シェフィールドから鉄道で約1時間。イングランド第2の都市バーミンガムに到着です。
今日のライブ会場は、とってもメジャーで大きなライブホール、O2 Academy!と言っても、フューチャーヘッズはメイン・ホールじゃありません(苦笑)小さいサブ・ホールが他に2つあるので、そのどちらかだと思うけど。メインはどうやらテンパー・トラップ。イギリスではそんなにメジャーなのかぁ。
でっかいO2 ACADEMY なんかヘッズさんが前座みたいだわ。
巨大な機材トラックが止まった搬入口に行ってみるとサウンドチェックの音が聞こえてくる。いやいや、彼らはこんなに機材は無いはず(苦笑)さらに裏へ回ってみると小さな出入口からマイクチェックをするバリーの声が。やっぱりこっちなのね。でもこんな時間のサウンドチェックなんて、ちょっと遅くないかな?
「Picture of Drian Gray」や「The Chaos」で音の確認を済ませた後、わぁ!ロスが出てきたっ!と思ったら、おっと、バリーも一緒か(イヤなのかよ?!(苦笑))
「サウンドチェックの時間が遅くない?」と聞くと
「ああ、マイクロフォンの調子が悪くてなかなか始められなかったんだ」と笑うバリー。
そうなのか。ライブ中にトラブらないといいけどね。でも2人は気楽に「今から晩メシ食ってきて、その後は退屈なインタビューが待ってるのさ。」と笑ってました。
入場口に行くと、テンパー・トラップのファンが既に何十人も並んでいました。
では私はどこに・・・と、そこにいた警備員に聞くと、
「チケットがあるならあの列に並んで」
テンパー・トラップじゃないってば!フューチャーヘッズ!
「ああ、フューチャーヘッズ?だったらこの辺で待ってなよ。」
適当な扱われ方だ(涙)
1人でポツンとキューに並んで(?)いると、(たぶん)取材の人を迎えに出てきたジャフが私に気づいて手を振ってくれたのですが、しかし、そこにいた大量のテンパー・トラップのファンは、この目の前にいる巨大な男もミュージシャンなのだとは全く気付いていないようでした(苦笑)
しかも外出から帰ってきたPostellesやDutch Unclesのメンバー達が正面玄関から入れなくて右往左往してました。裏口に回りなさいよ(苦笑)皆、デカイ会場に慣れておりません。
そんなコト言ってる私自身も、テンパーのファンの数の迫力と、久々にガチガチのメジャー・ホールの雰囲気になんだか緊張しちゃったのですが、でも、ヘッズさんのチケットを握りしめ、すでにTシャツ一枚のヤル気マンマンなファン達が徐々に集まってきて、ちょっと元気がでてきました。
今日も1000人も入ればパンパンになりそうな手頃サイズの会場。警備員もおらず、ステージも小さくていい雰囲気!
で、まずはPostelles。憎めないバンドなんですけどね。
そしてDutch Uncles。こちらは本当に好みの音!
観客のビミョーな歓声に
「『ムー』だか『ブー』だか分かんないね!」
と、ついボーカルが口走ると、全ての歓声がブーイングになってしまいました(笑)
「ブーイングはやめろって!」
と言うと、さらなるブーイング(笑)メンバー全員で苦笑してました。
さあっ!フューチャーヘッズですっ!
場内が暗くなると、大歓声と「バリー!バリー!」の野太いコールが!
もうっ!バリーったら男にはモテモテなんだからぁ(笑)
そしてバリーの「HELLO ! LADIES & GENTLEMEN !!」の第一声にまたしても「バリー!」「バリー!」の野太い歓声!!
スタートから大歓声の中での「The Chaos」!そして、
「イングランド北東部サンダーランドから来たフューチャーヘッズです!」
と自己紹介。すると観客から「メンバー紹介してくれよ、バリー!」の声が。
「OK ! こっちがロス!」(大歓声)
「こちらがジャフ!」(大歓声)
「そしてドラムが親愛なる我が弟、デヴィッド!」(大歓声)
と、盛り上がったところで
「でもさ、おまえ、バリーの名前を呼んでたから本当は知ってんだろ!?」
のジャフの突っ込みに場内爆笑。
うんっ!なんだか今日は、前日にも増して会場全体が「俺たちフューチャーヘッズが大好きなんだぜっ!」って空気に満ちてるぞっ!
「次の曲をあててみてくれ!」というバリーにあちこちから曲名が飛び交う中で、
「ブルース・リーに10点!」とジャフが言った途端、「おっ!ブルース・リー!」「ほんとだ!ブルース・リー!」とバリー&ロス。
えっ?何っ?何なの?
「KERRANGラジオに出演した時に彼は『ブルース・リー』だって自己紹介したんだ!」と笑うロス。「でもどちらかと言えば『ブルース・リー』というよりは、むしろ『グリズリー』って感じだけどな(笑)」
するといきなり何かメロディーを弾きだすバリー。
「『ドラゴン』の最後ってこんな曲だろ?」
場内爆笑。え〜っ?そんな曲だっけ?ロスに軽くあしらわれて次の曲へ(笑)
心配してたマイクロフォンは全く問題なく、そして1stの曲だろうが、2ndの曲だろうが、3rdだろうが、無論ニューアルバムだろうが、どれも大好きっ!と言わんばかりに観客全員が大騒ぎ。そんな雰囲気の中でフューチャーヘッズのテンションもどんどん上がっていく!
