シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー
7月22日 part 1/アレッポ観光ーアレッポ城
レトロな雰囲気に浸れるバロン・ホテルでしたが、ひとつ欠点がありました。それは、外の騒音が筒抜けなのです。ホテル前のバロン通りが深夜遅くまで騒がしいので、気になりそうな人は耳栓を持っていくほうがいいかも・・・とはいえ、ヨーロッパからのツアーの古い広告や、遺跡の写真があちこちに飾られ、これがまたレトロな雰囲気を醸し出しているこのホテルの魅力に比べれば、大した欠陥じゃありません。古いシリアの遺跡地図を見ながら、「へ〜っ、カルケミシュ(ロレンスが発掘隊として滞在していた村)は近いのか」なんて、あれこれ考えていると、ホテルのおじさんが「行きたいところがあれば直ぐにツアーを手配するからね」と言ってくれました。

アレッポ城
でも、今日はとりあえずアレッポ観光です。ホテルで街の地図をもらい、まずはアレッポ城へと向かいました。シリアのコインにもデザインされているアレッポ城は、街のシンボル的存在。巨大な城壁と深い堀に囲まれた外観は堂々としていて迫力があります。しかし中に入ると、あれっ?何だ、ここは?

中はこんな感じ
城壁を抜けて中に入ると、そこはまるで廃墟。建物らしきものが何もなくて、部屋や通路らしき跡や地下室などが残っているだけ。その一方で、他のお客さんたちの後について狭い階段を上がっていくと、いきなりイスラム風の装飾が豪奢な広間があったりして、う〜ん、訳が分からん遺跡だ。

こんな広間もあったりする
ごっつい要塞のような外観からすると、少々拍子抜けしましたが、それでも城壁の上からアレッポの街が一望できて、眺望は最高なので、訪れる価値アリです。
でも、暑さのせいか、疲れなのか、妙に体が重くなってきました。アレッポ城で風景を眺めながらしばらく休憩しても、外のマクハ(喫茶店)で温かい紅茶を飲んでも、やっぱり体が重い。ちょっと早めの昼食を食べながら少しゆっくりしようと、ケバブを買って、店の外の路上で座って食べていると、お店のニイちゃんがコップで水をくれました。
「これ、水道水だよね?シリアの水は飲めるそうだけど、水あたりしないかなぁ?」
と心配しつつも、せっかく戴いた水を捨てては失礼だと思って、飲み干しました。冷たくておいしかったけど、お腹はピーピーになりました(苦笑)
それでも変わらず体が重いので、「もう少し体を休めよう」と、近くにあるジャミア・ザカリーエという大きなモスクに入りました。また全身を隠すマントを渡されて、ネズミ男のような姿で涼しい回廊の日陰で休んでいると、子供達が遠巻きにしながら「うわ〜外人だぁ」なんて表情でこちらを見ている。
「よおっ!」と手を挙げてみると、「キャ〜っ!!」と騒いで逃げてしまった(笑)
でも気がつくと、また微妙に距離を縮めて集まってきてる。「よっ!」と、また手を挙げると、またしても「キャ〜っ!」と逃げて行く。あはは(笑)
しかし、遂に私達の前にやってきてモジモジしながらも、一人が「イスミック?(名前は?)」と言ってきました。おっ!それぐらいのアラビア語は分かるぞ!と、いい気になって「アナー・イスミー・・・(私の名前は・・・)」と答えると、「この外人さん、言葉が通じるよっ!」と思ったのか、いきなり全員が一斉に「あのね!あのね!」と話しかけてきたっ(汗)違う!違う!アラビア語が話せる訳じゃないってば!

「よしっ!こんな時こそ『指差し会話本』だ!」と思いきや、この子たちはまだ字が読めなかった(苦笑)そしてさらに「あのね!あのね!」と全員が好き勝手に話してくる。
そんな騒ぎを見て、大人達が集まってきて何か言ってくるので、「モスクで騒ぐなと怒られてるのかな?」と思いきや、「ねえねえ!私達と一緒に写真を撮りましょうよ!」と、記念写真を撮られました(笑)
大人達が去ると、またもや「あのね!あのね!」攻撃が始まる。かわいくて面白いんだけど、ちょっと困ったなぁ、と、ダンナを見ると、ダンナもいつの間にかシリア人青年に捕まって熱心に話しかけられてる(笑)その青年が通訳をしてくれて、そして子供達に「さあ、もう両親のところに行きなさい」と言ったのか、子供達はちょっと名残惜しそうな顔をしつつも「バイバ〜イ!」と戻って行きました。
そして次はシリア人青年のお相手。彼は英語が上手で、「僕は経済を勉強している。アメリカに攻撃されたイラクはあの状態なのに、なぜ日本はあんなに発展できたんだ!?説明してくれ!」と、熱心に日本について質問されました。「日本人と話しをする機会は無いの?」と聞くと、「皆、遺跡を見てそのまま帰ってしまうから、こんな風に話しはできないよ。どうして遺跡しか見ないんだろう?それを作ったのはその土地の人間なんだから、その人たちとも話しをするべきじゃないか?」と、熱く語っていました。
大変だったけど、楽しいひとときでした。