シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月23日 part 1/パルメラ遺跡


古いポスターが飾られたバロン・ホテル

朝、のんびり身支度しているとダンナが、
「BBCニュースで、アメリカがシリア攻撃を検討していると言ってるみたいだぞ・・・」
えっ!?どういうコト!?(汗)イギリスが紛争の仲介を断念したので、民兵組織ヒズボラを支援するシリアに対して、アメリカが隣のイラクから軍隊を送りこむかも、と言ってるらしい?本当なら、かなりヤバくない?どうする!?ダンナと協議の結果、パルメラ遺跡観光後にアレッポに戻る当初の予定を変更して、(帰国のフライトがアンマン発なので)いつでもヨルダンに行けるように、ダマスカスに移動することにしました。

車を手配してくれたホテルのオジさんに、パルメラ遺跡からそのままダマスカスに行きたいと相談すると、突然の変更だったのにOKしてくれました。
「今晩はダマスカスに泊まるの?大勢の人がダマスカスに来ているからホテルを予約しておいた方がいいよ。」
「レバノンから避難してきた人たち?」
「そう。今、ダマスカスはすごい人だよ。他の街は大丈夫なんだけどね。」
大勢の人たちがやっとシリアまで逃れてきているのに、そんなトコまで紛争に巻き込まれたら・・・。

「8時出発だからね。焦らなくていいよ。」と、オジさんは言うけど、連泊の予定が突然の出発に変わったので、準備は大慌て。こんなバタバタな中でバロン・ホテルとお別れかっ(涙)くそぉ、アメリカのバカ野郎っ!(でも後で考えてみると、アレッポの人々は全然焦ってなかったので、実はたいして緊迫してなかったのかもね。)

ロビーに出て行くと、オジさんとドライバーが待っていました。オジさんの名前はワリドさん、そしてドライバーは彼のいとこだと紹介されました。「さあ、出発っ!」と、ワゴン車に乗り込むと、あれっ?ワリドさんも来るの?どうやら通訳兼ガイド兼補助ドライバーとして同行してくれたようです。

アレッポから郊外に出ると、通りに沿って雑貨店や車の整備屋が並ぶ小さな町が続き、店先で孫と一緒に車のパンクを修理するおじいさんや、子供に店番をさせておいて、自分たちは店先に集まってお茶を飲んでいる大人たちがいたりして、自分が子供の頃は日本にもこんな風景があったなぁ。


シリアの田舎の家

さらに郊外に出ると、今度は土でできたドーム型の家が並んでいました。
「伝統的なシリアの家だよ。夏が涼しくて冬は暖かいんだ。このあたりはまだこういう家に住んでいるんだよ」
と、ワリドさんが教えてくれました。そんな小さな村で車を停めてくれ、家の写真を撮っていると、子供達が遠巻きにこっちを見てる。手を振るとまたしても「キャ〜っ」と逃げて行くけれど、戻ってくる度に人数が増えてる(笑)

そして気がつくと、車が村の人たちに囲まれていました(汗)なに?なに??ワリドさんが言うには、村の人たちが「ぜひ家に寄ってお茶でも飲んでくれ」と、誘ってくれているんだそうです。ワリドさんが「急いでいるから」と断ったけど、ちょっと寄ってもよかったかなぁ。でも「ちょっと」じゃ済まなかったかもね(笑)これが噂にきくアラブ人のホスピタリティ精神??


シリアの砂漠はこんな風景が何処までも続く

今回のドライブは話し好きなワリドさんが通訳してくれて、いとこさんも交えながらあれこれと話しをしながら、ほとんど対向車も来ない道をウネウネと走っていきました。ハイウェイと違い、今回は砂漠の真ん中を走る一般道だったので、丈の低い草がところどころ生えているだけで、ほんとうに真っ茶色の世界。「ハイウェイと景色が違うね」と言うと、「あっちの方が緑豊かで良いだろ?」と、ワリドさん。私達からすれば、この砂漠らしい風景が良いんだけどね。映画「アラビアのロレンス」の中で、フェイサル王子がロレンスに言った、「君も砂漠を愛する外国人か?ベドゥインは砂漠を愛さない。我々が愛するのは緑の大地だ。」というセリフを思い出しました。結局、人間は無いものねだりか。

そんな砂漠の中の道で、ワリドさんが突然、
「ラクダだっ!!」
えっ!?どこどこっ!!


ラクダ横断中!

ラクダの群れは行く

うお〜っ!!何十頭ものラクダの群れが道路を横断してる〜っ!!いっぱいいる〜っ!でかい〜っ!!
「これ、野生じゃないよね?」
「うん、ちゃんと先頭にベドゥインの少年が2人いたよ。」
バスでハイウェイを走っていたら、こんな風景は見られなかったかも。ちょっと得した気分!

そして、低い丘が続いていた風景の中に、だんだんと縞模様の断層が見える大きな山が現れはじめました。おおお、これぞまさしくロレンスが「知恵の七柱」の中で描いていた風景!おそらく雨期には水が流れる深い川の跡、そこに架けられた小さな木の橋を渡り、岩だらけの砂地の低い山を登る。「うんうん、こんな山越えのシーンが書かれてるよねぇ」なんて、一人でウキウキしていると、突然、目の前に現れた、崖のように急斜面の山の頂上に「アラブ城」が見えました。


砂漠の山々

「パルメラ遺跡に着いたよ!」と、ずっと寝ていたダンナを叩きおこしました。

世界遺産「パルメラ遺跡」は、シリアの東に広がるシリア砂漠の中にある都市遺跡です。紀元前1世紀にはシルクロードの隊商都市として栄えていましたが、3世紀のゼノビア女王がローマの支配を拒んだ結果、ローマ軍によって破壊されてしまい、その後は存在を忘れ去られていた都市だそうです。


山の上にあるのがアラブ城

崖の上のアラブ城

そして、3km四方に広がる広大なパルメラ遺跡全体を見下ろす事ができるのが、このアラブ城。絶壁のような急斜面で、ガードレールも何も無い細い道をグイグイと上っていき、そしてアラブ城に入ると、
「うっは〜っ!すげえ〜っ!!」
眼下には、地平線まで続く砂漠の中に広大な古代都市の跡がありました。

でも、このお城も観光向けの整備が整っていないので、どこへ行けばいいんだか、さっぱり分からない。少しウロウロしてると、あっさり迷子になります(苦笑)

そして山を下り、今度はパルメラ遺跡に向かいました。


迷子になるアラブ城

T.E.ロレンスを巡る旅

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July/2007

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