2度目のシリア旅行 2007年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、再度中東へー

7月23日 part 2 / ユーフラテス川を見に カラート・ジャバール

次の目的地は、ユーフラテス川をせき止めて作られたアサド湖にあるカラート・ジャバールというお城です。

途中で軍隊の検問所にパスポートを見せて、さらに進みます。ロンプラによると、この湖に行く途中のダムが必見らしいけど、そこに寄ってくれるようにいとこサンに頼むのは至難の技だなぁ、なんて思っていたら、
「わっ!この道路がダムの上だよっ!」
検問所を越えると、そこがユーフラテス川にかかる巨大ダムの上でした。

うわ〜っ、これがユーフラテス!?想像と全然違うっ!ダムの下なので水量は非常に少ないのですが、真っ赤な砂漠の中で、この川の中州だけは豊かな緑で包まれていて、TVで見るガンジス川みたいな茶色い川を想像していたのに、空の青さを反射してか水は透き通るような青色で、こりゃあ、絶景だぁ!


向こうに見えるはユーフラテス

そしてさらに砂漠の中を走っていくと、
「うっひゃ〜っ!アサド湖って、こんなにデカイんだっ!!」
でかいっ!海かと思うくらいデカいのです!琵琶湖より大きいかも? しかも水がひたすら透明なコバルト・ブル〜!!ああ、まるで地中海(違うぞっ!)そんな美しい湖の湖畔に浮かぶようにそびえるのが、カラート・ジャーバル。溜息モノに美しいっ!


カラート・ジャバール

でもね、ロンプラには「印象的な外見と、がっかりする内部」って書かれてるんだよね。でも、どれだけガッカリするのかは実際見てみないとね(笑)

早速、入場料を払って入ってみたら、確かにガッカリでした。(苦笑)休日にはピクニックに来た地元の人たちでとても賑わうそうで、ここはそんな人達のために作られた展望台という感じ?とりあえず外見だけ修復したようで、城の外周があるだけ。その外周も途中から道がなくなるし、柵もないので結構コワい。

それでもこのお城から眺める風景はすばらしいっ!緑の山々と、湖底が見えるほど透明度の高いグリーンとブルーの水面は、砂漠のド真ん中とは思えない。

ここではラサファ遺跡で会った1人旅のニイちゃんがいました。みんな、回るコースは一緒なのね(笑)


中はガッカリだけど、赤い大地と透き通る風景は美しい!

そしてまたダムを通って、来た道を戻りました。

いとこサンは車の修理のため、整備士が来るまでそこで待たないといけないので、私達は先にバスでアレッポに帰ることになりました。近くのバスターミナルでアラビック車のニイちゃんとお別れし、アレッポ行きのバスまで1時間半もあったので、ビスケットやジュースを買って、ベンチで一休み。またまたここでのどかな時間。「指差し会話」本を片手に、いとこサンとの会話にも挑戦!・・・と言っても、知ってる単語を並べて、本の中の単語を指差すだけ(笑)そんな会話でも、彼はアレッポ郊外に奥さんと6人の子供と住んでいるとか、下の子供3人はまだ学校にいかないくらい小さいとか、そんなコトをお話しました。


田舎のバスターミナル

そして時間になり私達はアレッポへ。今回のバスは大型だけどやや古くて、クーラーがあまり効かないためか、全部の窓にカーテンが降ろされてる。少しめくって外を見ていると車掌に「ダメだよ」と降ろされてしまう。ちっ、つまんないぞ。でも、地元の人たちも何度もカーテンをめくっては怒られていて、ちょっと笑えました。