「今日はこのツアーでも最高のライブだ!」と煽るバリーにさらなる大歓声。
「Meantime 」や、「これはカジュアル・セ●クスの歌だぜ」と紹介した「Worry About It Later」、そして「Heartbeat Song」、どれもこれも大合唱。
なによりメンバー達が本当に楽しそうにライブをやってる!
「Stop The Noise」では「昨夜は悪魔と話した」と歌うロスに「なんて言ったんだ!?」と嬉しそうに一緒のマイクで掛け声を入れるバリー&ジャフ。そして「I Can Do That」のラストでは、「空が飛べられたらいいけどできないよなぁ」と歌うバリーに「できるだろっ!(YOU CAN !!)」と、ちゃんと観客からムチャ突っ込みのオチがはいる!
そしてバリーはアクションが止まらない!跳ねる!回る!大股開く(笑)ロスが歌っている時なんて、ステージ狭しと動き回ってギターを弾きまくる!いやぁ〜カッコいいよっ!ホレ直すよっ!バリ〜っ!
ところがっ、バリーときたら、
「そこの女の子がさぁ、さっきの曲の間中、『ジャフ!ジャフ!私を見て!ちょっとでいいからこっちを見て!!』とかやってんの〜(笑)」
あんだけ演奏しながらアンタは何を観察してたんだ(笑)
さらにコロナ・ビールを飲んでたバリー。 「チンチン!」と言って瓶を高く掲げた後、
「『チンチン』って乾杯の時の言葉なんだけどさ、知ってるか?日本だと『チンチン』って『ちっさい(ピーッ!)』って意味なんだぜ?!」
も〜っ!そんなしょうもないネタを日本で覚えてきちゃって、と苦笑していたら、
「君が笑ってるということはバリーが言ってるのは本当なんだな?」
とロスに突っ込まれてしまいました(苦笑)はいはい、その通りですよっ!
それにしても初めてステージ上のメンバーから「客いじり」されたのがこんな下ネタだなんてっ(実はバリーのセクハラかっ?)
「これまでの中で一番早い曲だっ!」
それは「The Connection」!!手がつりそうだとロスが言っていたパンク・ナンバーっ!
そんなに大変なのか?とロスを観察すると、うっ、ロスがほとんどコーラスに参加してないっ!本当にギターに専念してるっ!がんばれっ!ロスっ!
でもバリーは「トライアングル!ストレート・ライン!」と歌いながら、指で三角や線を書いてる。アンタは弾かないのかっ?(笑)(いえいえ、それ以外の時は信じられないくらい左手の指を開いてちゃんと弾いてますよっ。)
そしてそして
「こちら半分は手を挙げて!おまえ達はロス・パートを歌うんだっ!」
拳を挙げて叫ぶロスに「うぉ〜っ!」とロス・チームの怒濤の歓声!
「今度はこっちだ!おまえ達はジャフ・チームっ!」
ジャフ・チームの大歓声と共に、ロス・チームからは大ブーイング!!
「こっちサイドは手を挙げろっ!」「今度はこっちだ!」
バリーが呼びかける度に会場中が歓声とブーイングの嵐!ヘッズさん、むちゃくちゃ嬉しそうっ。
「MY SIDE!ARE WE READY!?」
ロスの雄叫びで始まった「Hounds of Love」はこれまで聞いたことないくらいの大合唱でした。
「最後の曲だ!このツアーで最高の夜にするため、死んだように静かになってくれっ!それから携帯の電源は切って!・・・と、これは冗談」とバリー。
ハミングが始まった途端、それまでのブーイングや大騒ぎがピタっとやみ、静かな会場に4人のコーラスが響く。そしてスーパーノバのごとく爆発する「Jupiter」!すっげえ〜。
んで、引っ込んだかと思えば、またあっと言う間に再登場して、いきなりのロスのギターリフで始まった「Work Is Never Done」!カッコ良すぎるよ、アンタ達っ!
「よしっ!リクエスト・タイムだ!」とバリーが言った途端、
「Think Tonight !」「Radioheart !」
と、なかなか通なタイトルが飛び交う(笑)
「じゃあ次の曲は『BOUNCY BOUNCE』だ。小学生が飛び跳ねるみたいになっ!POGOに似てるけど、POGOみたいに暴力的じゃないから。」
そして始まる「Skip To The End」!
