シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー
7月21日 part 2/そしてアレッポへ

バロン・ホテル
クラック・ド・シュバリエを出発し、トルコとの国境近く、シリア第2の古都アレッポへ向かいました。ハイウェイを3時間ほど走り、「風景が街っぽくなってきたなぁ」と思った途端、いきなり無口だったドライバーのニイちゃんが何か喋りました。
「えっ?」
「バロン・ホテルだよ」
外を見ると、すでにホテルに到着していました。
ニイちゃんにお礼を言い、最後に一言「マァ・サラーマ」(別れの挨拶で、直訳すると「ご無事で」という意味)と言うと、初めてニッコリと満面の笑みを浮かべて「マァ・サラーマ」と返事してくれました。英語があまり通じなくても、色々話しかけてみればよかったなぁ。
今夜のお宿「バロン・ホテル」は、100年近く前、鉄道でこの地を訪れるようになった欧米の観光客のために造られたホテルで、各国の要人や有名人が利用したことで有名です。
とはいえ、私にとってここはロレンスが泊まったホテルという事で(笑)。今年2月にロンドンの大英博物館で見たロレンスの手紙は、このホテルの便箋で書かれていました。(その話はこちらから→)そんなホテルに今でも泊まれると聞いたら、そりゃあ泊まるよね?
そんな憧れ(?)のバロン・ホテルは想像通りでした。天井が高いレトロなホテルは、若き日のロレンスが、ダフームと一緒に今にもロビーの階段を降りてきそうな、そんな情景を思い浮かべてしまうような、20世紀初頭の古き良き時代の雰囲気を残したホテルでした。
ただ心配だったのは、「設備も骨董品なみ」という評判ですが、私達の部屋は後に増築された4階だったので、ホテルの古い雰囲気は味わいつつも、部屋はきれいで水回りも新しくて、とても快適な滞在でした。(ご参考までに、その部屋は51ドルでしたが、古い部屋は30ドルくらいで泊まれるみたいです。)

アレッポの街並み
チェックインを済ませて近くの繁華街に出かけてみると、狭い歩道は歩くのも大変なくらいの混雑っぷりで、しかも男ばっかり(苦笑)おまけに皆、男同士で手をつないだり、腕組みしてる・・・。ガードレールに腰掛けて、おでこをくっつけて話してる男の子たちもいたり。イスラム教では結婚前の男女関係については厳しいため、若い男女がデートなんて難しいのだろうし、彼らも単なる友人関係何だろうけど、それでもヒゲのオヤジ2人がニコニコと腕組みして歩いていると、一瞬、新宿2丁目かと思ってしまう(苦笑)

外の写真を撮っていたら
乱入して来たジイさん(笑)
夕食のレストランがなかなか決められなくて、ホテルの近くにあったテイクアウトのお店をのぞいてみました。めちゃくちゃ混んでいるので、これはきっと美味いぞ!どうやら、入口に座っているジイさんから食券代わりのコインを購入し、それをカウンターに出してサンドイッチ(ロール上のケバブ)をもらっているみたい。でもアラビア語のメニューがあるだけなのでさっぱり分からない。とりあえずジイさんに、手でロールを作る真似をしながら「2つ」と指で示すと、ジイさんも頷きながら「コレだな?」なんて同じ仕草をして、コインを2枚くれました。値段も分からないので財布を見せると、グイっとコインを押し付けられた・・・えっ?・・・財布からお札を出すと、「いいから持ってきな!」と言わんばかりに、手でシッシと追い払われてしまいました。おごりなの?ありがとう!ジイさんっ!
そのコインでもらえたのはケバブではなく、すり潰したひよこ豆をダンゴにして揚げた「タファル」らしきものと生野菜が入ったサンドイッチで、これがメチャクチャ美味しい!私達はそのまま食べたけど、現地の人たちは、外のテーブルに枝ごと山盛りになったミントをかじりながら食べていました。
お腹もいっぱいになってホテルに帰ると、玄関前のテラスでは宿泊客が夕涼みをしていました。ビールを飲んでいる人がいたので「おっ!シリア・ビール?」と、同じビールを注文したら、それはエジプト・ビールでした。残念っ!陽の沈んだアレッポはとても涼しく、オレンジ・ジュースを飲むダンナと街を見ながら、しばらくの間、のんびり。お風呂にもゆっくり入って、疲れが取れたかな?
