FIELD DAY 6-7.JUNE.2015 ■VICTORA PARK LONDON part 2
前日の土曜日にバスで失敗したので、日曜日は別ルートのバスでの会場入りに挑戦っ!
前日はフェスティバル会場であるビクトリア・パークの中を通る道路が夜に閉鎖されてしまい、帰りのバスが拾えなかったので、この日は泊まっていた東ロンドンのStratfordから違うルートのバスで会場に向かったのですが、「へへへっ、今日こそ帰りに駅まで歩かなくてすむぞっ」と思っていると、いきなりダンナさんが「夜にこのバスに乗りたくない」と言い出す。確かに言われてみればなんとなく車窓から見える街並みがすさんでいるような・・・。と、道路標識を見ると、わっ!ここがタワー・ハムレッツ(Tower Hamlets)地区なの!?
FIELD DAY自体はこんなのどかな雰囲気
東屋がDJブースに早変わり
この地区は移民が多く、サッチャー政権の頃はヘイト・クライムが多発して「そんな怖いトコ、絶対に足を踏み入れないっ」と思うような地区でしたが、その後の東ロンドン再開発の結果、ロンドンで最も高給の人たちが働く地域と、ロンドンで2番目に失業率が高い地域が混在するような街になったとか(Wiki参照。)バスがビクトリア・パークに近づいてくるとオシャレなカフェやレストランもあって雰囲気も変わりますが、確かに夜遅くには乗らない方がいいかもね。東ロンドンがトレンドな地域と宣伝されていても、まだまだ虫食いのような状態なんですね。とりあえず今日も帰りは地下鉄まで歩くかぁ・・・。
そして今日もまた開場前に到着。ダンス系出演者が多かった土曜日に比べて、この日はインディー系バンドが中心。だからなのか、芝生の上でゴロゴロしながら待ってる人たちのほとんどが独りモンなんだな(苦笑)そして会場に入ると、皆んな、音が鳴っているテントへとズンズン突き進んでいく(笑)バンド系のお客さんたちは貪欲だなぁ。
なんて笑っていても、私たち自身もクラフト・ビールを買ったあとはズンズンと彼らの後をついていく貪欲なバンド系の客なのです。
この日のオープニングはメイン・ステージに登場したグラスゴーのポスト・ロック系バンド、エラーズ(ERRORS)。 同郷のMogwaiのサポートなどで知られたバンドですが、良くも悪くも彼らより穏やかなエレクトリック・サウンド。だからこんなフェスティバルで、晴天の芝生の上で聴くにはちょうど良い感じでしたけど。まだ少ないお客さん達もまったりと楽しんでました。
Eagulls
そして次にメインに登場するのは、楽しみにしていたイーガルス(Eagulls)!!リキを入れてステージの前に行くと、柵は年配のおじさんたちがズラリと(汗)この日はパティ・スミスが出演するので「すでにステージ前の場所取りか!?」と思いきや、Eagullsが登場する前にどこかへ行ってしまい、気がついたら私がステージ真ん前に(汗)あのおじさん達の目的は一体??
ともかく昨年リリースされた1stアルバムを聴いてからずっとライブが観たかったEagulls !! リーズ出身のポスト・パンク・バンドの彼らの音はJoy Divisionをもっと攻撃的にした感じ・・・というか、要するに日焼けしそうな晴天と芝生がとにかく似合わないバンドってコト(苦笑)1stアルバムの曲を中心にミドル・テンポな新曲も披露。シャープな音でカッコ良いんだけど、とにかく日差しを浴びたメイン・ステージが似合わないよぉ(涙)バンドも広いステージをちょっと持て余し気味。良いバンドなのに悲しいわぁ。とはいえ、ステージ前に集まった熱心なファン達は歓声で彼らを盛り上げてました。
どれがバンドでどれが客なのか(笑)のBad Bleeding
ちょっとだけ残念だったEagullsのステージが終わると、そのまますぐに一番西端の「MOTH CLUB」テントへ。でも日曜日は前日より会場自体が2/3程度に縮小しているので、端っこでも5分程でたどり着けますが、そのテントではバッド・ブリーディング(Bad Bleeding)がライブの真っ最中。彼らのハードなオルタナディブ・パンクな音で客席にはモッシュ・ピットが出来上がっていましたが、あれ?でもステージにボーカルがいない。ボーカリストがいないバンドなのか・・・と思っていたら「下、下!」と笑うダンナ。うひゃ!モッシュ・ピットにボーカルがいる(笑)ステージを降りて、モッシュ・ピットの中で客たちを睨みつけているボーカルに、サークル状態で彼を取り囲んで楽しそうな観客。そして下の事なんて目にも入らないかのようにステージ上で楽器をかき鳴らすメンバー達。のどかなこのフェスで唯一大暴れなライブで盛り上がったBad Bleedingでした。
そしてまたメイン・ステージに戻って次はダイーブ(Diiv)。注目のNYのサイケ・バンドですが、楽しみにしていた2年前のレディング・フェスではキャンセルされてしまったのです。ようやく観たDiivは、ボーカルは女の子かと間違えそうなぐらい小っさな体で、そんな彼らの音はドリーミーなサイケ。メインの広いステージでも全然気後れしていない。すでにビッグ・バンドな雰囲気を醸し出してる・・・なんて、2曲ほど聴くと、今度はShacklewell Armsステージへ。昨日のヒマっぷりとは打って変わって、日曜日はバンドの出演時間がカブり過ぎ(涙)もう少し2日間に分散して欲しいわぁ。