「最高のBOUNCEだったよ!」とロスも観客を絶賛っ。
「よし!もう1曲?」のロスの問いかけに大歓声。
一瞬の静けさの後でデイヴのドラム一撃で「Man Ray」!・・・と思いきや、なんとロスがミスって失敗(笑)「あんたも酔っぱらった方がいいんじゃない?」とデイヴに昨日の仕返しをされ、苦笑いのロスでした(ロスは酒を飲まないからね。)
ともかくっ!すぐに気を取り直しての「Man Ray」はこれまで以上の怒濤の迫力で押しまくる一曲でした。うが〜っ!!(興奮)
う〜ん!ほんとに良いライブだった!フューチャーヘッズってなんて良いバンドなんだろう!!もう何度もそう思ったけど、これまで以上に実感!
この感動をぜひ誰かに伝えたい〜!!と興奮してるところでバリーを捕まえたっ(笑)
「今回のツアーは最高だね!会場も良いサイズで、それに来ている人達全員がフューチャーヘッズが大好きなのが分かるよ!」
と、ちょっと興奮して話すと、嬉しそうにうなずくバリー。
「メジャーで続けていたら、こんな良い雰囲気のライブなんて絶対やれなかっただろうな。メジャーをやめて本当に良かったよ!」「大きな会場で演ったところで、後ろの方なんて酔っぱらってるだけの奴らばかりでさぁ・・・って、俺も他のライブに行けばそんな客の一人だけどな(笑)とにかく、もう絶対にメジャーなんかと契約しないぞっ!」
おおっ、なんだか自信に満ちてますなぁ!
「それに毎回セット・リストを変えてくれるから嬉しいよぉ。」
「今では俺達もたくさんの曲があるからな。同じセットリストではやりたい曲全部がやれないよ。」
おおっ、なんだかポジティブでいいなぁ!
(今回のアルバムは全曲をライブで演れるそうで、ポーランドのラジオでアルバムの曲順そのままで全曲スタジオ・ライブもやったんだってさ。聴きたい〜。)
「俺たちは今年で10周年だから(「えっ!?そんなになる?」)そうなんだ、アルバムを出してからは5年だけど、結成してからはちょうど10年なんだ。俺達は絶対こんなバンドになるんだと信じてやってきたんだ!いいか!信じて続けていれば絶対にそうなれるんだ!」
と、至近距離で熱く語ってくるバリー。どっ、どうしたの?恐ろしい程ポジティブじゃないの?!・・・って、ライブのテンションと酔いをまだちょっと引きずってるみたいでしたが(笑)
「メジャーってのはね、ビデオだ、ツアーだといって湯水のように金を使うんだ。そしてバンドはその金を稼いで返さなけりゃいけない。でも今の俺たちはビデオもツアーも節約して上手くやってる。今のマネージャーはすごくやりくり上手でね(笑)だから大きな会場でやる必要もないんだ。」
だから今回はツアー・バスじゃなくて、ワゴン車なの?
「俺はこっちの方が良いよ。ツアー・バスなんて狭いし汚いし(笑)ホテルでちゃんと休んで翌朝に移動する方がずっと良い。それに風景も見られるしね。」
「夜中の移動では気がついたら次の街でしょ。」
「そうなんだ。目がさめると『あれ?今、俺はどこにいるんだ?』って感じでさぁ。あんなツアーはもうイヤだな。」
なんて話をしていると近くに停まっていたテンパー・トラップのツアー・バスが次の街へと出発して行きました。
「彼らはそんなツアー・バスで移動だね。」
「ん・・・彼らはメジャーと契約したところだしね。」と渋〜い顔のバリー。
そんなにメジャーがイヤだったのか(涙)
でもそんな活動をしていると、日本に行くお金はないというコトで(苦笑)
「今のフューチャーヘッズを日本の人達にに見てもらいたいよ!」
「俺だって見てもらいたいよっ!!だけど問題は今、日本のレコ−ド会社がないんだ。だからツアーをオーガナイズしてくれる人がいないんだよ。誰か何とかしてくれないかな・・・君がなんとかしろよっ(笑)」
「どうしろと?」
「例えば・・・演説するとか(笑)」
「え?じゃあ路上で(拳を握って)『我々にはフューチャーヘッズが必要なのですっ!』って演説するの?」
なんて言ったらバリーが笑い転げてました。そりゃあ、それでアンタ達が来日できるなら・・・やりますけどねっ!?
こんな風にバリーと話をしていたら、今回のツアーがどうしてこんなに良い雰囲気なのか分かりました。今、本当に自分達が望むようにバンド活動ができて、それが楽しくてしょうがないんだね。そしてファンもそんなフューチャーヘッズが分かっていて大好きなんだよね。
と、ひとしきり話しをして、バリーとお別れしようとしたら
「気をつけて帰るんだぞ。ホテルは近いのか?・・・ん?もしかしてそこのホテルか?(「そうだよ?」)俺達も一緒だよっ(笑)俺達も今夜はあそこに泊まるんだ!」
そして一瞬の間を置いて「あそこって安いよな〜。なぁ?」とニンマリ笑うバリー。
そりゃそうですよっ!私だってやりくりしなきゃ、こんなトコまでアンタ達を追っかけてられませんからねっ(苦笑)
翌朝、部屋のカーテンを開けたら、外の駐車場にヘッズさんのワゴン車が(笑)分かっていてもなんだか可笑しかったです。