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SLAVES 11.JUNE.2015 ■NEW SLANG@KINGSTON

2015年のフェスティバルの顔と言われた2人組ロンドン・パンク・・・じゃなくて、ロンドン郊外のケント出身のパンク・デュオ、スレイヴス(Slaves)!!

彼らを初めて観たのは2年前のレディング・フェスティバル(その話はこちらで→)。たまたま通りかかったBBCのステージで、小さな牧歌的なステージに似つかわしくない凶暴なパンク・サウンドに思わず足を止めてしまったのですが、これまた小さなステージに似つかわしくない大暴れの観客の向こうでドラムをひっぱたき、ギターをかき鳴らしていた2人組がこのSlavesだったのです。そこはまだ契約もしていない全くの無名バンドをBBCが紹介するステージでしたが、そこからはBBCの大プッシュを受け、Maida Vale(ビートルズで有名なスタジオ)でのスタジオ・ライブはネット配信されるは、老舗の音楽番組「Later」に登場するは、そして遂にメジャー・デビューの大出世!

そんな彼らがファースト・アルバム「Are You Satisfied」のリリースに合わせて、ロンドン郊外・・・と言うか、サリー州キングストン(Kingston)のクラブ、ニュー・スラング(New Slang)でライブを行うなんて、そりゃ見逃せません・・・でも、登録しているNew Slangのニュース・レターではアナウンスされず、たまたま「旅行中に何かライブ無いかな〜」とHPをチェックして知ったのだから、危うく見逃すトコでしたけど(汗)


Slaves

しかし・・・実はちょっと気になっていたのが、彼らの音の変化。BBCのスタジオ・セッションや、新曲を聴く限り、何だか、あのレディングで観た時のゴリゴリしたパンクな音ではなくなってしまったような・・・。まさかメジャーに行って、もう丸くなっちゃったのかっ!? いやいや、だからこそライブで確かめないとね。

このNew Slangというイベント。日本ではあまり有名ではないみたいですが、Kingstonの優良インディペンデント・レコード・ショップのバンケット・レコード(Banquet Record 年配の方にはBeggers Banquet Recordが運営していたレコード店と言えば分かるかも?)が主催するライブ&クラブのイベントで、マイナーなインディー・バンドからEverything Everythingのような昔はマイナーだったビッグ・ネームまで登場する、ロンドンを訪れるなら要チェックなイベントですっ!とはいえ、なにしろKingstonは鉄道かバスしか交通手段が無く、その上に終演が遅いので、観光客にとってはなかなか行きにくいクラブ。私も2008年にThe Futureheadsのライブで出かけた以来なので(その話はこちらで→)どんな感じに変わっているのか。

今回のライブはBanquet Recordでチケットを予約するとSlavesのニュー・アルバムが付いてくる・・・と言えばいいのか、ニュー・アルバムを買うとチケットが付いてくるのか(笑)ともかく(ほぼ)無料の大判振る舞いなライブ。ショップのサイトからアルバムを予約しますが、前回は受け取りが郵送しかなく、「日本から行くから当日の会場でお願いっ!」と強引にチケット予約したら快く対応してくれ、今回も受け取りについて問い合わせると「注文の時に"Collect at shop"を選択すれば大丈夫だよ」とすぐに返事をくれる、とっても良心的なショップなのです。

しかし良心的であっても店は19時に閉まってしまうし、それにお店で購入したCDやレコードを持ってSlavesのライブというのも危険だよね?という訳で、前日にお店を訪れてチケットを受け取り、レコードもあれこれ購入して、翌日あらためて再びKingstonへ!

Kingstonはロンドンのウォータールー(Waterloo)駅から近郊路線の鉄道で30分ほど(あ、Oyster Cardが使えますよ。)大きなデパートやショッピング・センターもあるので昼間は賑わっていますが、夜になると店もほとんど閉まってしまい、軽く食事でもと思ってもなかなか見つからない。結局、会場近くのケバブ・ショップでチップスを買っていると、いかにもNew Slangにやって来たって感じの10代後半と思しき集団もやってきた。彼らも注文を待ちつつ、その中の女の子が「パスポートを持ってきたの」と言うと皆んなが爆笑。「だって年齢証明が必要かもしれないから」という彼女に「それでパスポート?! マジかよ」と笑う男の子たち。いやいや、実は私たちも持ってます(笑)。New Slangは年齢制限がありますが、フツーはそんなトコでIDを求められることはありません(ましてやもはや疑われようのないほどの年齢ですから(苦笑))ところが7年前の時は入場でIDの提示を求められ軽い押し問答になってしまったので、今回はしっかりパスポート持参です。でもSlavesのライブなんて一番紛失しそうなシチュエーションだよ(苦笑)(で、結局、提示は不要だったんですけどね。)

現在のNew Slangの会場はHoppodoromeという、いかにも"クラブ"という感じの造り。1000人くらい入りそうですが、少し後ろだと全くステージが見えなくなりそうなので、とりあえず柵前を確保してサイダー(リンゴの発泡酒)でも飲むかとバー・カウンターに行くと、置かれていたのは最近のライブ会場でやたらと売られているREKORDERLIGという缶入りのスウェーデン製のサイダー。ブラックベリーやストロベリーから作られた発泡酒らしくてメチャクチャ甘い・・・そして他のアルコールは瓶詰めのままで売られていて、えっ?今日はそれはマズくないかぁ??

