2度目のシリア旅行 2007年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、再度中東へー

7月24日 part 1 / ダマスカス&ボスラ遺跡

夜行に乗ると、明け方近くに列車が停まった時につい目が覚めちゃうものです。チラっと外を覗くと、まだ真っ暗な砂漠の中の駅で、何人もの男の人たちが列車に乗りこんでいくのが見えました。こんな時間から出勤なのかなぁ。アラブの人達は意外と勤勉なのか?

少しづつ外が明るくなってきて、またこっそり外を見ました。砂漠から登る朝日を期待していたら・・・見えない。しかも列車はすでにダマスカス郊外に入ってしまい、周りは街の風景(苦笑)う〜ん、残念、と、思っていたら、いきなりドアをノックされ、車掌さんがパスポートを持ってきてくれました。「もうすぐダマスカスに着くよ!」と告げられ、いそいでダンナを起こして身支度を済ませると、もうダマスカスの駅でした。


ダマスカス郊外の駅

朝6時のダマスカスは、空気も少しひんやりしていました。ここの駅も郊外あり、こんな早朝でもすぐに客待ちしたタクシーに声をかけられました。寝起きで頭も働いてないので、言われるままにタクシーに乗り込んだものの、私達が目指すホテルの場所を運転手が分からないみたい。「たぶんあの辺だ。大丈夫。」ほんとかよ?(苦笑)

しかも、なぜか途中で、他のタクシーに乗っていた女の子たちがこっちに移ってきた?でも、その中の一人が英語が話せたので、「ここのホテルに行きたいんだけど」と、その子に通訳してもらったんですが、運転手はそれでも場所が分からないらしい。おいおい(さらに苦笑)

結局「この辺だよ」とタクシーを降ろされたけど、明らかに違う・・・。ダマスカス旧市街近くだったので、地図を頼りになんとか目指すホテルまで歩いて行けましたが、多少でも土地勘がある場所でよかった(汗)

目指したのはバックパッカー御用達と言われるアル・ラビ・ホテル。中に入ると、布団を敷いてロビーで寝てる人がいる(汗)もしかしてホテルの人なの?

昨夜、ワリドさんからホテルに問い合わせの電話してもらった時は、部屋が空くかどうかは分からないとの返事でした。でもワリドさんは、
「断らなかったというコトは、たぶん空きが出るんだよ。もし、そこがダメでも、ダマスカスはたくさんホテルがあるから大丈夫。」
と、言っていたので、その寝ていた人に聞くと、
「うーん、今はとにかく満室で、オーナーが昼に来るから、それまでは部屋が空くかどうか、僕には分からないんだ。」と、眠そうな返事。
「荷物を預かってもらえる?」
「いいよ、その辺に置いておいて。」
その辺って・・・。ドアを空けると、そこは小さな中庭でした。レストランなのか、ブドウ棚が上を覆っていて、すごく気持ちが良い雰囲気・・・でも、ここに荷物を置いておくのはさすがに不安。
「いい雰囲気のホテルだね。これなら満室になるよ。」
と、ダンナ。泊まってみたいけど、空きが出るか分からないし、ここに荷物を置きっぱなしにするのもね・・・。「他のホテルに行こう。」

すぐ隣にある2番人気のホテルに行ってみると、そこも満室でした。

少し離れたところにある3番人気(?)のホテルを探してウロウロしていると、店のオヤジが「何を探してるんだ?」と聞いてきました。ホテルの名前を言うと、
「なんだ、それなら目の前にあるだろ。」
えっ!このホテル?アラビア語の看板しか出てないから分からなかった。確かにロンプラにはあまり英語が通じないとは書いてあるけど、さすがに看板まで英語表記がないホテルに泊まる度胸はない。

あ〜っ、もう面倒くさいっ!去年に泊まったスルタン・ホテルに行っちゃえ!タクシーを捕まえて、スルタン・ホテルに行くと、
「今日一日でいいんだね?一部屋なら空いてるよ。ラッキーだったね。」
「ラッキー?」
「そうだよ。他は全く満室で、ここだけ空いていたんだ。」
それは確かに幸運だった(汗)しかし、ダマスカスはそんなにホテルが混雑しているのかな?確かにバロン・ホテルも、去年に比べて人が大勢いたし。シリアに観光客が戻ってきているのかな?

ともかく、今夜の部屋も決まって、荷物を置いて安心して出かけられます。今日の目的地はボスラ遺跡(ほんとタライ回しツアー並みの日程(笑))ダマスカス郊外にある遺跡で、なぜここに行くのかと言うと、これでシリアの世界遺産は全部制覇したことになるから。そういう単純な理由です。(笑)

ボスラ行きのバスが出るターミナルの名前をホテルで書いてもらい、タクシーに乗りました・・・がっ、めちゃくちゃ遠くない?!高速道路っぽい道まで走ってるし。大丈夫かな〜、と心配になってきたところでターミナルに到着。すると200SPも請求されて「遠回りしてない?」とちょっと疑惑が・・・。

