シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月24日 part 1/ヨルダン入国、アズラク城へ

今日はヨルダンの首都、アンマンへ向かいます。しかし、ホテルのレセプションで聞いたところ、アンマンへのバスは、前日までに予約しなければいけなかったのだそうです。なので、乗合タクシーを使うことにしました。そのタクシーの乗り場は歩いていける場所でしたが、到着したものの、で?ここでどうすればいいの??と、思った途端、「どこだ?アンマンか?」と、すぐに声をかけられ、「2人で20ディナールだ。人数が揃ったから、すぐに出発できるぞ!」と、さっさと荷物をトランクに積まれてしまいました(苦笑)

ダマスカスの街を走っている黄色いタクシーを想像していたのに、それはキャデラックのような巨大なアメ車(でもフロントガラスがバリバリに割れてる(苦笑))タクシーの表示がどこにも無く、これに乗っちゃっていいの?(汗)

相乗りの客はエジブト人男性。そしてドライバー助手らしき相棒が乗り込み、5人でタクシーは出発しました。まずは郊外に出ると給油を済ませて、そこからはブンブンとスピードを出して一路、南へ(スピードメーターに針がなかったので、何キロで走っていたのかは不明です(笑))延々と続く砂漠の道を走り、ドライバーと助手はレイバンみたいなサングラスをかけちゃって、なんだか中東というより、70年代アメリカ映画のワンシーンの様。でもラジオからは、オリエンタルな音楽やアザーンらしきお祈りが流れてきて、不思議な感じ。

ダンナも、エジプト人も、グーグーと爆睡してますが、私といえば、途中の道路標識で「Deraa」の地名を見つけては、「デ、『デラア』って、ロレンスがトルコ軍につかまったあのデラア!?」なんて、1人で舞い上がってる。ロレンスが若き日々を過ごしたシリアから、いよいよ「アラビアのロレンス」の世界、ヨルダンに突入です!ロレンスは「反乱は、メッカ巡礼の道を逆に進む旅だ」と書いていましたが、私達はこれからダマスカスからアンマン、アカバと、またその逆を辿って行きます。


家がみっちりと立ち並ぶアンマンの街

途中で休憩しながら、2時間程でヨルダン国境に到着しました。こんな状況なので、シリアからヨルダンへの入国が厳しくなったと聞いていましたが、日本人のパスポートはほぼフリーパス状態。私たちが日本赤軍だったらどうする?!(って、ネタが古いぞっ!)一応、スーツケースが開けられ、大雑把にチェックされましたが、そんな時にドライバーが、
「今のうちに出国手続きをしてこいよ。」
えっ!?スーツケースが全開状態なのに??
「大丈夫だから行ってこい!」
ドキドキながらも出国審査の建物に向かうと、やっぱり出国手続きものんびりムード(笑)車に戻ると既に荷物は車に積み込まれていました。そこから車で少し進むと、今度はヨルダンへの入国手続きと両替。残っていたシリア・ポンドをヨルダン・ディナールに両替しました。もうレートなんて分からない(苦笑)だいたい1ディナール=1ドルかな?

ヨルダンに入国すると、突然、自分が逃げるようにシリアを出国した事に、少しの後ろめたさと寂しさが湧いてきました。きっとまたシリアに来るからね!人懐っこい笑顔だった人達の上に、爆弾なんか落とすなよっ!!

アンマンに到着して、バス乗り場「ムジャンマ・アブダリ」で降ろされました。目当てのホテルを探そうと地図を出した途端、今度はアンマンのタクシー運転手たちに囲まれました。そのホテルは確かこのバス乗り場のすぐ近くのはずなんだけど、分からないし、暑いし、運ちゃんたちはワーワーうるさいし、あ〜もうっ、乗ってやるぞっ!・・・と、勢いでタクシーに乗ってしまったのですが、なんだか思いっきりグルっと遠回りされてるような気が・・・しかも3ディナール請求され、なんとなく釈然としないなぁと思っていると、チェックインしたホテルの部屋から外を見ると、すぐ下にバス乗り場が(ホテルの裏側がバス乗り場に面していたんですね。)ちっ、ヨルダン到着早々にボラれちゃったぜ。

気をとりなおして昼食を探しに出かけると、そのバス乗り場にはいろんな屋台が。ダンナが適当に注文してみると、ラム肉を小さなコンロの炭火で焼いて、野菜と一緒に巻いたサンドイッチが出てきて、すんごいウマそう〜!(フンっ!私のタファル・サンドもウマかったよ!)これが2つで100円ぐらいなんだから、日本のケバブを買う気がなくなりそう。

旅も中盤に差し掛かり、この日は体を休めようと、ビジネスマン向けのやや高級ホテル(と言ってもツインで6000円程度)を選んだのですが、でも部屋でジッとしていると体がムズムズしてくる・・・今の状況を考えると、行きたい所にはサッサと行っておかないと、この先どうなるか分からないぞ!まだ昼の3時前だ!時間は充分ある!
「よしっ!今からアズラク城へ行こうっ!」
「はあっ??」

アンマン郊外の砂漠には、お城(デザート・キャッスル)がいくつかあり、中でもアズラク城、ハラナ城、そして世界遺産に指定されているアムラ城が有名です。特にアズラク城は、戦争中にロレンスの部隊が作戦本部としていた場所なのです。当然、見逃せないよね?


