シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー
7月27日 part 2/ペトラ遺跡
ふと気がつくと、先ほど山から降りて来た人たちの中にいた日本人のカップルが、レストランで休憩していました。なので、エル・ディドについて聞いてみると、
「1時間もあれば帰ってこれますよ。登りなのでキツイけど、今からでも行けますよ。」と、教えてくれました。

岩に掘られた都市遺跡 ペトラ
早速、出発しようとすると、ロバを連れたアラブ人たちが、「俺たちガイドがいないと、山の中で迷うぞ!」と口々に言ってくる。いや、でも入場チケット売場には「ガイドセンターのガイド以外は非公式です」と書いてあったんだよね。こんな非公式ガイドが居ないと迷子になるとは思えないよなぁ。
一旦引き返して、再び日本人カップルに聞いてみると、
「え?フツーに道があるから平気ですよ。ほとんどの人がガイドなんて頼んでませんよ。」
やっぱりそうだよね!?と、強気になって、またもやアレコレと言ってくる道案内たちを「ラーッ!( いらねえっ! )」と一喝して、山登りを再開!
絶壁に挟まれた細い道の階段をひたすら登っていきます。ダンナはまたも嬉々として進んでいくけれど、私は筋肉痛が(汗)でも、絶壁の岩肌の間から見下ろすペトラ遺跡もなかなかの絶景。
そして道端で土産物を売るオバさんたちが、ロレンスを真似して巻いた私の頭布を見るたびに、「ベドゥイン!」「ベドゥイン・スタイル!」と言ってくる。えっ!?このロレンス巻きはベドゥイン式なの?
では、ここで頭布の巻き方講座を(笑)四角い頭布を三角に半分折して、長い辺を前にして頭に乗せます(ここを前に引っ張っぱると、ひさし代りになります。)これをアーガルで留めれば完成。都会風(?)にするなら、両側に垂れている2角をそのまま軽く頭の上にまくり上げます。ロレンス風なら、この両端を首の下でクロスさせてアーガルにねじ込んで留めます。当然、ロレンス風の方が日焼けしないし、涼しいんですよね。でも無駄に注目されるけど(苦笑)
岩肌に沿った階段状の道を、ひたすら、ひたすら登り、ちょうど降りて来た外国人のグループに「もっと先?」と聞くと、「すぐだよ!10分もかからないよっ!がんばれっ!」と、励まされました。きっと、頂上から降りてくる人からすれば「すぐそこ」なんだろうなぁ(苦笑)しかし、この少し遅めの時間にここまで来る人は少ないので、まるで登山家同士のごとき連帯感をお互い感じるのか、皆で挨拶しながらすれ違っていきます。

山の上にあるエド・ディル
そして急に視界が開け、山の上に到着すると、あった〜っ!「エド・ディル」だぁ!!エル・ハズネと同様に黒い岩肌に掘られた宮殿がありました。でもエル・ハズネを見てしまった後ではちょっと拍子抜けかも(苦笑)
そしてダンナは「もう少し先まで行ってみるね」と歩いていってしまいました。
でも、しばらく日陰で待っていても全然戻ってこない。岩に「VIEW→」と書かれていたのでその矢印の方へ歩いていくと、途中で岩陰に座っていたニイちゃんに声をかけられました。
「日本人か?ウェルカム!」
「歩いてきたのか?それはいい。ここは景色を見ながら歩いてくるのがいいんだ。俺はここで羊を放牧してるんだが、毎日エサの袋を担いで上がってくるんだぜ(笑)」
「この先はほんとに絶景だぜ。本当は夕暮れが一番きれいなんだけどな。山やあの「エド・ディル」が一面オレンジ色に染まって本当に美しいんだ。」
「この先に行ってこいよ。戻ってきたらお茶でも飲もう。」
と、ひとしきり話しをしてくれました。
また先に進むと、ダンナが向こうで必死に手招きしている。
「こっち!こっち!」と呼ばれるがままに、まさに「頂上」という雰囲気の岩の先まで登っていくと、
「おお〜っ!すげえっ!」
眼下に広がっていたのは、真っ青な空の下に黒色の山がいくつも連なっていて、まさしく絶景!いや〜ここまで登ってきた甲斐があったね。

