シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月26日 part 4/再びワディ・ラム(笑)

昨日のワディ・ラム・ツアーは、おそらく裏ツアー(with 非公認ガイド)で、それはそれでとても楽しかったけれど、しかし、ワディ・ラムには映画の撮影に使われたと言われる「ロレンスの泉」や、ロレンスの本のタイトル(SEVEN PILLARS OF WISDOM)にちなんだ岩など、一応ロレンスに関連した観光場所があり、こうしたメジャーな名所は見られませんでした。

もっとも、こんな名所はあくまで観光用ですし、実際のところ、ロレンス本人とは何の関係もありません(「SEVEN PILLARS・・」の岩を、「ロレンスがこの岩から本のタイトルをつけた」と書いている旅行ブログをいくつか見かけましたが、本のタイトルは聖書の一節から取られて、この石とは無関係のはず・・・。)なので、「何が何でも見たい!」とも思わないけど・・・でも、ロレンスの名が付いている以上は見ておきたい気もする(笑)こんな遠い地を再び訪れる事も無いだろうし、一日にワディ・ラムを2往復するなんてバカなコトだってやれるのが、個人旅行の醍醐味だよねっ!?それに正攻法でのワディ・ラム観光がどんなものなのか、押さえておきたい!


結局、この湧き水が「ロレンスの泉」らしいです(苦笑)

既にあきれ顔のダンナを引っ張って、通りがかりのタクシーを停めました。
「ワディ・ラムに行きたいんだけど!」
ところが、このタクシーの運ちゃんには英語が全く通じない。う〜ん、別のタクシーを探すかぁ、と、思ったら、「いいからとにかく乗れよ!」と手招きしてくる。どうも「誰か英語が分かる人を捜して、通訳してもらう」なんてコトを言っている。マジですか?(笑)

とりあえず乗り込むと、マジで道にいる人達に「英語分かるか?」って聞きながら走ってる(笑)

そして、とうとう即席通訳ができる人を見つけ、
「今からワディ・ラムに行って、そこで1時間待ってもらって、アカバまで戻りたい」
と伝えると、通りがかりのオッさんまで加わって、騒がしいくらいにワイワイと通訳してくれました。で、料金を聞くと、その運ちゃんは自分の会社に電話してるみたい?そして紙に「40ディナール」と書いてきました。
「えーっ!高けえよっ!!」
値切っても「会社にそう言われたからダメだよ」の一点ばり。しょうがないかぁ。
「ワディ・ラム、サーア・ワ・ノッス(1時間半)OK?」
と聞くと、「OK ! OK ! ゆっくりしていいよ!」なんて返事だったので、交渉成立!早速、出発することにしました。

ところが、「ガソリンを入れて行くよ」と言っているのに、ガソリン・スタンドが無いような裏道へズンズンと車を走らせます。え?え?どこ行くの!?と思ったら、工場の門みたいな場所に車を止め、そしてポリタンクを持って門の中から戻ってきました。すると、おもむろにガソリンの注入口に、底をカットしたペットボトルを差し込み、そこにポリタンクからガソリンをドボドボとっ!ひ〜っ!そんなのアリ!?(汗)運ちゃんは、「ここ、安いんだよ〜」みたいなコトを言ってニコニコしてる。「闇販売なんだろうね。そりゃ安いだろうなぁ」と、ダンナは苦笑してました。

気を取り直してワディ・ラムへ出発!ワディ・ラムへの途中には検問所があり、「アーミーなの?」と運ちゃんに聞くと、「ポリスだよ、ポリス!アカバは安全だけど、アルカイダがアカバから飛行機に乗ったから、それで厳しいんだよ」みたいなコトを、身振り手振りで教えてくれました。

そして車はハイウェイを外れ、昨日降ろしてもらった場所よりさらに東に走っていき、ワディ・ラムの正規のビジターズ・センターに到着しました。そこでいきなり入場料を取られました。「えっ?入場料が必要なの!?」と思いつつ、二人で4ディナールを払い、そして案内所で、
「車でロレンスの泉を往復したいけど、1時間で戻れる?」
「ああ、1時間あれば充分だよ!それは20ディナールね!」
と、別のチケットを渡されました。

いろんな旅行ブログや、昨年版の「地球の歩き方」には、ワディ・ラムへの入場は無料で、ベドウィンのツアーも彼らと直接交渉して、ルートや値段を決めると書かれていたのに、随分変わっちゃったのかな。今は国が直接管理しているのか、ツアーも値段が一律になったようでした。いちいち交渉する必要がなくなったのは観光地としては安心だけど、でもちょっと高くないか・・・?

