EAST INDIA YOUTH 4.JUNE.2015 ■VILLAGE UNDERGROUND
イースト・インディア・ユース(East India Youth)ことウィリアム・ドイルはロンドンを中心に活動するエレクロト・ポップ・ミュージシャン。2ndアルバム「Culture of Volume」がリリースされ、イギリスの音楽紙でも話題になっていたのでどんな音楽なのか気になっていると、ちょうどイギリス滞在中に彼のUKツアーの日程がハマりました。
でもロンドンでのライブの日には、同じように最近話題の女性フォーク・シンガー、SOAK(ソーク)のライブもあり、どっちもまだ聴いたことがないし、どっちに行こう?なんて悩んでいると、会場が小さいSOAKのライブは早々にソールド・アウト。じゃあEast India Youthに行こうかなぁ、でもダンス系の音楽みたいだからどうしよう、なんてまだグズグズ考えていると、今度は彼のチケットも残り僅かになってきた。う〜、いいや!買っちまえ!と決心したけれど、ライブに行こうか悩む前にYouTubeなんかで音を確認すりゃいいだろ、と自分でも思います(苦笑)
こんな感じのVillage Underfround
ライブ当日は近くのラフ・トレード・イーストでTORRESのインストア・ライブを観てから(その話はこちらで→)会場の「ビレッジ・アンダーグラウンド」(Village Undergroumd)へ。途中でブリック・レーン(Brick Lane)のベーグル・ショップでベーグルを食べたりしたのに、会場に着いた時はまだサポート・バンドのライブの真っ最中。ロンドンはメインのライブが始まるのが遅いんですよね。
この日のライブが行われたリバプール・ストリート駅周辺のショーディッチ(Shorditch)やホクストン(Hoxton)は、20年ぐらい前ならとてもじゃないけど観光客は近寄りたくない!という地域でしたが、最近はロンドンで最もクリエイディブな地域と言われる程に様変わりし、ライブを観に行く回数も増えました。会場に歩いていく時も、おしゃれなショップやカフェが並び、新しいロンドンを感じさせる一方で、20年以上前から変わっていないベーグル・ショップや、落書きだらけの裏通りが残り、それでいて、いかにもバブリーな人たちが高級車で乗り付けて不動産屋のオープニング・パーティを開いていたりと、なんともロンドンらしいカオティックさを感じさせてくれます。
そんな地域にあるこのVillage Undergroundもここ数年で名が知られるようになったインディーズ系のクラブで、屋根の上に乗っかっている地下鉄の車両がこの辺りのランドマーク的存在になっているビルの中にあって、大きくはないけれど、高い屋根とレンガ造りの壁が、Warehouse(倉庫)を改造したようなインダストリアルな雰囲気がイイ感じのクラブです。
そしてEast India Youth自身も、彼が住んでいたロンドンのさらに東にあるイースト・インディア地区の地名から名前をつけたそうで、そんな東ロンドンつながりな彼のライブは、良い意味で予想を裏切ってくれました。
1000人余りの観客の前に黒いスーツ姿で1人で登場したウィリアム・ドイル。ステージの(ちょっと)片隅に備え付けたシンセサイザーやMac Bookに埋もれて1人で全ての音を作り出し、時にはベースまで演奏する彼の音は、意外にも「打ち込み」と言うより ずっとライブ感に溢れているのです。そして「Looking For Someone」や「Turn Away」の曲のように彼のちょっと線の細い歌声から生まれるメロディーの美しさは、一度聴いたら忘れられない。その美しいメロディーがエレクトリックな音と一緒になって高い天井へ広がっていくと、心地よくて、踊るよりも曲に聴きいってしまう。
だから観客もダンス系なノリを期待した人たちかと思っていたのに、実はとてもロック系な人たち。好きな曲に歓声を上げて一緒に歌い、彼の曲が聴きたくてライブに来たって感じが伝わってくるのです。だからなのか客層も10代から50代ぐらいと幅広くて、East India Youthがロック・ミュージックとして受け取られているんだなぁって良く分かる。
最後の曲ではマイクを持ってステージ前に出てきてボーカルに専念するウィリアム。ちょっとぎこちないながらも観客の歓声に答え、すごく楽しそう。実はボーカルがやりたいんだろうか。次に彼のライブを観る時にはバックバンドと一緒にやってるかもね。
アルバムや、ましてやYouTubeの1曲ではきっと分からなかったEast India Youthのロック感覚を知る事ができたのは、やっぱりライブだからこそ。音楽はライブを観てみなきゃ分からないね、と、あらためて実感させてくれたライブでした。