ロンドンのHMVに入ると「Heartbeat Song」が流れ、レコード店Sister Rayではお客さんが「今日はフューチャーヘッズのライブに行くからさぁ」なんて会話をしている。うへへへ、なんだか嬉しい。
KING'S CROSS SCALA
そして今日はロンドンでのライブ。私にとってはツアー最終日(涙)
この日の会場はキングス・クロス駅近くのSCALAという、戦前の映画館が改装されたライブハウス。古い劇場みたいで雰囲気のある会場です。そして、またしてもちょうど会場にやってきたバリーに遭遇。
「今からリハーサルなの?また遅くない?」
「ははっ、俺がちょっと遅れちゃったからな。」
と笑って会場に入っていったバリー。寝過ごしたの??
外で並んでいると「今日が最後なんだって?」と声をかけてくれる物販担当のスタッフ。
「リハを聴いたけど、音も最高だったし、きっと最高のライブになるよ!」
そしてステージ担当のスタッフも私に気付いて親指を立ててニッコリ。ヘッズさんはスタッフも良い人たちです。
通りがかりの人達が「おっ!?今日はフューチャーヘッズなんだ。チケットは?SOLD OUTなのっ!?」なんて何人も警備員に聞いている。うへへ、これもなんだか嬉しいね。
さて、今日は最後だからとロスとバリーの間(ややロス寄り)あたりのポジション取りをしたつもりが、ライブ直前にふと気づくと、なぜかほぼバリー前。あれっ?・・・ロンドンで??嫌な予感。
この日のサポートはロスのお気に入りのニューカッスルのバンド、Love Bites & Bruises。
前回のツアーでもサポートをしてたけど、メンバー変わってないねぇ。音はメロ・コアの影響があるアメリカン・ロックなUKインディー・・・ヘンな説明(苦笑)
LeedsとCamden Crawlで色々な新しいバンドを見たけど、こういうストレートな音のバンドはいなかったので、何となく今回は新鮮な感じがして楽しかったです。そして、
「言っておくけど、俺はフューチャーヘッズのドラムじゃないから」
と、ボーカルの一言に観客大受け。うんうん、確かに私もアンタはデイヴに似てるって思っていたよ(笑)
それにしても、このバンドのメンバーも身長が180cmぐらいでデカイ。ヘッズさんといい、ニューカッスル辺りは大柄な地域なのか?
そしてマンチェスターのDutch Unclesはとっても小柄(笑)
なぜか「マンチェスター!!」という「野次」がとんで、メンバー達にすごい受けてました。確かに意味不明な野次だわ。
彼らのソング・リストはボーカルがメモ帳に書いたもの。それをライブ前にピリピリと破って一人一人に渡すんだけど、それでライブ中に見えるのかな?
Dutch Uncles
そしてフューチャーヘッズ!!と、リキんだら、いきなりスモークが焚かれちゃってビックリ。彼らには不要でしょ?だって、いつもと変わらず「Hello There」の流れる中で飄々と登場だもんね!
今日はイギリスで13年振りの政権交代が起こるかもしれない総選挙当日!ヘッズさんも選挙モード・・・かな??
「HELLO ! ARE YOU READY TO ROCK !?」のバリーの挨拶で始まる「The Chaos」!う〜っ、このオープニングもこれで最後かぁ〜!
ロンドンの観客もこれまで同様、新旧構わず大合唱&大盛り上がり。ほんとに良い雰囲気だ・・・しかし、ノリがこれまでよりかなりキツイっ!バリー前だから余計にキツイけど、何度も何度も柵に押しつけられて、痛ってえっ!!胸骨折れそう(涙)
それに今日のロンドンはやっと春の陽気だったので(とはいえ最高気温15度ぐらいだけど)さっそく昨日購入したばかりのシャツを着てきたのに、いきなり後ろからビールをぶっかけられ・・・(涙)でもねっ!自分がズブ濡れになるのは我慢できるけど、バリーに向かって缶で投げるのはやめんかいっ!(標的はいつもバリーだよなぁ(苦笑))でも慣れっこなバリーは鼻で笑っておりました。
そしてスモークがバンバン焚かれるもんだから、ロスが見にくいぞっ!ブーブー!
