30/APRIL/2016■ LIVE AT LEEDS ■ at Leeds various venues
イングランド北部の都市リーズ(Leeds)といえば、リーズ大学などがある学園都市であり、ウェディング・プレゼントやカイザー・チーフスを生み出した都市であり、有名ロック・フェス「レディング&リーズ・フェスティバル」の”レディングではない”側の開催地。
と、これだけ紹介文を並べても、あまりイメージがピンとこない都市ですが、ちょうど日本のゴールデン・ウィークの時期に毎年そのリーズで行われているロック・フェスが、この「Live at Leeds」!2010年に偶然発見して出かけたこのフェスティバル。(その時のレポはこちらから→)街のあちこちで繰り広げられるライブを1日中渡り歩いて楽しむ街フェスで、当時は小じんまりとしてまだまだ無名フェスでしたが、最近ではNMEなどの雑誌にも取り上げられるようになりました。Live at Leedsは6年の間にどんな風に変わったのか。
フェスティバル自体は金曜日から日曜日までイベントがありますが、とりあえずメインの土曜日のチケットをゲットせねば。
街のあちこちにポスターが!
オフィシャル・サイトでは、海外からチケット購入しても受け取りが郵送だけだったので、ライブ当日に店頭受け取りができるCrush Recordのサイトから購入しました。「Crush Record」はリーズの街にある独立系インディー・レコードショップですが、以前訪れた時に好感度が高かったので、ここを選びました。今回も「チケット用意できましたよ。いつでも取りに来て」なんて、小まめにメールが来て、またまた好感度UPでした。
そして、このフェスティバルにはエレクトリック系からフォークまで、200近いバンドやアーティストが有名無名入り混じって出演します。この年の目玉はBand of Skulls、We are Scientists、Future of the Left、Blood Red Shoes、Rat Boy、Los Campesinosなどなど。とはいえ、ほとんどのバンドは名前も聞いた事がないようなレベルですけどね。こんな中から掘り出しモノを期待してまったりとビールでも飲みながらパブ回りをするも良し、目当てのバンドに狙いをつけて大きめのステージを廻るのも良いんです。
しかしどちらにしても事前準備は必要です。前回のフェスでは、街に点在するライブ会場がなかなか見つけられなかったので、今回はタイムテーブルを見ながら事前に廻る計画をきっちり立てて、場所もグーグルでしっかり調べておきました。これで用意は万全!!・・・のはず。
リーズへはロンドン・キングスクロス駅から列車で約2時間。フェスは12時にスタートしますが、2時頃にホテルを出発して、まずはチケットを受け取りにCrush Recoedへ。
リーズ中心のショッピング・エリアを歩いていると、すでにどこからか音楽が聞こえてくる!するとショッピング・ストリートのド真ん中にLive at Leedsの無料ステージが作られていてビックリ。街を巻き込んだこんな大きなイベントに発展していたのか!チケットが買えないロー・ティーンの子達から、買い物中の年配の夫婦まで足を止めてました。
街のド真ん中に無料ステージまで!小さいステージだけどね
Crush Recordでは、カウンターのおネエさんが笑顔でチケットを渡してくれ、さらに「リストバンド交換場所は分かってる?」とわざわざ声をかけてくれました。「坂の上にあるアリーナでしょ?」「そうよ!分かってるわね。じゃあ楽しんできてね!」と、またまたお店の好感度がUP!しかもチケットが入った封筒には「日本から受け取りに来るぞ!」と注意書きが書かれてるよ。「うわっ!日本から来るのかよ?」と驚かれたのかな。
チケットはリストバンドに交換
