できるように作られているフットパスは、TVの観光番組などでよく見かけていましたが、実際に通るのは初めて。ゲートを開けると、うわぁ〜ほんとに牧草地だぁ!
なだらかな緑の丘をフットパスが横切り、周りには黒い顔の羊だらけ(苦笑)「なんだ、コイツ?」という顔で羊たちが超至近距離でジッと睨んでる。突進してくるなよぉ〜(汗)
で、羊だらけということは、当然足下には小さなコロコロしたモンが無数に転がってます(苦笑)もう靴やジーンズがドロなのかフンなのか分かんないモンでドロドロ。
時々、同じように散策する人たちとすれ違い、「おはよう!」とか「ハロ〜!」と声を掛け合います。しかし・・・彼らはみんな完璧なトレッキング・ファッション。こちらといえば、黒いコートに革靴のライブ・ファッション(?)・・・だから羊が睨んでくるのか?(笑)そんな装備が必要だなんて知らなかったぞっ!
でも丘を登りきったところで後ろを振り返ってみると、凛とした冬の空気の中にイギリスらしい静かな緑の風景が広がっていました。は〜っ、昨日までとは別世界みたいだ。でも、あれも英国、これも英国、か。
そんな中を20分ほど歩いていくと、さらに小さな村のアッパー・スローターにたどり着きました。丘の斜面に蜂蜜色の家が数件と、ここにもこじんまりとしたマナーハウスがあり、とても良い雰囲気の小さな蜂蜜色の村でした。