こちらのステージに登場したのはカナダのポスト・パンク・バンドのベト・コン(Viet Cong)。ポスト・パンクというよりこちらもサイケデリックで、もっと骨太でインディーズな音。メンバーのオッさんな雰囲気のせいか、なんだか大好きだったSix by Sevenを思い出すなぁ。ヘヴィーでカッコいいんですが、でも隣のVerityステージでのハピネス(Happynes)も観に行きたい〜っ!よし、次の一曲が終わったら移動しよう・・・と思うと、案の定、サイケなバンドは1曲が長い(苦笑)
Viet Cong
ともかく、30分ほどで一人でViet Congのライブから抜け出して隣のテントに突入。そこでライブ真っ最中だったのがロンドンの3人組ニューカマーHappyness。どんな音なのかもチェックせず、とりあえずNMEでニューバンド紹介されていたので観たかったんですが・・・むむぅ、普通に特徴もないアメリカンなロックを演ってる・・・。こんなバンドが注目かよぉ?! Viet Congのライブを途中で諦めるんじゃなかった!とプンプンしながら、でもViet Congはもう終わってしまったので、メインでDiivを再度チロ見。
Happyness
ところが、Viet Congが終わってからちゃっかりVerityステージに移動していたダンナ。
「Happyness、面白かったぁ。」
え?全然面白くなかったよ!?
「そう?最後しか観てないけど、グチャグチャな音で面白かったよ。良いバンドを教えてくれたね。アルバム買おっと。」
とニコニコのダンナ。最後だけ良かったのかな?むぅっ、ちょっと悔しいぞ。でも後で彼らをネットで調べてみると、PavementやYo La Tengoなど私が苦手な(でもダンナは大好きな)タイプのアメリカのバンドと比較されていたので納得。そういう音ならしょうがねえなぁ・・・でもダンナだけ美味しい思いをしたのはやっぱりちょっと悔しい。
と、あちこちのテントを飛び回り、少し時間が空いたので、カナダのフォーク・シンガー、マック・デマルコ(Mac Demalco)での観客の大合唱を聴きながら遅いランチを食べたり、元SupergrassのGazのライブで盛り上がるオッさん、オバさんを見たり(そういえば朝にはTVの料理番組にゲストとして出演してニューアルバムの宣伝に頑張ってました)。
フェス飯にベジ・フード。
野菜のせ玄米ごはんwith豆乳スープって感じ。おいしかったです
で、最近のイギリスのフェスティバルで気がついたんですが、イギリスのフェスではスマホをいじっている人がほぼ皆無なのです。連れと一緒の人はもちろん、一人でいる人もスマホをいじっておらず、音楽やおしゃべり、フェスの雰囲気を楽しんでいる感じなんです。スマホを見ている時間なんて無いとでも言わんばかり。このフェスの後で行ったフジ・ロックでは、とにかく皆がスマホをいじっていたので余計にイギリスとの違いに驚きました。すでにイギリスではスマホ離れが始まっているのか?
それはともかく、遂にメイン・ステージにパティ・スミスの登場!・・・と言っても、個人的には彼女に全く思い入れがないので、とりあえず見ておくかぁとステージ近くで待っていると、次々と人が集まってきてどんどん外へ押し出されいく(汗)会場にいた観客全員がメインに集まったのかと思うような密集っぷり。私と同じ「とりあえず」がこんなにいるのかぁ!?
グレーのロング・ヘアにサングラスで登場のパティ・スミス。アルバム「Horses」を全曲披露するというステージに客席は大合唱、会場はまるでカラオケ喫茶(笑)生のパティ・スミスと歌う「Gloria」や「Redondo Beach」!?なんちゅ〜贅沢なカラオケ(笑)でもね、オルタナディブとかパンクなんて全然縁が無さそうなフツーの10代の女の子たちが笑顔で大合唱する中でパティ・スミスを観るってのも、それはそれで中々できない楽しい経験でした。
パティ・スミスじゃなくて観客の合唱を堪能して(笑)すぐさままたShacklewell Armsステージへ。こちらではリーズから来たサイケ・ロック・バンド、フック・ワームス(Hookworms)が登場!客席は決して満員とは言わないけど、でもパンクの伝説より、リアル・タイムでピチピチと鮮度の良いバンドが観たいって人たちは大勢いるんですよ。
でも・・・サイケ・ロックと聞いていたのにとてもポップな音だぞ・・・。ルックスも写真ではベースボール・キャップに髭モジャだったのに、なんだか爽やか。フツーなポップみたいなのにどこかヘンテコで段々とクセになっていきそうな不思議な音楽。これがサイケ・ポップ・・・なのかなぁ?面白いんだけど・・・何かがおかしい・・・。
Hookworms・・・なのか??