そんな甘ったるいサイダーを飲んでいるうちにサポート・バンドが登場。地元のパンク・バンドって紹介されてましたが、あれっ?外でチップスを買ってた子達だ(笑)音はまぁフツーにアメリカンなオルタナティブ・パンク。一緒にいた子達が盛り上がってました。

彼らの演奏が終わるころには客席はパンパン。10代からオヤジまで意外と幅広いファン層で、さすが「The Gardian」誌に「親子で楽しめるファミリー・バンド」って評されただけはあるぜっ(笑)おまけにどいつもこいつも、
「俺、クラウド・サーフ、やっちゃおうかなぁ」
なんてニヤニヤ顏してやがる(苦笑)

で、そんなヤツラがひしめく会場でDJがDrengeの「Backwaters」をかければ、観客大合唱!歌うのか!? Drengeを!? しかも間奏のギター・リフまで「ダダッ!ダダッ!ダァダダァダダンダン!」と大合唱! それも歌っちゃうのか!?(笑)

と、すでにヤル気満々な観客の前にアコギを弾きながら「Are you satisfied?」とスローテンポで登場した刺青だらけのイカつい2人。軽く客を煽ったかと思うと「HELLO!! KINGSTON!!」と叩きつけるようなドラムでスタートしたSlaves!! うおおっ!前言撤回っ!あんた達、ちっとも変わってないぜぇぇ!!と、嬉しくなったのは良いんだけど、うぎゃあ!後ろがモッシュ!モッシュ!で大暴れ!ガキもオッさんも満面の笑みで大合唱!Slavesも歌っちゃうのか!?(笑)


親子で楽しめるSlaves(笑)

「Kingstonから来た奴はいるか?Kentは?ロンドンは!?」とIsaacの問いかけに雄叫びで答える観客。そして始まった「Cheer Up London」!! 「You're already really dead!!」と、またしても観客は大合唱!! 客が盛り上がってくるとどんどんパワー・アップしてくるSlaves。彼らも観客もめちゃくちゃ楽しそうなんだけど、心配した通りに酒の瓶がバンバンとステージに向かって飛んでくる(汗)でもそんなのにお構いなしのメンバー!うわっ!飛んできたビールの中身が頭にブッかかってきたぁ!ビールでベタベタ・・・ん?ビール?じゃないっ!あの甘ったるサイダーだぁ!うげぇ、頭がベトベトだ(涙)

頭はネトネトになるは、後ろから潰されるは、頭は蹴られるは。前日にクラシック・ホールでPerfume Geniusを観てたとは思えない落差(笑) でも笑いが止まらない。レディングで観た時に一気に引き込まれた、彼らのワイルドで疾走するような勢いは健在だぁ!

そして「Feed the Mantarey」ではお約束のマンタくんがステージに飛び出してきてクラウドサーフ!最後にはメンバー2人も客の上に飛び乗り、大歓声のSlavesのライブでした。いやぁ、楽しかったです。


マンタくん登場っ!

と、余韻に浸る暇もなく、ライブ終了後はそのまま大急ぎでKingston駅へ。New Slangはライブ終了後はDJがインディーズ系をかけまくるクラブに変わるんですが、終電に乗り損ねるとロンドンの中心地までナイト・バスに1時間揺られて帰るハメになってしまうのです。

他のお客さんたちと一緒に足早に駅に向かい、時間に間に合ったぁ・・・と思いきや、あれ?駅の扉が閉まってる?どういうこと!?と焦ると、「こっち、こっち」と一緒に帰っていた人たちが手招きしてくれました。あ、夜間は別の出入り口になるのね。

ともかく終電ひとつ前の列車に乗りこんで、ホッとしていると、ドアが閉まる寸前に飛び込んで来た人が・・・あれ?SlavesのVincent(ギター)!?えっ?あんた、電車で帰るの?? 観客ですら乗るのがギリギリの時間の電車をアテにするミュージシャンなんて初めて見た(笑)しかも席に座った後はずっと乗換案内を検索して「これなら最終の地下鉄に間に合いそうだ」とが言ってる(笑)

電車がWaterloo駅に到着すると、出入口が開くのを待ち構えるVincent(笑)足早に降りていく彼を他の車両から降りてきたファンが見つけ、慌てて追いかけていったけれど、「ごめん!乗り換えに間に合わないから!」と謝って地下鉄駅へと小走りに去っていったのでした。

と、ロンドン以上に盛り上がるNew Slangのライブ、そしてミュージシャンと一緒に電車で帰れる特典付き(笑)ロンドンに行かれる時はぜひチェックしてください!

このサイトは、UKバンドのTHE FUTUREHEADSを中心にイギリスで観てきたライブのレポを書いてます。 他にもイギリスにまつわるいろんな話題を書いていますが、イギリスまで遥々と出かけたくなるような楽しさが 少しでも伝われば、そしてイギリスへ遥々出かける方の少しでもお役に立てればと思っています。

イギリス・ライブ・レポ June 2015

■Rough Trade Instore Live■
■TORRES■PINS■GIRLPOOL■

■East India Youth■
4.June Village Underground

■Sauna Youth■
5.June The Old Baths

■Field Day ■
6-7.June Victoria Park
part.1 / part.2
Savages/Django Django/Spector/
Eagulls/Outfit/Ducktails/Viet Cong/
Diiv/Boxed In/Telegram/Happyness/
Bad Bleeding/Hooton Tennis Club etc.

■Perfume Genius■
10.June Royal Festival Hall

■Slaves■
11.June New Slang Kingston

■Band of Holy Joy■
12.June The Macbeth

■Long Division 2015■
13.June at Wakefield
Fat White Family/Hyde and Beast/
The Lovely Eggs/Man Made/
Menace Beach/Her Name is Calla/Ash etc.


これまでのライブ・レポートetcはこちらから→