ともかく出発しようとすると、今度は案内してくれるベドゥインから、「ツアーの出発地はこの先だから、ここから乗るのなら7ディナール追加だよ」と言われ、なんじゃそりゃ〜!!このセンターは、以前は「SEVEN PILLARS」の石を通り過ぎたあたりにあった様ですが、新センターはちょうどその石の横に建てられていて、しかし、ツアーのスタートは相変わらず旧センターからなのだそうで、なんだかボッタくられまくってる気分がしてくる。

彼がタクシーの運ちゃんに説明してくれ、運ちゃんも最初は「え〜っ!?」と驚いていたけど、とりあえずそこまでタクシーで行ってもらう事に。運ちゃんが「料金に上乗せさせてもらうよ」みたいなコトを言っている気がするけど、そこは聞かないフリ(笑)

ともかく、旧センターからは、ベドゥインのニイちゃんが運転するトヨタのトラックの荷台に乗り込んで出発。ロレンスは、砂漠でも走り回るロールス・ロイスを絶賛していたけど、今はトヨタ車に乗っ取られてます(笑)すると、なぜかタクシーの運ちゃんが助手席に乗りこんできて、
「俺、アカバに長い事住んでいるけど、ワディ・ラムに来るのは初めてだから、一緒にいくよ」
と、ベドウィンが通訳してくれました。そりゃあ、タクシーで待ってるよりは良いよね。


真ん中に生えている木の下が「ロレンスの泉」(汗)

またしても壮大なワディ・ラムの風景を、今度は荷台の上から見ながら、10分程でロレンスの泉に到着。ところがっ!高い岩山の中腹あたりに1本生えている木を指差さされ、
「ほら、ちょうどあの辺りがロレンスの泉だ。」
はあっ?マジですか??(汗)
「登る道はないの・・・?」
「無いっ!俺たちはあのテントで休憩してるからな。時間はたっぷりあるからガンバレよっ(笑)」

そこはビルの5、6階くらいの高さの絶壁のど真ん中。ロレンスの泉へは山登りになるとは聞いていたけど、まさかこんなロック・クライミングもどきだとは(汗)でも、さっきまでちょっとフテくされ気味だったダンナはなんだか嬉しそう。張り切って登っていってしまいました。

足場を確認しながら岩山をよじ登っていきました。岩を掴んで「よっ!」と岩場を上がると、いきなり目の前に、イグアナみたいなトカゲがいたりと、なかなか冷や汗モン(ヘビよりマシだけどね。)

とにかく、なんとかロレンスの泉に到着しました。「泉」と言っても、大きな岩の窪みに汚い湧き水が溜まっているだけ(苦笑)でもその横からはきれいな水が湧いているようで、下ではそれを家畜の飲み水にしていました。そして、この高さから一望するワディ・ラムは絶景!


下に見えるテントからよじ登ってきた

と、あまりゆっくりする間も無く、一息つくと、今度は下山です。下りの方がキツイんだよねぇ。下に戻った時には足はガクガク。でも、「見事!見事!山登りのマスターだね!」と、案内のベドゥインに褒められちゃったよ。へへ。

彼らが休憩していたテントで、おじいさんが甘いミント・ティーをごちそうしてくれ、そこでしばらく雑談。ミントのフレーバーが少し違うと思ったら、どうもワディ・ラムに生えている野生のミントだったみたい。おいしかったですよ。

そして帰り道では「ナバテアン寺院」に寄ってくれました。と言っても、寺院の跡地だけで、建物はほとんど残っていません。ウロウロとしていたら、いきなりタクシーの運ちゃんに「踏んじゃダメっ!」と、腕を引っ張られました。足下にはいくつも石が丸く並べられていて、「これはお墓なんだよ」と教えてくれました。


地面にお墓があります

この寺院の周辺の山々はとても雄大で、自然の長い年月を感じさせてくれます。静かに立って風景を見ていた運ちゃんに「きれいだね」と話しかけると、「うん、始めて来たけれど、本当にきれいだな」と感動してました。

そしてアカバへの帰り道で、タクシーの窓から「SEVEN PILLARS OF WISDOM(知恵の七柱)」の石柱を見て、「七柱あるように見えるような、見えないような・・・こじつけてるなぁ」と苦笑い。

と、まあ、こんな感じでとても楽しかったんですが、アカバに到着するとやっぱり運ちゃんが追加料金を要求してきました。多少はチップは覚悟してたけど5ディナールは高いよぉ。ちょっと無理矢理値切っちゃった。

晩ご飯はホテルの近くにあった「シリア・レストラン」に行きました。なぜかヨルダンでシリア料理(苦笑)バルコニーの席に座ると、うわぁ、夜でもムシ暑い空気が!アレッポ風ケバブなどを注文しましたが、ハーブやレモンがたくさん使われて、小洒落た味でおいしいかった。
「またシリアに行きたいね。」と、私。
「俺、ヨルダンよりシリアのが好きだなぁ。」と、ダンナ。
ヨルダンに比べて、シリアは物価が安いし、人も素朴で人なつっこい感じがするなぁ。ヨルダンも良い国だけど、あまりに急激に観光立国になろうとしている雰囲気を感じてしまいます。

ヨルダンで、なぜかシリア・ホームシック(?)にかかってしまった夜でした。

T.E.ロレンスを巡る旅

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番外編

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