翌朝の朝食はまたしてもどっさりのイングリッシュ・ブレックファースト。
それを食べながらあれこれと話していたらいきなりKさんが、
「そういえばロンドンでインストア・ライブなんてやらないよね！？チェックし忘れた！」
「でも初日にロンドンのレコード店を回った時はどこも特に告知はありませんでしたよ」
とTさん。
「確かにイギリスのインストアは普通はCDの発売のプロモーションだからね。」
「今更やったところで2ndが売れる訳じゃないし、ライブの宣伝にもならないしね。どうせなら地下鉄の通路とかでやった方がいいかも（笑）」
「そっちの方がお金が集まるかもね。で、スカウトされちゃったりして（爆笑）それで新レコード会社が決まるの。」
「『君ぃ〜なかなかいいモン持ってるねえ。どう？ウチからデビューしない？』って言われちゃうの？！ 『でもそのメガネはいただけないなぁ』」
「って、スカウトされるのはロスだけかっ！？（笑）」
「でもほんとに2ndは売れなかったんですねぇ」とTさん。１枚目の売り上げよりひとケタ少なかったんだってさ（涙）
「あれはいいアルバムなんだけど地味だからねぇ。」
「何かのインタビューで、次はまた１枚目みたいな路線に戻るみたいなコト言ってましたよ。」
「えっ！」「それはマズイ！」と、思わずハモる私とKさん。
「それはやめた方がいいよ」
「うん。２枚目が売れなかったからまた元の路線に戻したってボロクソ言われる」
「そう、それがイギリスの音楽評論だよね。」
隣のテーブルでは大学のインタビューに来たらしき女性二人がいて何やらマジメそうに話しこんでいる。自分の将来を考える彼女たちと、朝からフューチャーヘッズの将来を心配している私達（苦笑）
そして、またしてもケンブリッジ観光もせずにロンドンへ。お昼頃にキングスクロス駅に到着しました。今日のホテルはこの駅近くのB&B。別のバンドのライブを見にロンドンに来ていたKさんのご友人が今日から２日間合流します。そして彼女が先にチェック・インを済ませてくれていました。
それからロンドンの繁華街トッテナム・コート・ロード駅近くにある、今日のライブ会場「アストリア」へ！
でもその前に、私のチケを受け取りにちょっと寄り道。２月の旅行記にチラッと書いているロンドンの小さな老舗チケット屋さん。ここはソールド・アウトのライブのチケが再販売されたりするし、予約したチケも早めに店頭で受け取れたりとなにかと便利なお店です。なので、今日のチケットは郵便で届いたKさんの友人のもとの合わせて２枚。先発隊には充分な人数だね。
それから昼食をとって、いざライブ会場へ！・・と歩いていると、いきなりKさんの叫び声がっ！ど、どうしたっ！？と思ったら、Kさんの靴の底が剥がれて先っぽがベロベロ状態になってる（笑）
「うぎゃ〜水が入ってくる〜！」
しかもしばらくすると今度は反対側の底までベロベロ。もう歩行困難なKさん（笑）と、いうことで、急遽Kさんの靴選びに行くことになりました。
「どうせ買うのならちゃんとした靴がいいなぁ。『Clarks』へ行こう。」（イギリスの靴ブランド。ワラビーとかが有名なのかな。）
でも２軒回ってもどうも「コレっ！」という靴が見つからないKさん。「もう一軒だけ行ってみて、そこで決めるよ。」
が、しかし、３軒目の「Clarks」で、「目星をつけていた靴がこの店にない・・・」じゃあ、戻りましょうか。
ところがところが、２番目の店に戻ると、
「その靴で私のサイブは作ってないって・・・」
ええっ？！でもKさんのサイズはイギリスの女性の靴としては一番ポピュラーなはず。イギリスの店員の言うことなんて信じられないぞ（笑）
という訳で一軒目にもどると、案の定そこにはKさんのサイズのものがいきなり店頭にディスプレイされてました。ようやく靴をゲットして、古いスニーカーとお別れしたKさんでした。
ついでに私もずっと欲しかったチェルシー・ブーツ（サイドゴア・ブーツ）を探したんだけれど、どうも思うようなのがない。う〜ん、明日のオフ（？）にじっくり探してみよう。
ようやく会場に到着し、今日もまた裏口あたりでウロウロ。
「アストリア」はロンドンでは老舗の中規模クラスのホールです。ここは大通りと細い路地との交差点にあって、裏のさらに細い路地にバックステージへの入口があります。でも・・・本当にこの入口を使うかなぁ。
「なんか・・・フューチャーヘッズだと平気で正面から入っていきそうだよなぁ（苦笑）」
でもジ・エネミーもここから入っていったしなぁ。いいと思うんだけど。正面の様子を見に行くと、すでに入場待ちの列が。う〜ん、さすがロンドンは並びが早いよ。
「どうする？いつまでメンバーを待つ？」なんて話していると、突然Tさんが、
「あれっ？あそこを歩いているの、ロスとジャフじゃない？？」
「なぬっ！！？？」
確かに横の通りを歩いているのはあのデカい二人っ！正面入口の方に向かってるっ（汗）！！慌てて追いかけたけど、あの二人のコンパスには追いつけない！でもそこには入場を待つファンたちがいるっ！
「だ、誰か、二人に話しかけて足止めしてぇ！」
がっ！みんな無視かよっ！（笑）
だ〜れもロス＆ジャフに話しかけもせず、二人は何事もなく会場の中へ入ってしまいました。
「も〜いいや！列に並ぼうよ。」
