THIS CITY IS HERE FOR YOU TO USE

ROUGH TRADE INSTORE LIVE JUNE.2015 ■TORRES■ PINS ■GIRLPOOL■

ラフ・トレードと言えば、80年代にはザ・スミスなどを輩出したラフ・トレード・レーベルを運営し、ちょっと年配な(人のことは言えませんけど(苦笑))UK音楽好きなら知らない人はいないという伝説的インディーズ・レコード・ショップ。そして今でも良質なインディーズ音楽を発信しているこのショップで行われるインストア・ライブですが、これまでなかなか行くチャンスが無かったのに、今回の旅行がちょうどニュー・アルバムのリリース・ラッシュの時期に重なったのか何なのか、突然3回も観に行くチャンスに恵まれましたっ。
とはいえ、その3回とも観たことも聴いたこともないアーティストたち。でもラフ・トレードがプッシュするのなら、間違いないでしょ!?しかも無料なんですから(苦笑)

今、ロンドンで一番オシャレと言われるショーディッチ(Shorditch)地区。アンテナ・ショップやマーケットの中にあるラフ・トレード・イースト店は、真っ白な店内にレコードからアート本まで並び、ちょっとしたカフェまであって、本店のウエスト店の薄暗くて何がなんだか分からないくらいにレコードが詰め込まれた店内を知っている人からすると、気が引けてしまうくらいにオシャレ。そんな明るい店内の片隅に常設された小さなステージで行われたインストアは・・・

TORRES - 4.June.2015


アメリカのブルックリンで活動する女性シンガー、トレス(TORESS)ことマッケンジー・スコット。今年リリースした2ndアルバム「Sprinter」がとっても好評で・・・なんて程度の知識しか持たずに向かった彼女のインストア・ライブですが、普段はバンド・メンバーがついたライブらしいけど、この日はエレギ一本というシンプルなスタイル。写真で想像していたより小柄ではにかんだ笑顔を浮かべながらステージに現れた彼女にアコースティックっぽい音を想像していたら、良い意味で裏切られ、30分あまりの短いライブはポスト・ロックに近いようなザラザラ感がカッコいいニュー・フォークでした。アメリカらしいメロディー・ラインに印象的なギター・リフ、感情を少しづつ絞り出していくような、どこかぎこちない彼女の音楽は、硬質で生々しくて、グッと引き込まれてしまうライブでした。

PINS - 8.June.2015


マンチェスターのガールズ・パンク・バンド、ピンズ(PINS)は2ndアルバム「Wild Nights」のリリースに合わせたインストアですが、このアルバムが、Queen of The Stone AgeやEagles of Death Metalのメンバーが参加し、マーク・ロンソンも手がけた人がミックスを担当してるそうで、そんな大御所なオッさん達の強力なバックアップのもとで制作されたなんて、それはオッさん達が惚れ込むようなバンドなのか?いやいや、単に事務所の力なのかっ?

それを確かめるべくラフ・トレードに向かうと、小さなステージはまだ20歳そこそこの4人(プラス1人。新メンバーなのかヘルプなのか)の女の子たちでギュウギュウ。フレアのショート・スカートに皮ジャン、サングラスなんて、80年代ロック少女みたいなルックスに、ふうん、こんなバンドに対してはロックおばさん採点は辛くなっちゃうのよねぇ、なんてちょっとばかり上から目線でいたけれど、ライブが始まった途端、うわぁ、イイよ!イイよ!このバンドっ!と、すぐにオバさんはノー・ガードになってしまいました(苦笑)

本人たちがヴェルヴェット・アンダーグラウンドが好きだと言うように、ルー・リードっぽいダークなけだるさ、ゴーゴーズみたいなガールズ・パンクのキラキラ感、そこにライオットガールの挑発的態度がミックスされたような彼女たちのパンク・ロック。荒削りでチープで・・・要はヘタクソなんですけど(笑)でもちょっと背伸びした可愛さと、イキの良さに引き込まれちゃう。しかもこういうイギリスの若いバンドって、なんか「勘所」が良いっていうのか、キュッとハートを掴んでくるようなメロディーやリフを作るんだよねぇ。ステージ前に集まっていた耳の肥えたインディーズ親父たちを満面の笑顔にしてしまう、そんな魅力に満ちた彼女たちでした。オススメっ!

GIRLPOOL - 9.June.2015


前日のPINSのライブで時間ギリギリにホテルを出たのに余裕で間に合ったので、この日も調子付いて、のんびりとホテルを出たらバスを1本逃してしまい、ショップに到着したらすでにライブが始まっていました。7時を少し過ぎただけだったのに時間にキビしいバンドだなぁ。

この日のインストアは、他になんにも見に行くライブがないのでとりあえずやってきたというぐらい、全くの予備知識無しで観たバンド。でもそれがメチャ良かったのです!!