「このドライアイスマシン、何とかしてよ」と、スモークを手で払って苦笑のロス。
おまけにギターの調子が悪くて、最初の数曲はロスが四苦八苦してました。がんばれっ!ロスっ!
バリー&ロスのツイン・ボーカルの「I Can Do That」!
いいね、いいね、これぞフューチャーヘッズ!って感じ!と、喜んでいたけど、あれっ?「Worry About It Later」ではロス&ジャフのコーラスの音が微妙にずれてる??単に私が立っている位置のせいかな?と思ったら、バリーがちょっと苦笑いしてた。あ、やっぱりズレてんだな(笑)
「次の曲は惨めなんだ。・・・社会の終わり・・・保守党が・・・」とつぶやくバリー。
「でもベース・ソロがあるんだぜ!」とジャフ。
「そうだ!ベース・ソロだっ!ベース・ソロに自由をっ!!」と拳を振り上げる。やっぱり総選挙モードです(笑)
そして始まったのが「The Baron」!
「次の曲はロッシーが歌うぞっ!」とバリーが紹介。チューニングをするロスを見つめながら、
「ロス、この曲大好きだよ!」
「ほんとに好きだ!」
「ほんとぉ〜に・・・」
しつこい男はもてないよ、バリー(笑)
でもこの日の「Work is Never Done」でのバリーといったら、クルクル回ったり、すんごい楽しそうでした!
そして「次は初めて演る曲だぜ」とバリー。え?何?何っ?
「これは『ヴァンパイア・セッ●ス』の曲だ。」
・・・あのさ、バリー・・・最近下ネタが多くないですか?(苦笑)もしかしてバリーのオヤジ化なの!?でもお初の「Sun Goes Down」はダークでめちゃくちゃカッコ良かったぁ!
「ロンドンが最高だなんてコトはないんだぜっ!」と、観客を挑発するバリー。
「だからこそ俺達が北東出身ってワケだ!」
でもブーイングを浴びて、「冗談、冗談」とあっさり撤回(笑)押しが弱いぞっ。
そして大合唱の「Hounds Of Love」の後、
「これが最後の曲だ!」
そのバリーの言葉に客席は大ブーイング。
「よしっ、分かった!ならば取引だっ!お前達の有り金を全部よこせっ!今すぐだっ!」
失笑する場内に思わず「シット !!」と悪態をつくバリーでした(笑)挙げ句に小銭を投げつけられてましたけどね。
「次の曲の始まりは静かにしてくれ」と言われれば、余計に騒ぐのがロンドンっ子ってもんだ。
「静かにしろって言ってるだろ!?」とジャフが言っても聞かない。
「静かにしないのなら、もう一曲もやれないぞっ!」とバリーが言えば、反対に野次が飛んでくる始末。
「分かってるぞ!初めての『ブロー・ジョブ』で興奮してんだろ?だから外へ出て、バーで口でもすすいでろっ!」
なんてタンカ切るバリーに場内拍手!・・・でもまた下ネタ(苦笑)
やっと静かになったスキに一気に「Jupiter」に突入!いつもにも増して高速で荒々しい一曲でした。
そしてまたしてもアンコールする間もなくあっさり登場の4人!
彼らの勢いは止まりません!さらにFasterな「The Connector」(大丈夫かっ、ロス!?)そしてデイヴのたたみかけるようなドラムで始まる「Robot」でさらにスピードアップ!
しかし・・・
「最後の曲だ!」とバリー。
「そうだぁ、もう最後なんだぁ(涙)」と顔を上げたら、えっ!?親指を立てたバリーが私に向かってうなずいてる!?はいっ!はいっ!最後だと分かってますっ!
