ELBOW ■ SOUTHAMPTON GUILD HALL & LONDON ASTORIA 20 & 21/Feb/2006

イングランド北部の光と影を歌わせれば、右に出る者はいないと言われるバンド、それがELBOW(エルボー)

今回のイギリス旅行では、彼等のライブを2回も見るコトに。と、いうのも、2月21日のロンドンでのライブはチケットは早々に売り切れていて、多分当日にダ●屋から買えるだろうけれど、それでも、この旅行で確実に何かライブが見れるように、ひとつぐらいはチケットは押さえておきたいなぁ。そう思って調べていると、ELBOWはロンドン前日にサザンプトンでのライブがあり、しかもこちらは売り切れてない!サザンプトンはロンドンからも近いので、このライブに行っちゃえ!

と、チケットを購入したのですが、一方で、ロンドンの「Stargreen」という老舗チケット屋のサイトをこまめにチェック。このチケット屋では、ソールド・アウトになっているようなライブのチケットが、突然、販売再開されたりするのです。すると、出発日も近くなった頃、おおっ!ELBOWのチケットが売られてるっ!当然、すぐさま購入っ!ポチッ!

そうなると、サザンプトンのチケットはどうしよう?イギリスでライブ・チケットをオンライン購入すると、郵送か、当日会場で受取り(BOX OFFICE COLLECTION)になります(余談ですが、転売防止のためなのか、郵送を選択すると、1週間前までチケットが届かないこともあります。だから、旅行の終盤に行くライブの場合、日本出発日までにチケットが届かないなんて悲惨な事態もありますので、ご注意を。)サザンプトンのチケットは当日受取にしていたので、ライブに行かなければ、チケット代だけがカードから引き落とされて、手元にはチケットすら残らないのです。それもちょっと悲しいので、やっぱりライブを観ようと、サザンプトンのホテルを予約しました。

それにしても、ELBOWのボーカル、ガイ・ガーヴェイ。あんな小デブで小汚い男(えらい言い方だ)のどこからあんなに美しい音楽が生まれてくるのでしょう?メランコリックなのに、硬質で実験的なELBOWの音楽は、実はあのコールド・プレイが大絶賛していて、彼らがアルバムを作る時はELBOWを聴き続けたそうなんですよっ。でも彼らみたいに売れないし、「第二のレディオ・ヘッド」と言われながら、そこまでカリスマになれなかったのは、彼らの音楽があまりにイングランドの地方都市的香りがぷんぷんしてるからなのか。


ELBOWは1枚目のアルバムをリリースした時に、サマソニ・フェスで来日していますが(その時のライブを観てファンになったのですが、)3枚目のニュー・アルバムをリリースした彼等の、久々に観たライブはどうだったかと言うと、かなり「ロック」な音楽に変わっていてました。あのガイがマイクを持って、客を煽りながら歌うなんて意外だ!(サマソニでは、終始椅子に座って淡々と演奏していましたから。)でも、これはこれで良いっ!

サザンプトンとロンドンの両日とも、3枚目のアルバムの曲がほとんどで、古いのは1枚目の「Powder Blue」や2枚目の「Switching Off」ぐらい?

アルバムよりかなりストレートで、激しく、「この曲はExperimental」と紹介して、ガイがドラム・スティックを叩き鳴らす新曲(かな?)は、ELBOWらしい緊張感があってカッコいい!ラストの「Forget myself」では、サビの「No I Know I won't forget you, but I forget myself if the city forgives me」で場内大合唱。

それにしても、ガイの北部なまりは、何を言ってるんだか全然分からない(苦笑)ガイが何か言うたびに、場内が爆笑しても、ついていけない・・・ただ、曲が終わるたびに「Are you still OK?(まだ平気?)」と観客に聞いているのには笑いました。そんなにELBOWのライブでは体調が悪くなるのか?


そんなELBOWのライブは比較的年齢層が高いのですが、サザンプトンの時、ステージ柵前の隅っこで観ていると、彼らの曲を全曲一緒に歌っている小学生くらいの男の子が隣にいて、びっくり。「その歳でELBOW!?渋過ぎないか!」と思ったものの、考えてみれば、私も小学生の頃ABBAが大好きで(歳がバレる)、アルバムを買いに行った時に、店員に「その歳でABBAを聴くの?えらいねぇ」と言われ、「好きな音楽聴くのに、エラいもへったくれも無いでしょ!?」と、とてもクソ生意気なことを思ったので、この子もそんな風に感じてるだろうな。

時々、両親が後ろの方から来ては様子を見ていましたが、その子はひとりで盛り上がり、ふと気がついたら、ちゃっかり柵の前に入り込んでいました。警備員も、「おまえが注意しろよ」「おまえが言えよ」なんて状態(苦笑)

そしてライブ終盤、ガイが柵前中央にいる観客と、「何て名前?」とか会話を始めたんですが、いきなり「よし!お前、ステージに上がれ!!」と引き上げられたのが、なんとその小学生!いつの間にそんな真ん中にまで!そして「これが君のだ」とドラムスティックを渡して、彼にパーカッションを担当させてしまいました。彼自身は堂々として、嬉しそうにELBOWへの飛び入り参加を楽しんでいましたが、それよりも両親の慌てっぷりが笑えました!客席後方からものすごい勢いで走ってきて、柵の前に入りこんで、携帯で息子の勇姿を撮影しまくっていましたよ。

そしてライブ終了後、この子はそこら中の大人たちから頭グリグリされてましたよ。

ロンドンでのライブはNME(イギリスの音楽新聞)が主催で、他にもいろんなバンドが出演していましたが、その中でLARRIKIN LOVEというバンドがメチャ良かった!まだ若いバンドでしたが、バイオリンをフューチャーしたカントリー・スカみたいな音楽で、とにかく楽しかったです。近々シングルが出るようなのでちょっと楽しみにしてます。