黒いアズラク城

しかし、砂漠の城では当然、交通機関が全くないので、レセプションに相談に行くと、すぐにタクシーを手配してくれました(40ディナールでありました。)待っていると、すぐに穏やかそうな人相のドライバーが迎えに来てくれ、まずはアズラク城に出発!ドライバーさんは英語は話せないけど、単語を並べながらあれこれアンマン案内をしてくれました。

比較的平坦だったダマスカスと違い、坂道だらけのアンマンは、斜面に張り付くように家々が密集しています。そしてアンマンを出ると、一転してまた平坦な砂漠地帯へ。道路に「イラク→」なんて書かれた標識を見かけると、
「もう少し行くとイラクだよ。行ってみるか?」
なんて笑うドライバーさん。いえいえ、今は遠慮しときます(苦笑)

そして1時間ほどでアズラク城に到着。砂漠の城と言われるアズラク城ですが、実際は、小さな村の横にあり、しかもお城が真っ黒でビックリ。この辺りでとれる玄武岩で作ったためですが、クリーム色や薄い赤茶色の砂漠の遺跡を見慣れた目には新鮮でした。ロレンスが撮影したこのお城の写真は白黒なので、こんな色だとは知らなかったんだよね。

そこはロレンス名所(?)には珍しく、入口に「アラビアのロレンスが使用しました」と書かれたプレートが設置されていました。さすが観光立国を目指すヨルダン!ヨルダン初代国王のアブドッラーはロレンスとはあまり仲良くはなかったけど、利用できるトコは利用するのね(笑)


「Used by Lawrence」と書いてある

さっそくお城の中に入ったものの、誰もいない・・・。確か、有料の遺跡なのに。

この遺跡は、3mくらいの四角い城壁に囲まれ、城というよりは城塞みたいです。壁の中に小さな部屋が並び、広場の中央に小さな建物があるだけ。ダンナと小部屋を見ながらウロウロしていると、いきなり大声で怒鳴られた(汗)それが管理人で、「チケットは買ってあるのか?」と聞かれました。でも、怒っていた訳じゃなくて、「ここでチケットを買いなさい。他の城は行ったか?このチケットは全部の城で有効だからね」と、丁寧に説明してくれました。


お城の中はこんな感じ

さらに「よければガイドしてあげようか?」と言われ、でも時間が無いしなぁ、と躊躇すると、
「大丈夫。30分くらいだから。タクシーなの?じゃあ僕がドライバーに言っておくよ。他のお城にも君たちが訪ねるから開けておくように連絡するよ。」
そんな訳で、今回の旅行で初めてガイド付きとなりましたが(パルミラ遺跡のジイさんはガイドになってなかったからなぁ(笑))やっぱり詳しく教えてもらえると、遺跡訪問は更に面白いですね。

城壁の天井に残る焼けた跡は、ここで寝泊まりしたベドゥインたちのたき火の跡だという話や、小さな建物はモスクだけど、元々あった建築をそのまま使っているので、柱にはギリシャ風装飾があるとか、流暢な英語で説明してくれました。


一応、レリーフなどが展示されています

Lawrence's Room

ダンナが「この人がアラビアのロレンスが大好きなんだ」と、管理人に話すと、
「えっ!そうか!ここはロレンスが好きな女性がたくさん来るんだよね。映画は見た?」
「うん!本も読んだよ。」
「本も読んだ!?じゃあ、僕のおじいさんを見たかもね!僕のおじいさんはロレンスの部隊にいたんだ。だからロレンスと一緒に写っている写真があるんだよ。こんなねじりヒゲをはやしてねぇ」
なんて笑いながら、当時ロレンスが使っていた部屋へ連れて行ってくれました。
「さあ、ここが今では『Lawrence's Room』と呼ばれている部屋だよ。」

そこは入口の建物の2階にあった広い部屋で、まさにロレンス自身が撮った写真にあった部屋でした。でも当時は藁や雑多なものが置かれていましたが、今はガランと何もありません。
「前もって連絡してくれれば、ここで一晩過ごすこともできるよ。良ければ今晩泊まるかい?(笑)」
でも・・・ロレンスの本によると、このお城は幽霊が出るんだよな。夜中に階段を上がってくる衣擦れの音がしたり、泣き声が聞こえたり。そんなトコに泊まるのはちょっとね(苦笑)

T.E.ロレンスを巡る旅

July / 2006 初のシリア・ヨルダン旅行へ

Feb/2006

May/2006

July/2007

番外編

その時々の興味のおもむくままに出かけた旅行記も書いていますので、良かったらどうぞ!

ペトロヴィッチに会いにオランダへ行こう!

元浦和レッズの選手ゼリコ・ペトロヴィッチの試合を観るため、オランダへ行ってきましたこちらからどうぞ→

THIS CITY IS HERE FOR USE■UKライブ日記

UKポスト・パンク・バンドのTHE FUTUREHEADSにハマり、彼らのUKツアー追っかけから、毎年のように出かけるロンドンでのライブ日記を書いてます。こちらからどうぞ→

DEFINITELY A MADMAN WITH A BOX

イギリスBBCが放送するSFドラマ「DOCTOR WHO」にハマり、イギリスでのファン・イベントに出かけた旅行記や、英国俳優ベン・ウィショーの舞台観劇レポなど、UKドラマや映画、舞台について書いています。こちらからどうぞ→

このサイトに関するご意見・ご希望は
管理人のきちっちまで