チケット売場に行くと、バスは1時間半後だと言われました。ボスラ遺跡は比較的ダマスカスに近いので、軽い気持ちで行こうとしてたけど、一日かかっちゃうな。


黒いボスラ遺跡

そのバス停には売店がありませんが、隣の近距離バスのターミナルには売店や屋台があって、そこで朝食を調達しました。チケット売場に戻って食べていると、ダンナの隣にいたニイちゃんに英語で話しかけられました。彼はボスラに住んでいて、ダマスカスに一泊して今から帰るのだそうです。3人であれこれと話しをしていたらあっと言う間に出発の時間になりました。

ボスラは、ダマスカスからバスで1時間半ほど南下した、ヨルダンとの国境近くにある遺跡です。バスに乗った途端、ダンナは熟睡。私もさすがに今日は眠い・・・でも寝てはいられない!だって、ボスラに行く途中にはデラアがあるっ!そこは戦争中にロレンスがトルコ軍につかまった街。ロレンス好きにとっては忘れられない名前の街だし、ロンプラにもわざわざ「デラアはボスラに行く途中に通る」と説明してあるのよ。眠い目をこすって、砂漠の中の道路標識を凝視していると、うんうん、「Der'a」って書いてある。「デラアはまだか〜っ!」と心の中で叫んでいると、バスはそこから東に道を変え、「Der'a」の名前が標識からなくなってしまいました。あれぇ??

そして、そのままボスラに到着・・・ガックリ・・・。もしかすると、ハイウェイを走っていた時に見えた街のひとつだったのかもしれないなぁ。ミクロバス(近距離バス)でボスラに来れば、デラア乗換えになるそうだけど、そこまでして訪れたい訳でもないし(苦笑)

なんてコトを一人で考えていたら、「帰りのチケットを買っておく?」と、あのニイちゃんがチケット売場に連れていってくれました。道沿いに並んだ小さな商店街の中のチケット売場で、おジイさんが1人で机に座っていました。そこで4時発のチケットを買い、また彼に連れられてボスラ遺跡に行くと、
「よかったら遺跡の中を案内しようか?」
と言われました。えっ?それって・・・有料?でも親切心で言ってくれているのなら、さすがにそれは聞けない。どうしよう?
「君たちが良ければ案内してあげるよ。いらなければ俺はこのまま家に帰るから。」
まぁ、せっかくなので案内してもらうことにしました。


ボスラ遺跡

ボスラには玄武岩でできた黒いローマ劇場が有名な遺跡ですが、それ以外にも無料で見られる街の遺跡が周りに広がっています。彼の説明によると、ここには4つの時代の都市の遺跡が残っていて、一番深い層にはナバタイ人の都市の跡があり、その上にビザンチン、ローマ、そして現代のイスラムの街があるそうです。なので、地面の高さの違いによって、違う時代の遺跡が見られるユニークな遺跡です。そして、一番上のイスラムの街には今でも人が住んでいて、ローマ時代の柱をそのまま利用して家が建っていたりと、アラブ人のしたたかさを見るみたいでちょっと笑えました。

そして、遺跡の中のモスクを訪れると、そこにいたオジイさんに「手と口を洗ってこい」と身振りで言われ、慌てて外の水道に。日本のお寺や神社と一緒なんですね。

しばらく散策すると、ニイちゃんが遺跡の中にある自宅に案内してくれました。アラブのお家らしい、敷物と壁に並べられたクッションがある居間に通され、アラブ式のあま〜い紅茶を飲んでひと休み。お茶を持って来てくれた彼のお兄さんはあまり英語が話せなかったので、また指差し会話本でちょっとお喋り。

それからまた残りの遺跡を廻って、ローマ劇場の近くまで案内してもらいました。
「あとはローマ劇場だから自分たちで行けばいいよ。俺の案内はここまでだ。」
・・・・しばし沈黙・・・やっぱりお礼を少し払った方がいいのかな・・・。と、お財布を出すと、
「俺の案内料は2000SPだよ。」
はあっ!?4千円っ!!ちょっと高すぎない?!
「せいぜい1000SPぐらいでしょ!」
「普段はこの案内をすれば3000SPなんだぜっ!でも君たちとはバスの中で知り合って友達だと思うから、この金額にしたんだっ!」
んなっ!6千円なんてガイド代を払う観光客なんているかよっ!
「そんな金、ないっ!」「いや、2000SP払え!」
と、言い合いに。は〜っ、せっかくここまで楽しかったのにっ!この日はダンナもすこ〜し加勢したものの、ニイちゃんはガンとして引かない。
「これだけしかないよっ!」と、2人の財布から800SPくらいと10ドル札を渡して立ち去りました。後味わりぃ〜・・・

確かにあれだけガイドしてくれたけれど、あんなやり方されちゃうと・・・と、溜息をつきつつ、ローマ劇場を見学。確かに見事な遺跡だけど、やっぱりシリアの遺跡は、入場料をとりながらも中には何の説明も案内もないので、思いっきり迷って右往左往(苦笑)


ボスラのローマ劇場

二重に疲れて、「もうバス停に行こうか」と、ボスラを出ました。不愉快なコトがあったから言う訳ではないけど、個人的にはボスラ遺跡はそんなに好きじゃないなぁ・・・。ここや、ヨルダンのジェラシュ遺跡の様に、街の中にあるこじんまりした遺跡より、広大なパルミラ遺跡や、砂漠や山の中にある遺跡の方が良いなぁ。

T.E.ロレンスを巡る旅

July / 2007 2度目のシリア旅行

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番外編

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