シリア・ヨルダン旅行 2006年7月
ーアラビアのロレンスを巡って、初めての中東ー

7月20日 part 2/ダマスカス観光

それにしても、ダマスカスの人達はとても人なつこく、しかも親日家らしくて、歩いているとやたらと「ヤバーン(日本)?」と声をかけられます。スークではいきなり、「きゃ〜っ!日本人??」と、ハイテンションなオバちゃんにアラビア語で一方的に話しかけられ、そして最後に「アッサラーマ!(元気でね、みたいな意味?)」と、頬をムニーッと引っ張られちゃいました(苦笑)

ラクダの革のサンダルを買ったら、お店のニイちゃんにも、「僕、大阪に3ヶ月いたよ。日本大好き!」と、1時間も熱く語られました。

そして、ダマスカス名物のアイスを食べていると、隣の席のニイちゃんが、「日本人か?俺、2時間前にレバノンから逃げてきたんだよ。シリアまで来れば安心だからな!はっはっは!」と、アイスをなめながら笑ってました。あああ、そう言えばそんなご時世でした!マスカスの呑気さに呑み込まれて、すっかり忘れてました。そんなダマスカスのアイスはほのかなレモン味で、トルコアイスの様にちょっとモッチリして、おいしいかったです。


旧市街の入口にはアサド大統領の肖像画

そんなフレンドリーな雰囲気のおかげで、こちらも楽しくなってきます。モスク前の広場で、若いお父さんが、お母さんと赤ちゃんの写真を撮ろうとしていたんですが、なぜか赤ちゃんは私をジッと見ている・・・お父さんが苦笑しながら懸命に赤ちゃんを呼んでも、やっぱり赤ちゃんは私に興味津々のよう。それなら私が一肌脱ぎましょう!お父さんの後ろに回って「こっちだよ〜」と手を振ると、赤ちゃんはカメラ目線で大喜びでした。バッチリだね、お父さん!


水タバコにふけるオジさんたち

そしてお昼を食べようと裏通りの食堂をのぞいていると、店頭でチキンを焼いていたオジさんに「Welcome!」と手招きされてしまいました。そのまま奥のテーブルに通され、隣の人が食べていたチキンを指差して注文したまでは良かったけれど、ドーンと置かれたチキンの丸焼き。どうすればいいの??


昼間からチキンの丸焼き

「ケバブみたいにパンで挟めばいいのかな?」と、フォークでチキンを解体して、ホブスの中に詰め込んでいると、はっ!向かいのテーブルのチャドルの女性たちがクスクス笑ってる(汗)「えへへ」とテレ笑いしつつ、またフォークでチキンと格闘していたら、見かねたのか、その中の一人がやってきて、「あのね」と、小さくちぎったホブスでチキンの身をつまみ取り、それをペーストに付けて食べるんだと身振りで教えてくれました。

「これで良い?」と、真似してやってみると、「そうそう」と、チャドルの奥の目がニコニコしてました。チャドルの女性はなんとなく近寄りがたいイメージがあったけれど、そんなコトないんだね。


フランス映画にでも出てきそうな床屋さん

それからまたスークの裏道をブラブラしていると、頭に巻く布(シュマーム?)を売ってました。ダマスカスでは赤いチェック柄が一般的みたいですが、やっぱりロレンス気分なら白だよね!すでに商売人顔したお店の子供と値切り交渉して、白い布と黒い留め紐(アーガル)を買いました。オヤジさんが頭に巻いてくれて、「これで日焼け対策は万全!」と歩き出した途端、あれっ!?すれ違う人が、オッさん、オバちゃん、子供にいたるまで皆が笑ってる!?あげくに、バスの運転手までがバスを停めて指をさして笑ってくるっ!!そこまでして笑う!?確かにこれは男性用だけど、そこまでヘンなのかなぁ(涙)しぶしぶアーガルを外して、布だけを巻いておきました。

そして今度は露天でチェ・ゲバラのTシャツを発見。シリア製のゲバラなんて渋いコラボだわっ(笑)
「200!」
「それはキツイっすよ〜、250!」
なんて、これまた一丁前に商人になった店番の子供と、値切り交渉して買っちゃいました。

それにしてもこの旧市街は迷路のようで、気がついたらすっかり迷子になっていました。ダマスカスは想像していたほど暑くもなく、空気もカラリとしていますが、日差しだけは強烈です。人通りもない静かな住宅地の裏路地を歩いていると、ロレンスがジッダ(サウジアラビア)に到着した時の「見えるのは光と影、白い家並みと黒い路地」という言葉そのままのようでした。

そんなことを考えていたら、突然、全身白い服で大きな帽子をかぶった細身の白人青年が、そんな黒い陰の中から突然現れて、私たちの横を静かに通り過ぎていきました。なんだか若き日のロレンスが突然現れたみたいで、不思議な瞬間でした。


