28/April & 5/May.2016 ■ロンドンDIYパンク・シーンを目撃?■
at The Shacklewell Arms / the Miller

近頃、ロンドンで「DIY PUNK」なんて呼ばれるシーンが(ごく一部で)盛り上がっているとか?!

昨年はその代表格とも言えるSauna Youthのライブを観て(その話はこちらで→)、手作り感満載で、「やりたい音楽をやってやろう!」という、バンドや主催レーベルのインディーズらしい空気に満ちた、ワクワクさせてくれるライブでした。

その楽しさをまた味わいたくて、今回のロンドン旅行では、とりあえずめぼしいライブが無い日は、手当たり次第にそんな「匂い」がしそうなライブに行ってみました!(・・・と、言っても、2つしか行ってないんですけどね。)

まず出かけたのがDeath Pedalsというロンドンで活動するバンドのライブ。あれこれとロンドンでのライブをチェックしていると、ピンときた白黒のメンバー写真のバンドがこのDeath Pedals。名前すら聞いた事がないので、早速YouTubeで試し聴きしてみると、うむうむ、予想通りにインディー系のパンクな音!


こんなライブに行ってきました @ Shacklewell Arms

しかも会場はイースト・ロンドンのハックニー地区にある話題のクラブ、The Shacklewell Arms!メジャーなバンドもシークレット・ライブで登場したりするこのクラブ。昨年出かけたField Day Festivalでも(こちらに書いてます→)ステージの冠スポンサーを勤めていたので、どんなクラブなのか一度行ってみたかったのです。

宿泊していたバービカン(Barbican)のホテルから、バスに揺られて30分。すっかりおシャレな街となったイースト・エンドらしく、大通りはクラブやレストランに出かける人たちで賑わっていますが、裏通りへと一歩入ると、ううっ!人通りのないフツーの住宅街・・・ちょっとドキドキしながらも早足に進むと、その一角にある昔ながらの雰囲気のパブが、目指すThe Shacklewell Armsでした。

重い木の扉を押して中に入ると、いかにもライブをやっているパブらしく、若いお客さんでいっぱい。で、肝心のライブはどこでやってんの?とキョロキョロしていると、店の奥の方からドタドタとドラムの音が。さらに店の奥の扉を開けて、地下の小さなスペースがライブ会場でした。「はい!ひとり5ポンドね!」と、笑顔がキュートなおネエちゃんに手にマジックで印をつけられ、会場の中はポツポツと数人のお客さんがいるだけ。


We Will Blood

しかし、その少ないお客さんの中に、ラフ・トレ親父達を発見!!

「ラフ・トレ親父」とは、去年のロンドン旅行で、ラフ・トレード・ショップでのインストア・ライブに出かけると、必ず一番前を陣取っていた親父たち。勝手にそんなあだ名をつけていたら、彼らがSauna Youthのライブにもいてビックリしましたが、そんな心底インディーな親父たちに1年ぶりに(勝手に)再会!しかもこの日も一番前を陣取ってる(笑)彼らが来ているということは、このライブは期待して良いのかっ??

会場に到着したのは9時過ぎで、周りのお客さんの会話から、ちょうど2番目のバンドが始まるのだと分かりました。客席でビールを飲んでいた奴らがそのまま楽器を持ってライブがスタート!すると上の階で飲んでいた人たちもワイワイと降りてきて、客席は一杯に・・・と言っても50人ぐらいですけど(苦笑)おまけに、ステージは4バンドの機材がパンパンで足の踏み場もない状態で、どのバンドもドラム以外は全員客席で演奏という、ちょっと笑えるステージング。

フォークギターをかき鳴らしながらもエクスペリメンタルな音のWe Will Blood、そして男女のツインドラムに、ボアダムスっぽいロックのCusual Nun。どちらもインディーな音で中々カッコ良いじゃないの!でもCusual Nunnanでは「ドラムが誕生日なんだよ」と紹介されれば、場内「ハッピー・バースデー」の大合唱したりとまったりムードでした。

そしてラストはDeath Pedals。実はこれば一番フツー、というか、聞きなれたUS系なオルタナティブ・パンク。疾走感のあるステージで、カッコ良いです。

どのバンドも聴きごたえ充分で、個性的で面白かったです。ラフ・トレ親父たちの耳はやっぱり確かなのか!?


Death Pedals

そして旅行最後の夜には、今度はロンドン橋の南岸のある名も知らぬクラブへ行ってみました。チョイスした決め手は・・・特に無し(苦笑)ライブの紹介文に「インディー・ロック」とか「オルタナティブ・パンク」なんて書いてあったから。

この日も東ロンドンのホワイト・チャペル(White Chapel)のホテルからバスで向かいました。ロンドン橋を渡ったところでバスを降り、昔ながらのお店の並ぶ大通りから、また裏通りへ。たどり着いたthe Millerというクラブは、ここもまたごくごくフツーの昔ながらのパブ。飲みにきた地元のオッさんたちと、ライブ目的と思われる若い人たちでまあまあ賑わってます。カウンターには美味しそうなクラフト・ビールがズラリと並んでいたので、まずは一杯注文。

でもライブはどこなの??と、またキョロキョロしていると、今度は上の方からドスンドスンとドラムの音が聞こえてきました。ビールを飲んでたお客さんも腰を上げて移動し始めたので、彼らについて階段を上がっていくと、おおっ、かなり広いライブ・スペースが!・・・でも人はまばら・・・というか、出演者と関係者しかいない(苦笑)それでもちゃんと入場料を取られ、手にスタンプを押されました。しかもラフ・トレ親父たちもいない・・・これは「はずれ」なのか?!それとも単純に、彼らの行動範囲が東ロンドンだけなのか??


the Millerでのライブ・・・確かWavesというバンド

この日も4バンドが出演。それぞれ30分ぐらいのライブを見せてくれましたが、う〜ん、この日のバンドは皆、まだまだという感じ(だからバンドの名前もチェックしなかった(苦笑))モロUS系オルタナ・パンクや、フューチャー・アイランズみたいな歌系バンド、そしてある時はマムフォード・アンド・サンズ、またある時はマニック・ストリート・プリーチャーズ、なんて「もう少しスタイルを決めてよ(苦笑)」と思わず突っ込みたくなるバンドなどなど。どのバンドも演奏はしっかりしているので、それなりに楽しかったですけどね。でも・・・やはりこのライブがラフ・トレ親父たちのアンテナに引っかからなかったのは納得(苦笑)ダンナ曰く、「このレベルでは、まだ東ロンドンではライブがやれないんだろうなぁ。」

でも、18歳の新ギタリストが加入したと紹介していたバンド(確か3番目)は、そのギタリストがとても良かったとダンナは評価していて、「彼を生かした音にすれば良いのになぁ」と勝手にアドバイスしていましたが、でもその18歳のギタリストはビールを買おうとして、お店の人に断られていました。お酒もバンドもこれからだね(笑)


たぶんHey Giganticというバンド

と、こんな感じで、さすがにこんな手当たり次第では、「これはっ!!」と思わせてくれるようなバンドにはなかなか出会えません。ましてや、ガイド・ブックの決まり文句のような「未来のビッグ・バンドに出会えるかも?」なんて事もありませんよ。でも確かにインディーズらしいパンク・バンドが増えてきているのは感じさせてくれます。ビール片手にロンドンでDIYパンクを味わう。お勧めですっ!

ちなみに、the Millerに行こうとバスを降りたところで偶然見つけたのが、最近日本でも紹介されている話題のフード・マーケット「バラ・マーケット(Borough Market)」!翌日さっそく訪れてみました。その話はこちらで→