シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月28日 part1/ペトラからアンマン、そして死海へ

朝、アンマン行きのバスについてフロントで聞くと「昼過ぎまであるけど、客が集まらなかったらバスは出ないから、10時頃までのバスに乗った方がいいよ」と言われました。ダンナに相談すると
「ペトラはもう充分見たよ。バスが確実にあるうちにアンマンへ行こう。」
と、いう訳で、せっかくペトラの2日券を買ったけど、アンマンに出発です。

バス乗り場に行くと、ちょうどアンマン行きのバスが待っていました。

乗り合いバスは乗客が一杯にならないと出発しないと言われますが、どうやら地元のお客さんは大体の出発時間を知っていて、その時間になると集まってくるようです。さらに常連らしきお客さんを途中で拾いながら街をグルリと回り、そして私達の泊まったホテルの先にあるホテルの前で泊まりました。「ここのお客さんを拾うのかな?」と、思っていると、あれっ?昨日ペトラで会った日本人カップルだ。

挨拶をして、お互いの話をし始めると、
「本当はレバノンに行く予定だったので、代わりにイスラエルに行こうかどうしようか悩んでいるんですよ(笑)」
ん〜っ、今はどちらもヤメた方が(苦笑)

ヨルダンの乗り合いバスの中で響く日本語の会話に、周りのアラブ人たちがおもしろがってました。


乗り合いバス

今回のバスはすぐにキングス・ハイウェイを出て、デザート・ハイウェイをブンブンと走っていきました。

そしてさらに道中で、高齢のおばあさんと付き添いの息子さんらしき2人が乗ってきました。最初は空いていた座席に別々に座っていましたが、ドライバーのオっちゃんが、2人掛けに座っていた若い子たちに「おまえら、席を移れよ!」と言ったのか、2人は素直におばあさん達に席を譲っていました。アラブの世界は人情がありますね。

約2時間でアンマンに着き、タクシーを拾ってホテルへ。そこはペトラのホテルが紹介してくれたホテルだったので、ちょっと心配でしたが、アンマンのダウンタウンに近いビルの2階にある新しいホテルで、若い兄弟らしいスタッフの感じもいい。BBC(イギリスの国営放送)も見られるし、部屋もまあまあだったので、とりあえず一泊お願いしました。

「さあ!ホテルも決まったし、今から死海に行くぞっ!」
「えっ!?今から?」
「この時間ならそんなに暑くないし、それに死海で夕日が見られる時間になるよ。」

フロントで車を頼むと
「えっ!?今から?明日じゃダメ?」
「今日はもう頼めない?」
「いや、ちょっと聞いてみるよ」
と、携帯をかけて
「今からでも大丈夫だって。死海に行くなら40ディナール、ネボ山によるなら50ディナールだって。」

「ネボ山って何?」とダンナ。
「あのね、映画の『十戒』で海を割ったモーゼが死んだ教会があるんだよ」
と、適当な説明をする私。そこも行きたかったからちょうど良い!
「死海に2時間くらい寄れる?それならネボ山も入れたコースでお願いします。」


モーゼが亡くなった地 ネボ山

30分ほど待つと車が迎えにきてくれました。ジャーファさんという英語が上手な陽気なドライバーの運転で、まずネボ山に向かいました。

小さな街の中を通ると、クラクションを鳴らしながら大騒ぎする車と何台もすれ違いました。ヨルダンの暴走族??と思ったら、「結婚式があったんだろうね」と、ジャーファさん。「今日は休日だからね。あちこちで結婚式があるんだよ。」そういえばアラブの結婚式は祝日の一日目である金曜日に行われるとアラビア語の先生が言ってたなぁ。

そして1時間くらいでネボ山に着きました。

ここは旧約聖書に書かれている、エジプトで奴隷だったユダヤ民族たちを連れてシナイ半島を渡った預言者モーゼが亡くなった地だそうです。そしてここに作られた教会のモザイクの床が有名だそうです。

低い山頂にある教会からは周りの風景が一望できます。そしてこの風景の中には聖書の舞台となった場所がいくつもあるそうです・・・が、私にはよく分からない(苦笑)でも低い山々が連なる乾いた赤茶色の風景には不思議な感動があります。

教会の中には精密できれいなモザイクが、あちこちの床に保存されていました。でも教会自体は再建されたものなのか、ほとんどプレハブの建物でした。しかし、ここは現在も重要な教会らしく、建物の中にはヨハネ・パウロがここを訪れた時の写真が飾られ、熱心なキリスト教信者たちが静かに祈っていて、荘厳な空気が流れていました。


教会のモザイク画

シリアやヨルダンを訪れると、この地域はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教が生まれた土地なんだという事がよく分かります。ロレンスが「3つとも同じセム民族が生んだ宗教なんだから仲良くやれるよね〜」と、軽く言い切ったのが(いや、こんな軽く言ってないけど(笑))なんだか分かる気がします。一体誰が世界をややこしくしているんだろう。

「こんなトコロがあるなんて知らなかったけど、いいなぁ。来てよかった」と、喜ぶダンナでした。


T.E.ロレンスを巡る旅

July / 2006 初のシリア・ヨルダン旅行へ

Feb/2006

May/2006

July/2007

番外編

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