「ここにいるレディ(はいっ?)は俺達を見るために日本から来ているんだ!」
そんなコトをバリーに言われては、何かリアクションしなければ(オロオロ)「それは私ですぅ」とばかりにオズオズと手を挙げると、場内のみなさんから拍手と歓声が。うわぁ〜嬉しいけどマジで恥ずかしい〜っ(赤面)
「でも彼女は今日で最後なんだ。」
「そしてSCALAに集まってくれた皆もこれが最後の曲だっ!」
3人がデイヴのドラムの周りに集まり、一瞬の緊張。そしてデイヴの一撃で「Man Ray」のイントロが爆発する!うわぁぁ、いつもに増してカッコ良いよぉ(涙)
4人の「Good Night !」が場内に響き、そしてブレイク・・・いつまでも続くロンドンの歓声を味わうように笑顔で客席を見つめている。
そしてまたデイヴのドラムで一気にエンディングまで突っ走る!
「THANK YOU !! GOOD NIGHT !! 」
終わっちゃったぁ〜
「どう?最後のライブは楽しんだ?」
と、ライブ後のバリーに言われ、
「うんうん・・・でもフューチャーヘッズのライブがもう見られないから寂しいなぁ。」
「なんとかして今年中に日本に行けないか考えてみるからさ。」
背中をポンポン叩きながら元気づけようとしてくれるバリー。優しいねぇ。
ところが、デイヴと話した時には
「俺達は湯水のように金を使うメジャーとは違うからねっ。ちゃんとやりくりしてるんだから、日本に行くお金ぐらいへっちゃらだよっ!」
途中までは兄ちゃんと同じコト言ってるのに、なんで結論が逆転してんだ(苦笑)弟ってのは気楽なモンだ。
それにしてもやっぱりロンドンのライブはキツかった。柵にブチ当たっていた胸がズキズキする〜。
「もう2度とロンドンであなたの前には行かないよ〜。むちゃくちゃ押されてさぁ。」
とバリーにグチると、クックと笑いながら
「いやぁ、でも君はグッド・ディフェンダーだったよ!こんな風に押し返してたじゃないか?」
だってさ。まったく、ライブ中にどこ見てるんだよっ(苦笑)
弟も「ライブ中に君のことを見ててさぁ」とかなんとか言ってたし・・・。
あのねっ!私はアンタ達を「見に」来てるのであって、アンタ達に「見られに」来てんじゃないっつ〜の!!
と、そんな憎まれ口なコトを考えていても、もうヘッズさんとお別れです・・・ロスとジャフにお別れが言えなくてちょっとガッカリでしたが・・・なんてコトはバリーには内緒だ(笑)
今回の旅行中、イギリスのニュースは、ギリシャの暴徒化したデモの映像、空港閉鎖、そしてイギリス政府はハング・パーラメントに・・・まさに「The Chaos」な状況でありました。
特にアイスランド火山による空港閉鎖にはまいりましたよ。出発2、3日前までフライト・スケジュールはムチャクチャでしたし、「帰ってこられないんじゃないの?」なんて周りに脅されたり。で、旅行中にはグラスゴー空港などが閉鎖になり、毎日がドキドキ。おまけにイギリスの鉄道全面ストライキの計画まであったから、もう何かに祟られてるのかと(苦笑)
それでも今回は本当に「来て良かった!」と、しみじみ感じました。いつもいつもフューチャーヘッズのライブは最高ですが、今回のツアーはこれまで見た中でも最高だったのでは!?
当然、彼らの音はますますタイトでヘビー、英国最高のパンク・サウンドになってますよっ!
それにも増して、彼ら自身がインディペンデントな道を選び、誰からも指示されず彼らが望むように活動をしているという幸福な思いがライブに反映している。ファンもそんな芯の通った彼らが大好きでライブで歓声をあげる。そして彼らもそれを受け止めて、さらにパワーアップした音で返してくる。それが本当によく分かったツアーでした。こんなバンドのファンでいられるのは幸福だ。
そんな彼らが来日できないってのがツラい・・・。
でもさぁ、「行くよ!」と言ってたのに来なかったこともありますから、反対に「難しいなぁ」と言っていながらポロリと来日しちゃったりしてね、なんてやや楽観的に考えたりしてますが。
それとも・・・日本のファンみんなでデモでもやりますかっ!?(笑)