陽もすっかり暮れ、そろそろヘッズさん登場の時間!
するとセッティング中のステージにテンガロン・ハット姿のオジさん(おジイさん?)が登場。どうやらこの方が地主様(?)らしく、盛り上がっている観客がコールなんて始めちゃうからオジさんも調子にのっちゃって、
「みんなぁ!どうして今年はフューチャーヘッズを呼んだのか分かるかっ!?奴らはロックだっ!!俺は奴らが大好きなんだぁぁ!!」
とマイクに向かって絶叫(笑)観客も大騒ぎ!
しかしちょっといい気になりすぎて、いつまでもステージ上でノっていたら、「はいはい、邪魔だから」とスタッフに追い返されてしまいました(笑)
ところがオジさんが引っ込んだ後、スーツを着た3人組が「こんばんわっ!」とステージに登場。あれっ?10時になったのにヘッズさんじゃない?そんなにタイムテーブルが押しているの??(なにしろタイムテーブルなんてA4の紙でペラっとチケット売り場に張られているだけだったので、ヘッズさん以外に誰がいつ出てくるのか全然分からない。)
で、エジンバラから来たというそのバンドは、SUPERGRASS風というかSTEREOPHONICS風というか?とにかくお客さんは大盛り上がり。ステージ前は列整理に使うような柵がポンと置いてあるだけだったので、慌ててセキュリティーが柵を押さえに出てきました。
この日の観客達も普段はあまりライブになんて行けないような10代中盤ぐらいからの子供達が中心で、とにかく騒ぎ方がハンパじゃない。でも先週の2つのフェスは「とにかく盛り上がらなきゃソン!」という雰囲気だったけど、この日は・・・まるで「ロックに飢えている」かのような凄まじさ。
そしてそのバンドも終わり、バックステージにはロス達の姿が。やっとヘッズさんが始まるのね〜と、思ったのに今度はセッティングが全然終わらない!どうもヘッズさんのローディーがセッティングをすると、その横で会場のスタッフが手を出して配線をおかしくしているみたい。本人は懸命に手伝っているつもりなんだろうけどさ(苦笑)
そんな風に延々と待たされていても「がんばれよ〜」みたいにニコニコ笑って見ているヘッズさん達。呑気というか人が良いというか。
ロスとジャフは流れているSEの曲に合わせてドラムを叩くようにリズムを取ってる。今日は皆、テンション高そう。
そしてそのローディーがようやく「ワン、ツー」とマイクチェックを始めると、いきなり観客から「スリー、フォー!」と合いの手?が入る。
ローディー:「?・・・ワン、ツー」
観客:「スリー!フォー!」
ローディー:「(苦笑)ワン、ツー」
観客:「スリー!フォー!」
あんた達、ライブ前から盛り上がり過ぎだってば(笑)
結局セッティングに1時間以上かかり(それでもニコニコしてるヘッズさん達) 時間は11時半。気温はどんどん下がっているけど、とりあえず雨は止んだぜっ!
そしてそして、遂にフューチャーヘッズの登場だぁ!って、よほど待ちくたびれたように見えたのか、ステージに出てきたロスに「大丈夫?」って苦笑されちゃったけど。
半袖のバリー(苦笑)
「イングランド北東部サンダーランドから来たフューチャーヘッズです!」
「ROCKする準備はできてるか!?ROLLする準備はできてるか!?両方一緒にやる準備はできているかっ!?」と、ちょっと笑えるバリーの新バージョンの掛け声で「THE BEGINNING OF THE TWIST」!うおっ、今日は最初から飛ばし気味!
そしてデイヴのスネア・ドラムに合わせて始まる「ROBOT」!今日のロスのボーカルはめちゃくちゃワイルドっ!ステージ前で客が潰れてるのを見るのが大好き(笑)というロスだから、モッシュしまくりの今日の盛り上がりにテンションが上がってあたりまえ。
とはいえ「怪我人が出ないようにね!転んだ人がいれば助けて、お互いに気をつけて!」と盛り上がり過ぎを心配するロス。
ところが「皆はこんなクソみたいな天気は気にもしないよな!?だってスコットランドはサバイバー達の国なんだろっ!」とさらに煽るバリー(笑)
そして「さっきのサウンドチェックの時のヤツ、面白かったな!?『ワン・ツー』って言うと?」「スリー!フォー!」とまた答える観客。ジャフも真似て「ワン、ツー!?」「スリー!フォー!」と返ってきて大笑い。
そしてバリーが「じゃあ次の曲のカウントをやってくれよ!ワン、ツー!?」「ワン!ツー!スリー!フォー!」と観客のカウントで始まったのは「STRUCK DUMB」!
そして「ライティング担当さん、赤のライトはある?」とバリーのお願いでステージ・ライトを真っ赤にして始まったのが「SUN GOES DOWN」!
んが、その時いきなり私の手の上にドンっと巨大な一眼レフカメラが!?な、なに!?
セキュリティー・ビットの中でヘッズさんの写真を撮っていたカメラマンが「ちょっと持ってろ」と手で合図。どういうコト?と戸惑っていたら、今度は私のちびカメラを持っていってしまった。
どうやら客席からそんなちびカメラで撮ってる私を不憫に思い(?)私のカメラでバリーを接写してくれたのですが、「おじさん〜、気持ちは嬉しいけど、私が撮りたいのは地味に(?)歌ってるバリーじゃないの〜。ヘンなポーズの(??)バリーが撮りたいのよ〜」なんて思っていると、ギターを構えてバリーがヘンなポーズ!今だぁ!・・・って、そんなモン狙ってどうする!
