BBCドラマ「ロンドン・スパイ」ロケ地巡り in LONDON - part 1■MAY/2016
プロデューサーのツイッターより
こちらのページで→その魅力を目一杯解説したBBCドラマ「ロンドン・スパイ」。ロケ現場でのインタビューなどを読んでいると、やっぱりそこに行ってみたくなるのがファンの性。そんな訳でロンドン旅行のついでにロケ現場巡りに行ってきました!
イギリスでの放送の翌年5月、午前中は快晴だけど午後からは雨予報のイギリスらしい天気の日にダンナさんを連れて出掛けました。
まずは絶対に外せないMI6本部へ。姿を見せないスパイたちの象徴として度々登場するこの建物。映画007シリーズでは破壊されまくっていましたが、現実世界では健在!
MI6本部■MI6 Headquarters
二人のように川岸には降りれませんからね
London Spy 第1エピソードより / BBC
”シークレット”な組織なのにド派手な外観
MI6本部を目指して地下鉄ピムリコ駅(Pimlico Station)で降り、テムズ川に向かって歩いていると、突然、白バイ隊が交差点に現れ、交通規制を始めたのです(汗)えっ?何?何?まさか撮影?まさかテロ!?と焦っていると、要人を乗せたらしい黒塗りの車がスーッと通り過ぎ、すると「はい、ご協力ありがとう」とばかりに白バイもスーッと消えていきました。なんだよ!場所が場所だけに無駄にドキドキしちゃったじゃねえかっ!!
テムズ川の南岸に見えるアールデコ調というか、「レゴランド」とも呼ばれる派手なデザインが特徴のMI6。シークレット・サービスがこんな目立っていいのか?「盗聴してます」と言わんばかりに巨大なアンテナが何本もそびえているし。ウォーキング・ツアーらしき団体も「あれがMI6です!」なんて、すっかり観光名所のMI6本部でした。
ランベス橋■Lamberh Bridge
ランベス橋での出会い
London Spy 第1エピソードより / BBC
そこからテムズ川沿いに東に歩き、テート・ブリテン美術館を通り過ぎ、MI5本部(らしい)建物の前にあるのが、ダニーとアレックスが出会った橋であるランベス橋(Lamberh Bridge)です。
脚本を書いたトム・ロブ・スミスがデイリー・テレグラフ紙に寄せた文の中で、テムズ川にかかる橋の上で、どうして人生はこんなに生き辛いのかとロンドンの街並みに問いかけていた若い日の苦悩を綴っていましたが、その姿を重ねたドラマのオープニング、そしてダニーにとってその答えとなるはずだったアレックスとの出会い・・・なんて思いに浸るには、あまりに車が多すぎて騒がしいランベス橋。でも車に背を向ければ、古風な欄干とその向こうに見える国会議事堂、そしてテムズの流れはドラマと同じです。
この辺りか??
ダニーがアレックスを待っていた階段
そしてダニーがアレックスと再会したあの階段を探して、橋を行ったり来たり。階段はそれぞれの川岸で計4箇所にあるので、念のため全てをチェック。すると南岸の階段がまさにピッタリ!階段の横のトンネルも、脇の植え込みも、赤い電話ボックスも、アレックスの後ろのレンガの建物もまさにあのシーンそのもの!
しかもこの辺りは街の喧騒から隔たれたように静かでノンビリした時間が流れていて、うん、二人の再会のシーンにピッタリ。これで雨が降り出せばまさに再開シーンそのもの・・・なんて思っていたのに、「雨が降るといけないからそろそろ移動しようよ」とダンナさん。おいおいっ!?
アレックスとの再会
London Spy 第1エピソードより / BBC
天気が良ければ再会シーンのロケ地は散歩にうってつけ
アレックスの後ろに見えるのはランベス宮殿
London Spy第1エピソードより / BBC
天気が変わりやすいイギリスのドラマでは、カメラのアングルが変わるといきなり雨降りなんて事は良くありますが(「ドクター・フー」なんてアングルが変わると雪が降っていたことも)この再会のシーンほど出演者がズブ濡れなのも珍しい。むしろ「アレックスを待っていた感じが出て良いんじゃない?」なんて言って撮影決行したのかな??
