アラビアのロレンス 回顧展 & 足跡を巡る旅 in UK Feb/2006

"Lawrence of Arabia : the life, the legend" at Imperial War Museum London / part 1

渡英前、友人に「『アラビアのロレンス展』なんて、ロンドンまで行かなくても、三越でやりそうじゃないの？」と、言われました。なんで三越なのよ！？（苦笑）

今回の回顧展「LAWRENCE of ARABIA; the Life, the Legend」の会場は、ロンドンのテムズ川南岸、エレファント＆キャッスル駅近くにあるインペリアル・ウォー・ミュージアム（Imperial War Museum）です。でも、この地域はあまり観光客がウロウロするような所ではない（あまり治安が良いとは言えない）ので、地下鉄駅を出たら、何処にも寄らずに一目散に博物館へ。

Imperial War Museum

博物館の大きな門を入ると、いきなり目の前に巨大な大砲！そして建物に入っても、戦闘機や戦車が所狭しと並んでいて、「そうかぁ、ロレンスって、軍人なんだよねぇ」と、今更ながら実感しました。

博物館への入場は無料ですが、ロレンス展は7ポンド（約1400円）のチケットを買い、そして無料の音声ガイドを借りて、いざ3階の会場へ！

古めかしい外観とは裏腹に、中はとてもシンプルモダンな博物館で、ロレンス展も照明を落とし気味にした、美術館のように美しいレイアウトで、非常に落ち着いた雰囲気でした。これは三越では味あえないね。

そんな居心地よい雰囲気のせいなのか、結局、ロンドン滞在中に3回も通ってしまいました（苦笑）しかも開場の10時と同時に入ったのに、気がつけば夕方の4時を過ぎていて、昼食も忘れ、トイレもいかず、6時間もロレンスに没頭する自分にさすがに呆れました。この集中力をもうすこし他のことに発揮できないのかっ！

そのせいか、すでに2回目で係員に「ハロー・・・アゲイン！」と挨拶され、「日本の方ですか？ロレンスがとても好きなんですね」とか、「この回顧展はどう？グッド?」なんて、他の係員たちからもやたらと話しかけられ、こんなに居座る東洋人が物珍しいのか・・・？

そんな、入ったら１日は出てこられない魔界の世界（？）のロレンス展をご紹介っ！

LAWRENCE of ARABIA; the Life, the Legend

と、思ったら、いきなり入口の白い壁に、新聞の抜粋記事が書かれていて、まずそこで足止めされます。それは、イラク戦争の時、米・英軍は兵士達にロレンスの「27ヶ条」を読ませたという記事でした。

「27ヶ条」とは、アラブ民族との接し方について、ロレンスが当時の英国軍のために書いた手引書で、今でも中東へ赴任する外交官や軍隊の間で読まれているそうですが、イラク戦争の時にも利用されたとそこで初めて知りました。

ロレンスの知識が現代でも生きているというエピソードなんですが、しかしこれはあくまでアラブ民族の中に溶け込むためのマニュアルであって、アラブと戦うためのものじゃなかったはず・・・。でも、ブッシュ大統領に言わせれば、あの戦争は「イラクの自由」のため。では「アラブ民族の独立」を説きながら、英国軍として戦ったロレンスとの違いは？？う〜ん、いきなり入口で考え込んでしまいました。

入口からこんな調子で、この後、私の脳みそにロレンスが理解できるのか？？と、不安になりつつも、改めてロレンス展へ、GOっ！

と、気を取り直して中に入ると、いきなりロレンス像が横たわっていて、ちょっとビックリ！それは、エリック・ケニントンが制作した彫刻のレプリカでした。ロレンスの死後に友人のケニントンが彫ったほぼ等身大のロレンス像で、本物はウェアハムという村の教会にあります（実物を見に行くのはこの後で。）

これは教会にある実物のロレンス像

そして壁にかけられた写真は、死の三ヶ月前のロレンス、「T.E.ショー」、 「ジョン・ヒューム・ロス」、ロレンス中佐、カイロ時代、ハイ・スクール時代、「ネッド」と時間をさかのぼり、そしてロレンス誕生へと、訪れた人を導いていきます（なんでこんなにいろんな名前が？その謎はこの先で明らかとなります、って、そんな大げさなもんでもありませんが（笑））