「さあ、今日の場所取りはどうする？」
「一昨日がジャフ前、昨日がロス前だったから？」
「やっぱり最終日はバリー前！？」
「それだけは勘弁して〜！！」（笑）
いや、バリー前が嫌ってコトじゃなくて、真ん中は押され方がキツい〜・・・。
「では今日はロス前にしよう！」
２枚のチケットがあるので、Kさんとご友人が先発隊、そして小柄なTさんとカメラを預けないといけない私がチケットを受け取って後から入場することにしました。
さらに私達の任務は全員分のTシャツを買ってくること。
この会場はライブ後ではTシャツが買えないことがあります（正面出口がとても混雑するので、ステージ脇の非常口から直接外に出るように言われたりするんだよね。）
「あの『In the future We all die』のTシャツが欲しいの。」
「あ、私も欲しい！」と、Kさん。
「え〜？でもちょっと暗いメッセージだし、何のTシャツか分からないじゃないですか？」
と、Tさん。
「いやいや、何のTシャツか分からないくらいがいいの。」
「分かる人には分かるぐらいの程度でね。」
「そうそう、何しろあのTシャツはファンですら分からないんだから（笑）」
開場してKさんたちは会場へ突入して行きました。そして私達２人はチケットを受け取り、
「Tさん、この階段を上がっていけば会場だから先に行って。私はTシャツを買ってくるよ。」
と、Tさんを送り出し、さらに奥へ進むと、あれっ？ここにも階段が・・・あ〜っ！しまった！さっきのは２階席への階段だ（汗）うひ〜っ、Tさんを迷子にしてしまった〜っ。
う〜ん、でも彼女を探しに行くよりは会場に行ってTさんの場所をキープしておくべきだ。という訳でTシャツは後回しにして階段を上がっていきました。
Kさんたちはどこっ？
ロス前？いない？？ジャフ前？いない？？・・・なんでバリー前のど真ん中にいるのぉぉ！！
「違う、違う！マジでココしか空いてなかったのよ（笑）」
またかっ！？またバリーの不人気のせいかよっ！？
しばらくしてTさんが到着（ほっ）
「ごめんねぇ〜！！間違えちゃったよ！！」
「びっくりした〜。いきなり２階席なんだもん。」
このまま横巾のある私が場所を取っているほうが確実（笑）というコトで、結局TシャツもTさんに買ってきてもらいました。
そして一緒に場所取りしてくれたKさんの友人は「さすがに真ん中はね〜」と、隅に移動。なので結局またいつもの３人が真ん前に勢揃い（苦笑）
と、言っても、実はフューチャーヘッズのステージのセッティングではバリーはド真ん中ではないのです。ドラムがバリーとロスの間に置かれているので、ほぼ４人が横並びなんだよね。民主主義なバンドだからステージの並びも平等ってコト？だから今日の場所は正確にはデイヴ前？？
で、またジ・エネミー。さすがにもう飽きた（苦笑）
そして今日はマカビーズではなく、２月のロンドンでも見たハウリング・ベルズ。 Kさんには「いいバンドじゃない？」を言われたけど、どうしてもこのテの音は苦手なのよぉ。
そしてフューチャーヘッズ！彼等が登場する前から客席は「オーッ、オッ、オ！」と「Hounds of Love」を歌ってる。まだ早いぞっ！
今日もオープニングは「Area」〜「Yes/No」！今日はあまりステージダイバーはいないけど、その代わりギューギュー押されて、せっかく治りかかっていた胸をまた思いっきり柵に激突させて「ぐえぇぇ・・・」
なんだかメンバーはみんな上機嫌っぽい。バリーなんてロスとおでこを合わせて睨み合いしながらギター弾いちゃうし。ジャフもロスと一緒にコーラスしまくり。
「そうだっ！デイヴがライブ中の私達を見ているなら、こっちもヤツを観察してやる（笑）」と、今日は珍しくデイヴに注目。
すると曲間にデイヴは鼻の頭でマイクを上に向けたり下に向けたり・・・？さんざん位置がズレたマイクを最後は口で微調整・・・なにしてんだよっ（笑）
「そりゃあドラムを叩いていれば手が使えないからでしょ」と、Kさん。
「違うよ〜曲の合間！ドラムを叩いていない時なの！」
「・・・私もさぁ、たま〜デイヴを観察するけど、なんだかものすごい遠い目をしている時があったりしてさぁ。
デイヴってやっぱり『不思議ちゃん』だよ・・・」
「みんな、SKIPしろよ〜！」と煽られた「Skip To The End」は大盛り上がり。
そして「Hounds of Love」での場内大合唱に、すんごい嬉しそうな笑顔のメンバーたち。以前、バリーのコメントで、あまりに忙しくてツアーもバンドもやめてしまってサンダーランドに帰ろうか、なんて思い始めた頃にフェスティバルに出演して、観客みんなが自分たちの歌を歌ってくれるのを見てバンドを続けるエネルギーをもらった、みたいなコトを言っていたのを思い出した。そりゃ嬉しいだろぉ。私だって嬉しいぞ。思いっきり歌っちゃるぞ。
なんて思っていたら、誰かが投げたビールの缶がギターを弾くバリーの右手を直撃っ！誰だあああっ！！テメぇ！ゴラぁっ！！そっちの方向に向かって目一杯中指を立てるバリー！でもすぐに機嫌直って笑顔でギター弾いてました。ほっ。
そしてアンコールは「Drian Gray」〜「The Carnival Kids」あ〜っ、終わっちゃったなぁ〜・・・。