光と影しかないダマスカスの裏通り

しかし!問題は、私達は迷子の最中だったのです(笑)大道りを探してウロウロしていると、通りすがりの自転車の青年が、「そこは行き止まりだよ」と身振りで教えてくれました。この青年にウマイヤド・モスクまでの道を聞くと、英語が通じません(「モスク」という言葉もアラビア語ではないんですよ。)でも写真を見せると頷いて、「こっちこっち」と手招きして、私達をモスクまで連れて行ってくれたのでした。

でも、彼はやたらと時間を気にしていて、どうやら私達がモスクにお祈りに行こうとしていると思ったようで、お祈りの時間に間に合うように急いでくれたみたいでした。そうか、頭に布を巻いていると、勘違いされちゃうのかな。ゴメンね。

日も傾いて来たので、ホテルへ帰る道すがらヒジャーズ駅に寄ってみました。今は駅としては使われていませんが、オスマン・トルコ時代の駅舎がそのまま保存されています。建物の外観からは意外なほど小さなホールですが、きれいなステンドグラスや装飾、そして木製の切符売場の窓口らしいものも残っていて、レトロないい雰囲気の建物です。当時のこの駅の雑踏の中を、アレッポから到着したロレンスが通り抜けていく・・・な〜んて、妄想が止まらない(笑)


ヒジャーズ駅では古本市をやってました。
ここにも大統領親子の肖像画

でも、新駅舎の模型が飾られていて、どうやらこの建物を壊して駅として再開発する予定らしいです。それはちょっと悲しい・・・。

さて、今日は日が暮れる前に行きたいところがありました。それはカシオン山!ここからダマスカスの夜景が一望できるらしいのです。行き方を相談しようとホテルのレセプションに行くと、いきなり「ドウシマシタカ?」と日本語で聞かれて、ビックリ!!このホテルは日本の学術調査の人たちがよく利用するそうだけど、まさか日本語が話せる人がいるとは!なので、遠慮なく日本語で、「今からジュベル・カシオンに行きたいんだけど。」と聞くと、タクシーを手配してくれました。

そしてついでに明日の相談も。十字軍の城「クラック・デ・シュバリエ」に行き、そのまま地中海沿いの街ラタキアに寄って、シリア第2の都市アレッポに行こうと考えていました。しかし、この城はレバノン北部の国境近く、そしてラタキアには大統領の家があるため、つい1週間前にイスラエル軍が威嚇飛行した街でした。
「明日、シュバリエに行きたいんだけど、大丈夫かな?」
「ああ、全然心配しなくていいよ。」
と、あっさり。でも公共バスでは、ちゃんと運行されているか、など色々と心配になってしまったので、今回はアレッポまで車をチャーターして行く事に。100ドルは高いけど、しかたないです。


アラブの英雄サラディンの銅像

話を戻して。

ダマスカスの街を見下ろすカシオン山(ジュベル・カシオン)は、アダムとイブの息子であるアベルが弟のカインを殺した、人類最初の殺人があった場所と言われています。ホテルのスタッフが拾ってくれたタクシーに乗り、カシオン山に向かいました。意外ですが、ダマスカス市内はどこの道路も大混雑してます。でも自家用車は少なく、ほとんどがタクシーとワゴン車の乗り合いバスです。しかもすべての車が車線なんて無視して、クラクションを鳴らしながら、かなり強引な運転をします。だから乗っていると冷や汗もの!渋滞を抜けると、カシオン山の赤茶色の山肌の道をブンブンと上っていき、中腹あたりでドライバーのニイちゃんに「降りろ」と、身振りで言われました。

そこからはダマスカスの街が一望できました。

西の山に徐々に陽が落ちて、涼しい風が吹く中で、街が夕闇に包まれていくのを見ていると、無口だったドライバーのニイちゃんが指差しながら下に見える建物をあれこれ教えてくれました。


ダマスカスの山に日が落ちて

さらに日が傾くと、今度は夜景がきれいなスポットへ連れて行ってくれました。ダマスカスの夜景の中央には、燃えるようにライトアップされたウマイヤド・モスクが。あまりに綺麗だったので、「後でまたモスクに行かない?」と、ダンナに言うと、「え〜っ!?疲れたからイヤだ」の一言・・ちっ。

夜景をジッと見ていたドライバーのニイちゃんに、私が知っている数少ないアラビア語で「ジャミール・ジッダン!(とてもきれい)」と言うと、大きく頷いていました。

このあたりは地元の人達にとっても観光スポットとなっているみたいで、レストランもあるし、お茶やバーベキューセットを持参して大勢が夕涼みを楽しんでいました。


夜のダマスカス。
中央にあるのがウマイヤド・モスク

と、ダマスカスの夜景を存分に楽しんだのですが、しかし帰り道がとんでもない大渋滞!どうやら事故があったらしく、道が全く動かない(汗)行きでは45分くらいだったのに、帰りは2時間以上もかかってしまいました(しかも割り増し料金まで請求されて・・・)道さえ分かれば降りても良かったかも。

と、こんなダマスカスの1日でした。でも、帰国してから色々調べると、どうもダマスカス観光の半分もしてないみたい(苦笑)確かにブラブラしていただけだから。まあ、楽しかったからいいかな?

T.E.ロレンスを巡る旅

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