ちょっと寄り道
そして最後に訪れたかったロケ現場はダニーのアパート。インタビューを読んでも場所がわからず、それでもあえてネットで検索もせず、自分で探すことにしました。手掛かりはアパートの前にある鉄道の高架。とりあえすランベス橋近くの高架沿いを覗いてみると、この辺りは倉庫街で、ダニーのアパートの雰囲気とはちょっと違う。
おまけ:ブリクストンの駅近くにはこれがあります
この日はロンドンに住む友人とランチの約束をしていたので一時中断。約束のブリクストン地区(Brixton)へ向かうバスの中からも、時折窓の外に見える高架周りを観察しても、ダニーのアパートがありそうな雰囲気がしない。うーん、どこなんだろう。
ランベスから南西にある隣町のブリクストンはアフリカ系移民が非常に多く、はっきり言えば以前はとても治安が悪かった地区。ライブを観に行くと、駅までの帰り道を騎馬警官隊がズラリと取り囲んでいるような、そんな街でしたが、今回、友人が連れて行ってくれた駅近くのブリクストン・マーケットではナチュラル系雑貨屋や多国籍なレストランが立ち並び、すっかりオシャレな雰囲気に変わっていました。
そこで美味しいランチとワインをいただいて、ひとしきりおしゃべりした後、「これからどうする?」と尋ねる友人に「実はね・・・」と、ロケ巡りの事を話すと、
「ベン・ウィショー?『パフューム』(映画)に出演していた子でしょ?いいよ!行くよ!付き合うよ!」
と、いう訳でロケ現場探しを再開!
ダニーのアパート■Danny's Flat
ファンならここは行きたいでしょ??
London Spy 第1エピソードより / BBC
ダニーのアパートを探す手がかりは、ドラマの設定上ではヴォクソール地区(Vauxhall)だということぐらい・・・とはいえ、「ロンドン・スパイ」にそれほど興味もない二人をあちこち連れまわすのも申し訳ないので、今日はヴォクソール駅周辺をちょっとだけ探して終わろうかな。
ヴォクソール地区はテムズ川沿いでブリクストン地区のすぐ隣。3人でバスに乗り込み、またひとしきりおしゃべりしていると、あれっ??今、通り過ぎた建物がダニーのアパートにそっくり!?
ヴォクソール駅でバスを降りると、急いで来た道を戻りました。高架をくぐり、交差点を渡ると、うわぁ!あったぁ!やっぱりダニーのアパートだっ!! 朱色のレンガに青色のドア、玄関前から見える高架の風景も、向かいの建物もドラマそのまま!「ほらほら、ここだよね?」「うんうん!」と、無理やり友人に第1エピソードの映像を見せて確認。こんなに簡単に見つかるとはね(苦笑)
見つけましたっ!
ドラマの中では交通量の多い通りに面しているように見えますが、実際は三叉路の脇道沿いに建っているので意外と静かな佇まいで、建物の中も人が住んでいるのかどうか分からない程、生活感が無く、ダニーの騒がしくて雑然とした部屋のイメージからはかけ離れたところでした。
ほらほら、ドア上のプレートも一緒でしょ? / BBC
ところが、突然現れた親子連れが、このドアの前で記念写真を撮影しはじめたのです!えっ?この見るからに小学生ぐらいの息子さんには「ロンドン・スパイ」は早過ぎないですか?お父さん!?と、焦ったものの、ドアノブを握ってポーズを取ったりと、めちゃめちゃ楽しそうな二人。「ロンドン・スパイ」のファン・・・ではないみたい。この玄関は他の映画かドラマでも使われているみたいですね。
これがMI6の裏側?表側?
そんな感じでダニーのアパートを見つけて、大満足して駅に戻ってきてビックリ!駅前にあるのはあのMI6本部じゃないですか!さっきはそれどころじゃなかったから全然気づかなかったよ(苦笑)ダニーのアパートのロケ地は、ドラマと同様、MI6本部のすぐ目と鼻の先だったんですね。
ドラマを見直すと、この裏側(正面側?)の角度からもこの建物が何度も登場しているのに気づきましたが、映画などでこちら側を観る事ってなかなか無いよね?そんな裏側(表側?)を偶然見る事ができて、ちょっとだけ得した気分でした。
こんな大雨の中だったのね(笑) / BBC
余談ですが、007シリーズの監督サム・メンデスはこのMI6内部での撮影を何度も断られているそうですが(当然な気もしますが・・・)しかしここで職員向けに「スペクター」の上映会が行われた時、なぜかベン・ウィショーがプレゼンテーターとして招待されて、この建物の中に潜入できたのだとか。今やイギリスの国家機関の中でもトップ・クラスのLGBTフレンドリーな機関と言われる英国諜報部なので、やっぱり「我らがベン・ウィショーを呼ぼうぜっ!!」なんて気分だったのか??
と、こんな感じの「ロンドン・スパイ」ロケ現場巡り。ハムステッド・ヒースとか他にも行きたい所はありましたが、今回はここまで。
最近では「聖地巡礼」なんて言われたりもしますが、聖地とまでは言わなくても、ドラマが撮影された時の現場の空気を感じ、普段の旅行では訪れないような街に行ったり、そして自分で現場を見つけ出した時の嬉しさは格別っ。ロンドンを訪れた際にはぜひ行ってみて下さい!