そして次はお待ちかねのサヴェージス(Savages)!
柵によじのぼり客を煽りまくりのSavages
1stアルバムの頃のレディング・フェスティバルではゴシックで、シャープで、緊張感に溢れるステージに圧倒されましたが、緊張感はそのままに、彼女達の音はダイナミックにスケール・アップっ!パティ・スミスを無視してこのステージに集まったパンクなオヤジたちはモッシュ!モッシュ!女性ファンよりも、とにかくオッさんファンが多い(苦笑)でもヘンな下心なんて全く見えず、彼女たちのハードな音に盛り上がるオヤジたち。あげくに後ろの専用スペースにいた車椅子のニイちゃんまで興奮のあまりステージ前に突入してくる(笑)「危ないから下がれ!」「うるせえ!俺はここで観たいんだ!」とセキュリティと大げんか(爆笑)
「女だからってナメんじゃねぇぞ!」と言わんばかりにストイックなまでの彼女たちの音はとにかくホレるぜっ!相変わらずギターのジェマは求道者のごとくギターを弾きまくってましたが、ベースのAyseとドラムのFayは満員のテントの歓声にすっげえ楽しそう。そして自信に満ちたボーカルのジェニーはステージから降りて観客を煽る。夏にリリースされるというニュー・アルバムからの新曲を織り込んだステージ構成で、ラストは圧巻の「Husband」!彼女たちがここまでパワフルなバンドに成長したとは!車椅子のニイちゃんもライブ後に目があったら満面の笑みで親指を立てていましたよ。
満員のテントを眺めて嬉しそうなジェニー
後日のあらゆるメディアでのField Dayのレビューを飾ったのがこのSavagesでした。昨年の来日公演の動員が散々だったというSavagesなので(私もインフルエンザでなければ行っていたのに(涙))単独の再来日は無理なのか・・・でも今、最高のUKライブ・バンドのひとつが日本で紹介されないまま終わるなんてもったいないよぉ・・・。
Savagesの興奮冷めやらぬまま、TOYのライブが始まっているはずのJAGERHAUSテントの行列を横目で見て、アウトフィット(OUTFIT)のライブを観にMoth Clubテントへ。リバプール(と言っても、メンバーはリバプール・ロンドン・NYに分かれているそうですが)のOUTFITは2nd アルバム「Slowness」がメンフィス・レコードからリリースされたばかり。同じレーベルのField MusicやDutch Anclesを彷彿とさせるような繊細なメロディーの彼らのシンセ・ギター・ポップは日没の時間、観客を気持ちよくクール・ダウンしてました。
OUTFIT
そしてこのテントのトリはアメリカから来たダックテイルズ(Ducktails)。REAL ESTATEのマット・モンダニルのプロジェクト・バンドだそうで、そのREAL ESTATEのTシャツを着た子たちが続々とテントに集まってくる中、まだまだスタートまで時間があったので、僅かな望みにかけてTOYのJAGERHAUSテントを覗きに行くと、おおっ!並んでいないっ!・・・でも、中に入るとすでにステージは撤収中。やっぱりね・・・。
そしてまたMoth Clubテントに戻ると、あれっ??テントがガラガラになってる?まさかこんな短時間でDucktailsのライブが終わった??ありえない!?
テントの中の様子を覗きに行ってきたダンナが「キャンセルだってさ」
は??どこにもそんな告知は無いのに。どうしてキャンセル??
「わからないけど、とにかくこのテントは終了したんだって。」
同じようにテントに戻ってきたファンの子たちがガッカリした様子で去っていきました。
う〜ん、なんだかスッキリしないぞぉ!
ホテルに帰ってからネットで調べると、フェスのツイッターに、Hookwormsがキャンセルとなり、代わりにDucktailsが演奏するって書かれていました。え?・・・つまり私たちがHookwormsと思って観ていたのが Ducktails??ウソっ!?でもDucktails本人も「Hookwormsの時間に演るからね」ってツイートしてました。
でも告知はこの2つのツイッターのみ。いやいや、そりゃ無いだろぉ。先に書いたように会場でスマホを見ている人なんてほとんどいないのに!?しかもトリのバンドを別のテントに移動させるかぁ??私たちは偶然にも観ることができたけど(しかもバンドが入れ替わっているのに気づかないような適当な観客(苦笑))ファンの子たちのガッカリ度を思い出すと可哀想過ぎる。せめてテントにお知らせぐらい貼っておこうよぉ(後日、Dacktailsもこの件についてインタビューで触れていて、多少申し訳無かったと思っていたみたい。)
あらためて・・・Ducktails(笑)
と、こんな適当なトコもあるFIELD DAYでしたが、晴天に恵まれ、緑の公園でのんびり気分で楽しかったです。そんなピクニック気分だけでなく、今の東ロンドンのローカル感も味わえるフェスなので、この時期にロンドンに遊びに行かれる方にはぜひおすすめなフェスです。
のんびりFIELD DAY