シリア・ヨルダン旅行　2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月26日 part 3／ラクダ散歩とアカバ観光

明け方、すさまじい轟音で目が覚めました。
「えっ！何！？飛行機！？まさか戦闘機？？」
しかし、よ〜く音を聞くと、「ガタン、ガタン」といってるぞ？？・・・どうやら近くを走るヒジャーズ鉄道の列車の音が、周囲の山々に反響していたみたい。あ〜驚いたぁ（汗）

砂漠の明け方は肌寒いくらいで、砂漠の気温差を実感。布団にくるまってもう一眠りすると、今度は蠅と蚊に起こされました。ロレンスも蠅には悩まされていたので覚悟していたけれど、まさか砂漠で蚊に刺されるとは（人家の近くで水があるからかな？）

今日は朝７時からラクダに乗せてもらうことになっていたので、早めに起きて朝食のホブスを食べました。そしてラクダ・ツアーは2時間で一人20ディナール（2000円ちょっと。）前日にムハマド君のお父さんが頼んでおいてくれたベドゥインのオジさんが、ラクダを２頭連れて来てくれました。

砂漠でラクダに乗るのなら、やっぱり純白のアラブ服でロレンス気分に浸りたいよねぇ！アレッポで購入した真っ白なアラブ服は持参してましたが、しかし、女性が頭布とアーガルを巻くだけで笑われたのに、さらに男性のアラブ服を着たら、どうなるんだ！？でも、幸いにもここにいるのはモハマド君の家族だけだ！え〜い、開き直ってしまえっ！とりあえず着ていた服の上からそのままアラブ服をかぶり、さらにロレンスが短剣を差していたベルトなどは、バッグのストラップでごまかして、とりあえず雰囲気だけでもロレンスですっ！そして白い頭布とアーガルも巻いて、足下もダマスカスで買ったラクダの皮のサンダル。どうだいっ！へへっ！

当然、モハマド家の皆さんにはウケまくりました。いやぁ、笑われました。要するに、日本に来た外国人女性が、サムライに憧れて浪人風コスプレしてる感じだよね。そりゃあ笑うさ。モハマド君には「ファティマ！ビューティフル・ベドゥインだよ〜！」と、大笑いされました。

さて、そんなコスプレ状態で、２頭のラクダに乗って砂漠ツアーに出発！ラクダを連れてゆっくりと歩くおじさんの鼻歌を聞きながら、静かな朝の砂漠を散策します。ラクダから落ちて骨折をする人が多いとか、30分も乗っているとお尻が痛くなるとか、事前にいろいろと見聞きしていたので、ちょっとビビっていましたが、そんな心配が必要ないほど、おじさんのラクダはとても穏やかでした。でも、ところどころに生える灌木を見つけると、そこに立ち止まってモサモサとすぐに食事タイムに入ってしまう（笑）おじさんも「モーニング！ハングリー！」と笑ってました。

そして１時間ほど歩くと、おじさんから「お茶、飲むか？」と、ラクダの鞍に敷いていた羊の毛皮と、おじさんのコートを地面に敷いてくれました。私の鞍にあったおじさんのコートは裏地が毛皮ですごく高級そう。そんなのを私達のお尻の下に敷いてくれていたなんて・・・。おじさんが枯れた小枝を集めて小さなたき火を作り、そして茶葉や砂糖も入れた小さなヤカンをたき火の中に入れて、紅茶を作ってくれました。さらにホブスをたき火の残り火に入れて暖め直し、クリームチーズを塗ってごちそうしてくれました。紅茶は甘くて美味しいし、ホームメイドらしきホブスは、この旅行で食べた、どのホブスよりおいしかったです。

帰り道は石だらけの谷間を抜け、ラクダも足が滑るのか、かなり揺れたので、さすがにちょっとお尻が痛くなりました。そういえばロレンスもよくラクダでこんな谷間を抜ける様子を書いていたなぁ。

と、こんな感じで、ロレンス気分を満喫した２時間でした。

そして約束の10時に、旅行社のオジさんが迎えにきてくれました。今回は欧米人カップルを連れてきていて、彼らは今日から２泊するそうです。ん〜っ、うらやましい。

ホテルに帰るとフロントのフタッフが、「砂漠はどうだった？テントで寝た？」と、ニコニコ聞いてきました。まずはお風呂に入り、そして砂だらけになった服を洗濯。それからアカバの街に出かけました。

アカバは、すぐ西隣がイスラエル、数十km南にはサウジアラビア、紅海を挟んで見える山はもうエジブト。そんな複雑な地理の中にあります（携帯なんて、ずっとエジプトの通信会社の電波を拾ってましたよ。）「あの山のあたりがイスラエルかなぁ」なんて言いながら、ビーチサイドをぶらぶら。

紅海は、海岸からでも海の底が見えるくらい真っ青に澄んでいます。そして空も抜けるような青さ。でも、アンマンから300キロぐらい南下したアカバは、海の近くで湿気も高いのか、これまでと違って空気がムシムシとしてる。汗が止まらない。

アカバ観光は、まずはアカバ城を訪れました。トルコ軍をアカバから追い出した記念碑が、入口に掛けられているそうなので、それなら多分ロレンスも足を踏み入れている・・・はず（笑）海岸通りのはずれにあるアカバ城はアズラク城に似て、四角い城壁に囲まれた遺跡。そしてやっぱり、ここも人がいない・・・。

しばらくアカバ城の中をウロウロしたけれど、さて、これからどうしよう。リゾート地のアカバでは、マリンスポーツくらいしかやることがありません。当然、街並みもロレンスがいた頃の面影もないし、とりあえずはアカバを訪れたというコトで満足だし・・・
「しょうがない。もう一度、ワディ・ラムに行こうかなぁ。」
「はあっ！？」唐突な私の発言に、慌てるダンナ。