ロサンゼルスを中心に活動している真ん丸顔の女の子2人組のこのガールプール(Girlpool)。1stアルバムの「Before the world was big」に合わせてインストア・ライブを行った彼女たちは2人がギターとベースを弾きながらツインでボーカルをとる、ちょっと変則なスタイルのバンドですが、DIY感満載なスカスカな音に、まるで女の子がお喋りしてるかのようなノイジーで可愛いツインボーカルが絡んで、アメリカっぽくて、どこかノスタルジック。アメリカの郊外の庭で撮影された7mmのホームビデオの短編映画を観ているみたいで、なんとも気持ちが良くなる音楽。たまたまなのに良いバンドのライブに当たったぜっ!

インストアという「どんなモンか見てやろう」的なお客がやってくる場所でも、全く気負う事なくのびのびとしたライブを観せてくれた可愛い彼女達。ライブが終わっても店内をウロウロして、お客さんと話したり、この後で一緒にツアーをやるWaxahatcheeとキャッキャとはしゃいだりしてました。そして閉店したカフェのおニイちゃんに売れ残りのドーナツをもらい、大喜びでパクつきながら、まだ明るいショーディッチの街に消えていったのでした。


と、全然知らずに観に行った3アーティストですが、やっぱりラフ・トレードのチョイスに間違いは無かったですっ。
このイースト店が誕生するよりずっと以前に出かけたラフ・トレード主催の無料ライブ。その時に感じたDIY精神が今でもまだ息づいているんだなぁと改めて感じさせてくれるインストア・ライブでした。


ラフトレのトイレの注意書き。
「ROUGH TRADE TOILET」ってタイトルがなんか良い。

なので、ロンドンに行ったら何かライブを観てみたいと思われている方に是非オススメのライブですっ!
ライブの予定はオフィシャルのサイト(ここからどうぞ→)の「EVENTS」から。ロンドンは"EAST"店と"WEST"店(ノッティング・ヒル・ゲートの本店)になります。

知らないアーティストでも30分程度の短いステージなので、気軽に観られますし、なにしろ無料ですから(笑)それにショーディッチ界隈でのライブなら、ここに寄ってから会場へ向かうことも可能ですし。今回、Torresのライブの後にVillage UndergroundでのEast India Youthのライブに行きましたが、余裕で間に合いました (イギリスでは大抵のライブでメインのステージが始まるのは21時頃なので。ただし例外もあるでしょうから、一応ちゃんと時間をチェックして下さいね。)

無名のアーディストがほとんどですが、日によってはよく知られたアーティストも出演します。私たちが帰国した日にはBlurがライブをやったそうですよ。ただし、そんなビッグ・ネームはファンにしか告知しないので、フラッと出掛けて観るのは無理ですが、でも、それよりたまたま観に行ったバンドがすっごく良かったりする方が楽しいっすよね?

インストアは基本的に無料ですが、一応入場制限はあるので、どうしても観たいライブがある場合はあらかじめリストバンド付きCDを購入しておくと安心です。サイトの「EVENTS」のページから購入できますが、「店頭受け渡し」のみなので、送付先で日本の住所が指定されていると注文ができません。 その場合はUKの住所にしておけばちゃんとお店で取り置きしておいてくれます。(ショップに問い合わせたところ、ショップの住所を使っても良いとアドバイスされました。その住所にしておけば、どこか間違って郵送されちゃう心配が無くてベストかも。)

・・・と、言っても、紹介したこの3回のインストアはどれでもお客さんは3,40人くらいだったので、そんな心配は不要かもしれませんが。

そんな少ないお客さんの中で、いつもステージ前には決まったオジさん集団がいて、耳の肥えた筋金入りのインディーズ音楽ファンって感じの方たちですが、私たちと同じようにEast India Youthのライブ(その話はこちら→)を掛け持ちしていたり、後日に観に行ったSauna Youthのライブ(その話はこちら→)に居たり。The Futureheadsのロンドンでのライブでいつも一番前にいたニイちゃんらしき人も居たなぁ。こっちは「うわっ!またいるよ、あの人!」なんて笑っていたりしていましたが、そんな風に自分たちが笑っている時って、実は相手からも「うわっ、また来てるよ!」なんて笑われていたのかも(苦笑)

このサイトは、UKバンドのTHE FUTUREHEADSを中心にイギリスで観てきたライブのレポを書いてます。 他にもイギリスにまつわるいろんな話題を書いていますが、イギリスまで遥々と出かけたくなるような楽しさが 少しでも伝われば、そしてイギリスへ遥々出かける方の少しでもお役に立てればと思っています。

イギリス・ライブ・レポ June 2015

■Rough Trade Instore Live■
■TORRES■PINS■GIRLPOOL■

■East India Youth■
4.June Village Underground

■Sauna Youth■
5.June The Old Baths

■Field Day ■
6-7.June Victoria Park
part.1 / part.2
Savages/Django Django/Spector/
Eagulls/Outfit/Ducktails/Viet Cong/
Diiv/Boxed In/Telegram/Happyness/
Bad Bleeding/Hooton Tennis Club etc.

■Perfume Genius■
10.June Royal Festival Hall

■Slaves■
11.June New Slang Kingston

■Band of Holy Joy■
12.June The Macbeth

■Long Division 2015■
13.June at Wakefield
Fat White Family/Hyde and Beast/
The Lovely Eggs/Man Made/
Menace Beach/Her Name is Calla/Ash etc.


これまでのライブ・レポートetcはこちらから→