アレッポに着くと、ワリドさんがバスターミナルに迎えにきてくれていました。
「大変だったね!本当に申し訳なかった!」
いやぁ、ワリドさんのせいじゃないから。それに、笑えるくらいのトラブルだから、けっこう楽しかったです。
「疲れただろう?夜行が出る時間までホテルの部屋を使っていいから、お風呂を使ってゆっくり休んで!」
えっ!ほんとに!?うわぁ、嬉しいなぁ。ワリドさんを責める気は全くなかったけど、でもほんとはちょっとだけ「今回のツアーの料金をちょっと値切った方がいいのかなぁ・・・」なんて考えてました。でもいとこサンも子供が6人もいて大変なんだしね(笑)それよりも夜行に乗る前にお風呂に入れると嬉しいなぁ、なんてちょうど思っていたから、助かったぁ。

2泊した部屋の鍵をまた受け取って、お風呂に入ってベッドでゴロゴロ。は〜っ、気持ちいい。TVでちょうどシリアのスポーツニュースをやっていて、なぜか日本対オーストリアの試合を30分ものダイジェストで放送していました。韓国の試合はゴール・シーンだけだったのに、なぜこの試合を??シリアの人たちもPK戦までになったこの試合が面白かったのかな?それにしても、シリアのアナウンサーは、こんな第3国同士の試合でも、テンションがめちゃくちゃ高いっ!「スズゥ〜キィ〜!!」「エンドゥ〜!!」とか、名前を叫びまくってましたよ。ちなみに中村憲剛は「カワサキ」「ナカムゥラ」と呼ばれていた気がする。鈴木啓太の時は「ウラワ」という言葉は聞こえなかったなぁ。もう一人、鈴木がいたら「ウラワ」「スズゥキ」と呼ばれたのかな(笑)

夜行は夜12時出発で、まだまだ時間はあるので夕食に行こうとホールに出ると、
「ロレンスの部屋を今なら見せてあげられるよ。」
と、ワリドさん。やった〜っ!

階段を上がってすぐ右手にある202号室が「THE T.E.LAWRENCE ROOM」と呼ばれている部屋です。ロレンスがその部屋に滞在したからって「だからどうした?」と言われてそうだけど、まぁね、その当時の雰囲気だけでも味わいたいのよ。

増設された3階と違い、2階は古くてボロボロと聞いていましたが、このロレンスの部屋は改装したみたいで、調度品も水回りもきれい。壁にはオーガスタ・ジョンが書いたロレンスの肖像画が飾られていました。ほうほう、なかなかよいお部屋ですね。これなら泊まってみたいなぁ。ちなみにホテルのパンフレットによると、他にも「チャールズ・リンドバーグの部屋」とか「アガサ・クリスティーの部屋」などもあるそうです。
「このホテルのプレジデント・ルームも見せてあげるよ」
と、ワリドさん。なんでも前大統領(今の大統領のお父さん)がアレッポを訪れた時に使った部屋で、バルコニーや応接ルームまでついた、まさにバロン・ホテルのスイート・ルームでした。
「来年またアレッポに来る時は、私宛にメールをくれれば、ロレンスの部屋をとっておいてあげるよ。」
と、ワリドさんに言われ、えっ!私達、また来年に来るんですか?(笑)

それからアレッポの街へ出かけました。夜でもにぎやかな中心地に行き、この辺りにある有名な教会などを回りながら、レストランを探そうと思っていると、いきなりおじさんに声をかけられました。
「日本人?いいレストランがあるからおいでよ。」
いや、まだ少しゆっくり回りたいし、それになんだかあやしそう。でも断ると、「どこに行くの?教会?連れて行ってあげるよ。」と、かなりしつこく付きまとわれ、結局「見るだけでもいいから」とレストランに連れていかれました。

割とおしゃれなレストランなんですが、彼の強引さと店員の無愛想さがイヤでそこを出ました。 「なんで?いいレストランなのに?」と、しつこく言われ、おまけに、
「案内したんだから、何か日本のコインとか、ポストカードとかちょうだい。」
と言い始めた。なんだよ、コイツ!挙げ句に「1ドルでいいよ」とか言うから、「何も持ってないっ!!」と、無視して立ち去りました。もう、なんだよっ!!