険しい山に囲まれたペトラ
戻っていくと、さっきのニイちゃんが携帯をいじってる。えっ?ここでも電波が届くのっ!?手を振ると、「おっ!バイバ〜イ!」と、手を振りかえされる。あれ?お茶を飲むんじゃなかったの?ダンナがいるから中止(笑)?とにかく「マア・サラーマ!」と、別れの挨拶。
帰りはひたすら下り道ですが、「前のグループについていくぞ」と、ダンナは言うけど、筋肉痛で思うように足が動かない(苦笑)あっと言う間に彼らを見失い、階段の踊り場のような場所にたどり着くと・・・あれ?次の階段が見つからない・・・階段らしきトコを降りてみると、なんだか違う・・・。
「少し前の土産屋は覚えがあるから一度そこまで戻ろう。」
すると、ちょうどロバを連れた案内人のおじいさんと外国人女性が降りて来たので、彼らについてなんとか帰り道が分かりました。
登る時は次の階段が下から見えるので迷わないけど、下りでは少し広い場所に出ると、次の階段が見えないんだよね(当然ながら案内板もないし、階段と言っても単なる石段だったりするので分かりにくい。)確かに時間によっては非公式でもガイドがいた方が良いのかも。
「ひ〜っ、疲れた〜。冷たいモンが飲みたい〜っ。」下に戻った頃にはフラフラ。でもレストランはすでに閉店していて、近くの休憩所でなんとか一息。しかし、帰り道ですれちがったフランス人のおじさん・おばさんの集団がもう戻ってきた。しかも皆、元気バンバン!なんちゅ〜タフな年寄りたち・・・。
そろそろ帰ろうかと立ち上がると、「ロバに乗らないか?」と、煩いぐらいに客引きが集まってくる。別に乗らなくても良いんだけど、でも・・・どうせ乗るならラクダだよねぇ(笑)
「ねえ、ラクダに乗らない?」とダンナに提案すると、
「まだラクダに乗りたいの!?俺はいいよ、歩いていくから。」
のんびりと歩いていると、今度は少年が「ラクダに乗らないか?」と言ってきた。
「エル・ハズネまで?いくら?」
「25ディナール」
なにぃい〜!?そりゃ高いっ!!いいかっ!ワディ・ラムで、おじさんのラクダが2時間で20ディナールだったんだぞ(しかもお茶付き)!!テメエみたいなガキのラクダが10分くらい歩くだけで25ディナールだとぉ!!
「いらん!」と、ちょっとムッとしながら拒否すると
「えっ!?いくらならいいの?」
「・・・まぁ、7ディナールかな」
「よし、分かった!俺もビジネスだ!7ディナールでいいよ」
まったく〜っ、どんだけボッタクるつもりだったんだ(苦笑)

シークの狭間からエル・ハズネ
「オレは後から歩いていくからいいよ。」と言うダンナを置いて、ラクダに乗ったのですが・・・これが酷いっ。急に走りだしたりして落ち着きがないし、おまけにガキたちがすれ違いざまにラクダのお尻を叩いて、その度にラクダが飛び跳ねる。ワディ・ラムおやじのラクダと乗り心地が全然違う〜っ(涙)しかも、おじさんは乗り降りの時にすごく気を使ってくれたのに、このガキは何の予告もせずにラクダを立たせたり座らせたりするから、前につんのめりそうになって、もうドキドキもの。
ロレンスは「王族用にしつけられたラクダは乗り心地が全然違う」と書いていたけど、ラクダによってこんなに乗り心地が違うとは思わなかったよ。このわずか10分でお尻の皮がむけてしまいました・・・。ダンナは「だって、あのおじさんのラクダと毛並みが全然違うからさ。分かってたよ。」と後から言っていた。ほんとかぁ〜??
でも、そんなダンナは帰り道でアラブ人家族につかまり、なぜか「イスラム教に興味はないか?改宗しないか?」と誘われてました(笑)
マリオット・ホテルから出て来たタクシーを拾うと2ディナールとふっかけられました。
「来る時は1ディナールだったぞ!」と、ダンナが文句言うと
「来る道は下り坂だからいいんだよ!こっちは上り坂だぞ!」
どういう理屈だよ(笑)
それにしても、マリオット・ホテルは自動操銃をかまえた兵士たちが警備していて、ヨルダンは本当にテロを警戒しているんだなぁ。
近くのレストランで晩ご飯を食べて、今日は珍しく私が先にシャワーを使おうと思ったら、 ・・・なかなかお湯が出て来ない・・・。そのうち出るだろうと、頭を洗い始めたけど、なかなかお湯にならない。ペトラは高地なのか、日が沈むと涼しいくらいになっていたので、水を浴びているとだんだん鳥肌が立ってきた。
ついにプチ切れ!
「お湯が出てこないよっ!」
「え〜っ!!」
体が冷えきってしまい、毛布を被ってガタガタ震えていると、ダンナがフロントに聞きに行き、
「お湯がなくなったんだな。今、ボイラーを付けたから2、30分待ってくれ」
と、言われたらしい。でも待っていても一向にお湯が出てこない。ダンナもさっさとシャワーを浴びて寝たかったので、かなりイラついてきてる。再びダンナがフロントに文句を言いにいくと、今度はスタッフがやってきて「なんで彼は怒っているんだ!?」と、私に言ってくる。
「2、30分待てばお湯が出ると言っただろ?」
「もう2、30分経った!」と切れるダンナ。
二人をなだめて、とりあえず待つことにし、ああ、疲れ倍増。その後しばらくして、やっとお湯が使えるようになったけれど、やっぱりホテルの選択を間違えたなぁ・・・
「地球の歩き方」では評価が良いホテルなのに・・・。「ここは日本人スタッフがいると書いてあったんでしょ?今はいないみたいだから、その人がいた頃は良いホテルだったんだよ。そんな雰囲気が残っているもん。その人が辞めてから寂れていったんだよ。」と、ダンナの解釈。「『Lonely Planet(英語のバックパッカー向けガイドブック)』の方が情報が多くて新しい」と言われていたけど、シリアとヨルダンのガイドを別々に購入しなければいけないので(4000円以上もする・・・)それで、1冊で済む「地球の歩き方」にしたんだよね。でもガイドブックはケチるもんじゃないね。

ペトラ遺跡を我が物顔に歩くヤギたち