こんなポーズとか?
ともかく、スタッフ皆さんはそんなほのぼのした感じでしたが、ステージ前では組み直した柵が崩れそうでセキュリティーは大慌て。
こんな騒ぎは例外なんだろうなぁ。だってその日に泊まったB&Bのオーナーも「えっ!ロウチェスター・フェスティバルにフューチャーヘッズが出たの!?そりゃセキュリティーが必要になるよなぁ。あのフェスティバルは普段はもっとアコースティックな雰囲気なんだよ」と驚いていましたから。
とにかく観客が盛り上がればダイレクトにテンションが盛り上がっちゃうのがフューチャーヘッズ。そうなるとさらに演奏がパワーアップして、よけい観客を盛り上げちゃう。この魔の(?)サイクルに入ったヘッズさんは止められません(笑)
しかもフェスとはいえ、ステージの大きさも観客の規模も小さなクラブでやっているみたいで、バリーが動き回るスペースはありませんが(笑)ヘッズさんにとっては一番やり易い雰囲気だったのかも?
でも、
ジャフ「クラウド・サーフはやめろよ。誰も受け止めないと死んじゃうぞ!」
バリー「ここに来ている全員はビューティフルでワンダフルなんだからな。お互いで気をつけてくれよ!」
と、この日も観客をクールダウンするためにセット・リストを変えてトラッド・ソングのアカペラを披露!
ジャフなんてビール片手にアカペラ(笑)
「キーパー」では観客の手拍子に合わせて。
そして「ドンカウ」では「この曲はコーラスを味わってくれよ。手拍子は無しで!」とバリーが言えば、手拍子を始める奴がいるのは当たり前(笑)「だから手拍子はするなって!」と笑うバリー。こんな観客とのやりとりがまたヘッズさんのテンションを上げちゃうんだな。
「ファイヤーマンがドアをノックする」と歌えばバリーの足拍子に合わせて「パン!パン!」と手拍子が入り、「誰かが叫んだ!『マッキン・タイヤー!』」と歌えば「マッキン・タイヤー!!」と叫ぶ観客に満面の笑みのヘッズさん。いや〜この日はアカペラもメチャ楽しそう。
「俺たちのアカペラはあくまでパンク!」とバリーがインタビューで言っていた通り、アカペラでも4ピースだけで作り出すシンプルでストレートなヘッズさんの音のコアな部分はそのまま。カッコいい〜。アルバムが楽しみ。
そして「ロックン・ロールに戻るよ!」とロスの一言で始まった「THE CHAOS」。またまたモッシュの観客達。
そして「CARNIVAL KIDS」ではロスまで「ワン!ツー!スリー!フォー!」のカウントで絶叫。ええ〜っ、ロスってそんなコトする人でしたか!?(笑)
そしてお馴染みの「HOUNDS OF LOVE」!
「ロス・チーム!」「ウォー!」ロス側は男性陣多し。
「ジャフ・チーム!」「キャー!」と、ジャフ側は女性陣。
「ウォー!」「キャー!」「ウォー!」「キャー!」と対照的なコールにロスが大受け。
しかし、この日はかなりジャフ・チームに押され悔しそうなロスでした。でもさぁ、ロス・チームのパートはちゃんとメロディーがあるからなかなか大声を出せないんだよねぇ。音痴君が隣にいたりするとつられそうになるし(苦笑)
「すばらしい週末をありがとう!」とロス。珍しく客のコールに合わせて小さくリズムを取るデイヴ。そして彼のドラムの一撃でラストの「Man Ray」が始まる!そして今夜こそは4人の(まさしく)「GOOD NIGHT!」で締めっ!
いやぁ、楽しいライブでした。はるばるこんな僻地まで(コラコラ)レンタカーで来た甲斐があったってモンだ。
「ヘッズさんは茶目っ気が出てくるとこんなにカッコ良くなるんだねぇ」とダンナさん。
なんだかんだと私に付合わされて(?)6回もヘッズさんのライブを見ている訳ですが、こんなヘッズさんを見たのは初めてだと言ってました。へへん、そうでしょ?
無論、ヘッズさんのライブはいつもカッコ良いです。でも茶目っ気というか、ノッてきてフロント3人がやたらとおしゃベりになった時は魔のサイクルにハマっている証拠。そしてそんな時のライブはもっともっとカッコ良くなるっ!こんな瞬間が作り出せるバンドこそがロック・バンドであり、ライブ・バンドだよね〜。
だから私だって地主様みたいに言いたいぞ!「奴らはロックだ!だから奴らが大好きなんだ〜!」ってね。
出発前は「所詮はフェスティバルでのライブ」と、正直さほど期待していなかったのですが、たぶんこんな機会でもなければ絶対行かないような地方の色んなフェスを訪れ、そしてヘッズさんのライブ・バンドとしての力量を見せつけられ、予想外に楽しいマイナー・フェス巡りでしたね。
で、この日のロウチェスター・フェスティバルはタイム・テーブルが押し過ぎて、予定されていたDJタイムは中止に。まだまだ騒ぎ足りないお客さんたちはブーイングしてたけど、君達、もう夜中の1時ですよ。お母さんたちが駐車場で待っているからお家に帰りなさいってば。
そして私達もまたドシャ降りになった雨の中、B&Bへと帰りましたが、対向車も来ない深夜の田舎道をひたすら走っていると、ライトにビックリした羊たちの目が暗闇の中でギラギラ光ってこっちをジッと睨んでるから怖かったぁ〜(涙)ちょっとホラーな締めくくりとなりました。