改めて教会に行こうと思ったけれど、道が分からなくなっちゃった。でも、その周囲の古い街並がきれいだったので、写真を撮っていると、
「ロンプラ読みながら待っていたら、今度はたむろしてる子供たちにあのレストランを勧められたよ」
と、ダンナ。どんだけ客引きしてるんだよっ(苦笑)


アレッポ・ビール

結局、ホテルの近くのレストランに行くことにしました。建物の屋上にあるレストランで、毎晩ホテルの窓から地元のお客さんで賑わっていたのが見えたし、ロンプラでも紹介されていました。入口にいた係員も笑顔で、さっきのレストランより雰囲気も良さそう。しかし、屋上に上がると他のお客さんが誰もいない・・・マズったか??実はアラブのレストランは夜9時を過ぎてからが本番で、その店もしばらくすると仕事が終わった近所のオヤジといった感じのお客さんたちで賑やかになりました。

食事はケバブなどのコースだけらしく、焼いたお肉の他にサラダやひよこ豆のペーストなどが次々と出てきました。そしてメニューにビ−ルがあったので注文すると、でかい大瓶で出て来たました。シリアにはダマスカス産とアレッポ産のビールがあるそうで、ラベルを見るとアレッポ産らしい。おお〜っ、ついにシリアのビールが飲めるぅ〜!・・・ん?でも味は意外と淡白?

周りの人たちはグラスに入った白いカルピスみたいなものをガンガンと飲んでました。それがシリアのアラクという、ウォッカみたいに透明で度数の高いお酒で、これをグラスに入れてお水を注ぐと一気にカルピスみたいに真っ白になるのです。の、飲んでみたい〜っ!でも、疲れているのにこれを飲んだら、間違いなく夜行列車にたどり着く前にダウンします(涙)(ちなみにバロン・ホテルのバーでも飲めますよ。酒好きな方は試してみてね。)

ホテルに帰ると、またワリドさんが待っていてくれました。バーでジュースを飲みながら話しをしていると、ワリダさんがなんだか疲れている・・・そりゃそうだ。朝は私達の夜行のチケットを買いにいって、ターミナルに迎えに来てくれ、ロレンスの部屋を案内して、あげくに深夜0時発の列車に乗る私たちを駅まで送ってくれるっていうんだから。
「疲れてるでしょ?私達はタクシーでも構わないから休んでよ。」
「いやいや!大丈夫!駅まで送るよ!」
と、言ってくれました。


シリアの寝台車

時間になり、バロン・ホテルにお別れして、駅に向かいました。駅はかなり混雑していて、大勢の人がダマスカス行きの列車に乗り込んでいました。幾つもの大きなスーツケースを持った家族たちがいて、
「イラクから来たみたいだね。きっとダマスカスに親戚がいるだろうね。」
と、ワリドさん。やっぱりイラクから大勢の人達がシリアに逃れてきているんだ。

寝台車の部屋までワリドさんが荷物を運んでくれて、彼ともここでお別れ。ほんとうにお世話になりました。今度はぜひロレンス部屋に泊めさせてね。

寝台車の部屋は二段ベッドで、設備はかなり古くて狭いけど、まあまあいい感じ。 そして車掌さんが回って来てパスポートを集めていきました。「大丈夫。ダマスカスに着いたら返すからね。」と、言われたけど、ちょっとドキドキ。

出発を知らせる音もなく列車が動き始めました。やっぱり今日も疲れたなぁ、早く寝よう・・と、思った瞬間、「コンコン」と窓を叩くような音が??? カーテンを開くと、わっ!ワリドさんが手を振っているっ!出発まで待っていてくれたんだ(涙)疲れているのにありがとう!ワリドさん、そしてアレッポも、またいつか!サラーマ!

T.E.ロレンスを巡る旅

July / 2007 2度目のシリア旅行

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番外編

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