2度目のシリア旅行 2007年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、再度中東へー
7月24日 part 2 / ダマスカス&ボスラ遺跡
バスのチケット売場に行くと、さっきのおジイさんと、小学生くらいの男の子を連れた家族が座っていました。
「ダマスカスへのバスか?俺たちも行くから、ここで待っていればいいよ。」
と、お父さんが椅子を勧めてくれました。
クーラーはないけど、建物の中は涼しくて、静かな道路を見ながら一休みしていると、その家族の男の子がやって来て、たどたどしい英語で話しかけてきました。
「ダマスカスに行くの?」と聞くと、
「うん!僕、お父さん、お母さん、それからベイビー!!」
え?ベイビー??彼が大はしゃぎで指差すお母さんをよく見ると、ああ!お母さんのお腹が大きいのね!
もうすぐ生まれてくる赤ちゃんのために、ダマスカスのモスクにお参りに行くそうです。英語が話してみたくてしょうがない、といった感じのその子の話し相手をしていると、お父さんは「迷惑になるからあまりまとわりつくんじゃないよ」という感じで静かにたしなめて、お母さんは無口だけど、大きなお腹をさすりながらこっちを見てニコニコしている。いい家族だねぇ。
そして、その子が自分でポストカードを切り抜いて作ったボスラの遺跡の写真を色々と見せてくれました。でもひとつの遺跡がどうにも分からない。あっ!もしかして、あのニイちゃんが説明してくれた建物かな?そこはキリスト教の教会で、若い頃のムハンマドがここを訪れた時、教会の牧師に「あなたは預言者になる」と告げられたそうで、だからキリスト教にとってもイスラム教にとっても神聖な場所だって言ってたな。
「あ〜っ!教会?ムハンマドの?」
と言った途端、お父さんとその子が声を揃えて、
「そうっ!ムハンマドっ!!」
と、大喜び!!よかった〜正解だった!これであのニイちゃんのガイドも、プラス1000SPくらいの価値を認めてやろう(笑)
なんてのどかな時間を過ごしていたけど、なかなかバスが来ない。するとその子が、「案内してあげる」と、向かいにある空き地に連れていってくれました。すこし丘になった何も無い空き地かと思ったら、ところどころに掘られた穴の下には遺跡の跡が。
「これ、ローマの遺跡だよ。水が流れるんだ。」
と、説明しながらあちこち見せてくれました。ただ・・・遺跡はいいんだけど、その空き地には、なぜかミイラ化したヤギの足がそこら中に転がっていて、ちょっとビックリしちゃった(苦笑)

夜のウマイヤド・モスク
陶器のかけらを拾っては、「これもローマだよ。コップだ。」とか説明してくれました。ふと見ると、その子が電線の切れ端を拾って、嬉しそうに振り回していたので、「それもローマ?」と聞いたら、「違うよぉ〜!」と、大笑いしてました。
そんなコトをしているとバスが来ました。お父さんとお母さんが私達の前、男の子は少し離れた席に座りました。しばらくすると、お父さんから「ちょっと、ちょっと」と呼ばれ、お父さんが指差した先を見ると、男の子が一生懸命手を振ってる。最初は私達の前の席に男の子が座ろうとしたところを、「いい加減にしなさい」と席を替わったお父さんですが、「少し相手をしてやって」と苦笑していて、優しいね。
そして、ダマスカスのバスターミナルに到着。
「お父さんがつかまえたタクシーなら、正規の料金が分かるかな?」
と、ふと思い、お父さんに頼んでみました。ところがタクシーが全然つかまらず、暑い中で身重のお母さんがいるのに、お父さんと男の子は私達のタクシーを捕まえるのに一生懸命(汗)うわあぁ〜ゴメンなさいっ!!で、やっと捕まったタクシーの料金はやっぱり来る時と同じでした。ボラれた訳でもなかったのね(苦笑)
3人にお礼とお別れを伝えて、タクシーでホテルに戻りました。ボスラのニイちゃんでムカついていた気分が、この家族のおかげですっかり収まりました。シリアの人たちって、やっぱり基本的には人懐っこくていい人たちなんだよね。あのニイちゃんだってバスターミナルで話してた時は親切だったんだから。
ホテルで一休みして、さあ、晩ご飯はどうしよう?シリアで最後の夜だから、ちょっとイイ物が食べたいなぁ。疲れているダンナを無理矢理起こして、ダマスカスの旧市街に向かいました。
現存する最も古いモスクのひとつであるウマイヤド・モスクを中心に、城壁で囲まれた旧市街は、四千年も続くダマスカスの歴史を感じさせる世界遺産の地区です。すっかり暗くなったダマスカスの通りを抜けて、旧市街に入ると、うわぁ〜!なんだこの人ごみは!?ウマイヤド・モスクのスーク(市場)は、歩くのも大変なくらいの混雑っぷり!ほんとうにアラブの人達は夜に外出するんだなぁ。
賑わうスークをブラブラ歩いていると、あっ!ダマスカス名物のアイスクリームっ!「大丈夫?お腹を壊し気味なんじゃないの?」と、心配するダンナ。そうなんです。昨日のラサファの遺跡で水を一気飲みしてから・・・。水が合わないというより、軽い脱水症状になっている時に、冷たい水を一気飲みすると、お腹をやられてしまうみたい・・・でもアイスは喰いたいっ!ピスタチオがドッサリと振りかけられた、モッチリしたダマスカスのアイスはおいしかったです。

夜の旧市街
さらに奥に行くと、巨大なウマイヤド・モスクが美しくライト・アップされていました。大勢の人たちが出入りして、去年来た時の昼間の旧市街とは違った、賑やかさがありました。
そしてモスクの裏通りにいくと、この辺りは人通りも少なく、石畳がオレンジの明かりに照らされた静かな商店街が続いていました。目指すレストランに向かって歩いていくと、
「あれ?行き止まりになっちゃった?」
この旧市街の中は迷路のようで、地図を見ていてもすぐ迷ってしまいます。う〜ん、自分がどこにいるのかもうさっぱり分からない。
すると、目の前にロンプラで紹介されていた別のレストランが。「もういいや、ここに入っちゃえ。」でも、そこにはあまりアラブ料理がなく、おまけにダンナが食欲がないと言うので、スターターの料理だけを頼んだら、お店の人にはちょっとイヤな顔はされるし、あげくにお店を出る時には、ダンナが気付かずに隣の席の水タバコを倒してしまって平謝り(笑って許してくれたけど。)はぁ、散々だった。
思うに、ロンプラで紹介されているレストランはイマイチな事が多いかな・・・。「地球の歩き方」に載っているレストランは、どこもお手頃で美味しかったのに。やっぱり、イギリス人に食い物のことを聞くな、ってコト??(笑)
それからまたウロウロしていると「真っ直ぐな道」と呼ばれる通りに出ました。「この道を行けば外に出られるよ」と、ようやく迷子脱出しましたが、しかし、ここは新約聖書にも登場する由緒正しい道路ですが、狭い道路なのに夜は車がすごいスビードで次々と走っていく。しかも屋根のある場所では排ガスで喉や目が痛いっ(涙)
ヘトヘトになりながらも、ようやくホテルに到着。でも、夜の旧市街は、昼とは別の楽しさがありました。今日もいろんなコトがある一日でした。ふ〜っ、疲れたぁ。

良い感じにライトアップされたお店