受け取ったチケットはリストバンドに交換しなければいけません。交換場所のFirst Direct Arenaへ向かったものの、リーズは坂が多いので、延々と坂道を15分くらい上がり、リストバンドを受け取って、また目当てのライブ会場まで延々と坂道を下る・・・。う〜ん、初っ端から体力を消耗するなぁ。
Holy Esque at Oporto
まずはYouTubeで聴いて気になっていたバンドHoly Esqueを観に会場のOportoへ。パブの奥にあるステージにバンドが登場すると、ビールを飲んでまったりしていた人たちも移動してきて、昼間からなかなかの熱気!グラスゴーのバンドHoly Esqueは”いかにもグラスゴー”的なエクスペリメンタルな音かと想像していたのに、昔のEditorsを彷彿とさせるようなポスト・パンク系な音で良いバンド。でもビール・ケースにベニア板を乗せただけのステージは、良い意味でDIY感満載、はっきりいえば町内会の夏祭りのような作り(苦笑)メンバーが動き回るたびにミシミシと音がして、崩れやしないかとちょっとドキドキしながらもライブを満喫しました。
そして「久々のMistery Jetsだっ!」と、張り切って会場のO2アカデミーへと坂を登っていったら、なんじゃ、こりゃ!?と驚くほどの入場待ちの列が会場をグルリと取り囲んでる・・・仕方なく彼らのライブは諦めました。Mistery Jetsはそんなに人気なのか??と思ったものの、実はこの会場の出演者は、彼ら以外はラップ系やメジャー系ポップスだったので、それが目当てな人たちが大半だったのかも。
そんな訳で、空いてしまった時間はリーズ・ベケット大学(リーズ・メトロポリタン大学)とメイン会場のリーズ大学へ出かけてみることに。ベケット大学は何の案内もないので係員にステージの場所を聞き、そしてリーズ大学は敷地が広いので「前回と同じUnionのビルだよなぁ」と学内の案内図を観ていると「どこ行きたいの?」と警備のおニイちゃんが教えてくれました。このフェスの難点は地元民以外にとって会場が解りにくく、配布されるパンフも「こんなので分かるかぁ!」と、叩きつけたくなる程の簡単な地図のみ。やはり前回の時よりはメジャーなフェスになったのか、他所から来た人達も増えたようで、皆んな、道路のあちこちにある街の地図とパンフを照らし合わせて悩んでました。
リーズ大学へと向かう人々・・・多分
大学のステージをウロウロしているうちに、話題のティーンズ・バンド、ザ・シャーロックス(The Sharlocks)の時間が近づいてきたので、リーズ大学のロビーに行くとまたしても、うわっ!なんだ、こりゃ!?と焦るほどの行列ができている。そんなに人気バンドなの?!とりあえず行列の後ろに並んでいると、やってきた女の子たちに「ねえ!これ、シャーロックで並んでるの!?」といきなり聞かれ、え!?えっと・・・「たぶん・・」と自信なく答えると、前のお兄さんも「俺もそう思って並んでる」と苦笑。並んでいる人達も皆、「多分」「そうだと思う」と言うばかり。とりあえず行列におとなしく並ぶイギリス人と日本人の気質だねぇ(苦笑)
ともかく、無事にリーズ大学のサブ・ステージに入場したのですが、10代の少年少女は会場に入るとステージ前に突進!ザ・シャーロックが登場すれば黄色い大歓声!「Hello! Leeds!」と演奏が始まれば、もう場内は大合唱!こんなに人気なバンドだとは(汗)アークティック・モンキーズをさらに親しみやすくしたポップ・ロックで盛り上がって、それはそれで観ていて楽しいけど、さすがにオバさんではついていけない・・・。
なので、オバさんはAutobahnのライブを観にベケット大学へ退散です。
音はめちゃゴスなAutobahn at Leeds Beckett Union
昨年1stアルバムをリリースした地元リーズのバンド、Autobahn。ウチのダンナさんはこのアルバムにハマり、彼らを観るためにこのフェスについてきたようなもの。ジョイ・ディビジョンやバウハウス、最近で言えば1stアルバムの頃のThe Horrorsのような80年代ニュー・ウェーブやパンク、ゴス・ロックの彼らの音は、これまでチラ見していたバンドより一皮むけた独自の音楽でカッコイイ!会場を埋めた観客達もちょっと年齢高め。ダンナも彼らの音は大満足でしたが、ダサダサな服装には「もうちょっと気張ってイメージを作ればいいのになぁ!」と、そこは文句タラタラでした。
他にもたくさん会場はありますが、結局この2会場の4ステージを行ったり来たりしているだけで精一杯。基本的にはリーズ大学のサブ・ステージはティーン向けのストレートなロック系を集めたようで、「オーストラリアのネクスト・オアシス」と呼ばれてるDMA'Sや、Blossomsで盛り上がってました。
そして今回、私の一番のお目当だったロス・キャンペシーノス!(Los Campasinos!)彼らはメイン・ステージに登場!・・・なんですが、少し早めに会場に入ってしまい、まだSpring Kingのライブの最中でした。マンチェスター出身の彼らは今時珍しいシンプルなガレージ系パンク。でもアロハ・シャツ姿でちょっとポッチャリしたそのルックスがちょっと残念。最近のバンドは見た目にこだわらないのかなぁ。
そして、カーディフのポップ・インディー・ロック・バンド、ロス・キャンペシーノスを観るのは1stアルバム当時の2008年の来日以来。「まだやってるの?」なんて思われている方もいるかもしれませんが、メンバー交代をしながらも、常に評価の高いアルバムをリリースし続けています。根強いファンも多いのか、満員の客席は大学生以上の高めの年齢層。「新しいアルバムもリリースしているから、その曲を演ってもいいかな?」と、わざわざ観客に断ってから演奏した5thアルバムの曲から、懐かしの1stアルバムの曲までの名曲メドレーで、集まったファンは全曲大合唱!
お腹ポッテリなLos Campesinos! at Leeds University Union Stylus Gigwise Stage
ボーカルのギャレスもすっかりオッさんな体型になり、大学生が学生寮でワイワイやってるみたいな雰囲気は無くなりましたが、彼らの持つDIY感やパンク・スピリットは相変わらず!それでいて抜群のポップ感覚も健在!ギャレスは懐かしのザ・ビューティフル・サウスのTシャツを着て、サウンド・チェックの時には彼らの「Song For Whoever」を歌ったりと、うむむ、彼らのポップ・センスはここがルーツなのか!?なんて、新たな発見。でもね、そのTシャツ、裏には「Beautiful South(美しき南部)」、表は「Northern Scum(北部のクソ野郎)」と書かれていて、イングランド北部出身のビューティフル・サウスのTシャツとして当時は爆笑したけれど、南部(というかウェールズ)出身のあんた達が、北部のリーズでそれを着るのはギャグにならないぞ??
ともかく、「しまったぁ、歌詞を覚えとけば良かった」と大合唱の中で後悔しながらも、彼らのDIYパンクを満喫して、あっと言う間のライブでした。
しかしライブが終わる頃にはドッと疲れが・・・Circa Wavesで盛り上がり最高潮のサブ・ステージを覗きにいったものの、もう 体力の限界。でもホテルへ帰ろうと街に出れば、あちこちから音楽が聞こえてくるから、少し立ち寄ってみたり。そしてホテル近くのHolly Trinity Charchで、なぜかやたらとメンバーが不機嫌だったSlow Clubのアコースティックなライブでクールダウンして1日を締めくくりました。
リーズという街がバック・アップして、Dr.マーチンのような大手スポンサーも増えて、ずいぶんと大規模になっていたLive at Leeds。でもどこかのんびりした空気感は相変わらずでした。そして体力が必要なのも相変わらず(笑)チョコチョコとした移動なのにかなり疲れました。なので、行こうと思われる方はしっかり体力をつけて行きましょうね!そしてパンフレットに載っている地図の大雑把さも相変わらずだったので(笑)あちこちのクラブを観て回りたいと思う方はしっかり下調べしてから行きましょう!