Everything Everything at London Alexandra Palace ■ 10/March/2018

2007年にマンチェスターで結成されたヘンテコ・エレクトリック・アート・バンドのEverything Everything。2010年に彼らのライブをイギリスで観た時には(その時のライブの話はこちらで→)、ロックでカッコいいのにどう形容していいんだか分からない変態っぷりと、ボーカルのジョナサンのファルセット・ボイスがクセになる彼らの音楽にハマってしまいました。その後、彼らはイギリスでは数々の音楽賞を取りながらも、イマイチ日本では盛り上がらないままでしたが、今回、8年ぶりに彼らのライブを観てきました!


Everything Everything in Alexandra Palace

そして会場は、北ロンドンの小高い丘の上にある、ランドマーク的存在の歴史的建物、アレキサンドラ・パレス(Alexandra Palace)。通称アリ・パリ(Ally Pally)と呼ばれるこの建物は、ビクトリア時代に庶民のレジャー施設、庶民の”パレス”として建てられ、今でもライブからイベントまで色々な催しがあり、ロンドンっ子たちに親しまれています。

親しまれていると言っても、北ロンドンの丘の上なので、中心地からは地下鉄とバスを乗り継がなければならず、ちょっと不便。でも東ロンドンからはナショナル・レイルを使えば近くのアレキサンドラ・パレス駅まで簡単に行けます。

ライブ当日、Highbury & Islington駅でナショナル・レイルに乗ると、通勤時間帯なのでそこそこ混雑していましたが、なぜかその中で(こんな時間から)ホロ酔い気分な「パリピ」な若い子たちが列車の中でも盛り上がっていて、かなりうるさい・・・。「金曜日だからどこかのクラブに行くのかな?」「これ、郊外へ向かう列車だよ?」「・・・まさか、Everything Everything!?」

いやいや!だって、あんなヘンな音楽だよ??「パリピ」な子たちが聴く音楽かぁ??・・・なんてEverything Everythingをいまだにインディーズ・バンドと思っていた私の感覚は覆されました。まさか、このパリピな子供たちが全員アレキサンドラ・パレス駅で降りていくなんて!!

坂を登って、セキュリティのボティ・チェックを受け(前日に同じ会場で観たモリッシーの時に、バッグ類を持ち込めないと言われたので、今日は手ぶら)既にサポート・バンドのライブがスタートしていたホールへと急ぎました。

でも、ジャーマン風エレクトロニック・ポップだったこのサポート・バンドはあんまり面白くなかったのでガッカリ。

エントランス・ホールにある熱帯樹の小さなインドア・ガーデンや、レンガ作りの高い天井がビクトリア時代の歴史を感じさせるアリ・パリ。そこにはいくつもの屋台が並んでいて、大勢の観客がビールを飲んだり、ハンバーガーを頬張ったりして、賑わっていました。中央には人工芝の休憩スペースまで用意されて、なんだかちょっとしたフェスティバルみたいな雰囲気だなぁ、と思っていたら、いきなりこのエントランス・ホールにもバンドが登場!突然のロマ楽団風のノリの良い演奏に、そこにいた観客が盛り上がってました。

すると今度はメインのステージでも2番目のサポート・バンドの演奏が始まり、今日は冬のEverything Everythingフェスティバルだったのか!・・・でも、このサポート・バンドも印象に残らなかったけど(苦笑)

そして遂にメインに登場したEverything Everything!赤いコートをはためかせて、ボーカルのジョナサンが、クルクル回るは、観客を煽るわ。こんなにステージ・アクションが激しかったとは!歌って踊れるポッチャリさんだったのか!(笑)8年前に観た時は、キーボードとギターの中に埋もれて、そこで黙々と演奏してたのに。


歌って踊れるポッチャリさん(笑)

最近2作のアルバムからの曲をメインにした構成ですが、最新アルバム「A FEVER DREAM」がシンセ・オーケストラ的な雰囲気が強かったので、ライブもそんな感じになるのかと思いきや、これが意外なほどにギター・バンド色が強くて、観客は大盛り上がり。Everything Everythingはアルバムでは音作りに凝って、ライブではノリ重視??でも、彼らの持ち味のダイナミックさは損なわれず、アレキサンドラ・パレスの空間が、Everything Everythingの音に満たされて、気持ち良い!

そして観客は大合唱。でも1万人が「Cough Cough(ゴホン!ゴホン!)」だとか「Regret! Regret!(後悔!後悔!)」なんて歌ってるのも、ヘン過ぎ(苦笑)

と、Everything Everythingの音の世界を満喫していたのですが、目の前で全曲セクシーダンスを踊り続けるおネエちゃん(と、彼女にちょっかいをかける隣のオッさん)に視界を邪魔され続ける(苦笑)Everything Everythingのスローな曲でも、腰をくねらせてセクシーダンスが踊れる、このセンスが怖いわ!

彼女の友人(身長180cmぐらい)がそこに潜り込んできた時点で、「こりゃダメだ」と、ちょっと後ろに場所を移動しました。ところが、そのあたりの少し空いたスペースは「サタディ・ナイト・フィーバー」ばりのダンス・フロアに!(笑)

「ここもダメだ」と、そこからも少し離れたら、今度は目の前で踊るゲイ・カップルが邪魔・・・。クルーカット&Gジャン姿のニイちゃんがディスコ調なノリで誘っているんだけれど、スキンヘッズ&Gジャンなお相手は照れながら控えめに横揺れ。微笑ましいんだけど、何にしても君たちの動き回る頭が邪魔(苦笑)

と、場所を移動しつつ観た久々のEverything Everything。しかし、踊りまくり、歌いまくる観客たちの中で、彼らのポップ・センスや70's ディスコ・ミュージック感覚にようやく気がつきました。いつまでもアート・ロックなインディーズ・バンドだなんて思っていちゃダメだね。ライブというのはバンドの生身の姿が見えてくる。だからライブは楽しい!

そしてラストは渦巻いていく様な高揚感が圧巻の「Ivory Tower」!気持ち良いなぁ。


ネットで使われそうな「いかにも」なライブ写真(笑)
いえいえ、Everything Everythingですよ

アンコールに答えてのラストはちょっと意外だった「No Reptiles」。しかし、これも意外な観客の大合唱!

「Oh baby it's alright, it's alright to feel like a fat child in a pushchair / Old enough to run / Old enough to fire a gun.(ベイベー、ベビーカーに押し込まれたデブの子供みたいな気分になっても気にしないで/逃げ出すには充分な年齢/銃をブッ放すには充分な年齢)」なんてリフを1万人が大合唱。ヘン過ぎでしょ、やっぱり!?(笑)

こんなEverything Everythingのライブが終わったのは11時近く。アレキサンドラ・パレス駅に向かう人たちは、終電が気になってちょっと速足。しかしどこからか「Oh, Baby, it's alright・・」と聴こえてくると、皆が一緒に歌い出し、駅に着くまでの時間、ずっと合唱の連続。

でも、その歌詞に続く次のリフを歌いだす人はいなくて、ずーっと、「Oh Baby, it's alright・・」と歌いたい続けているのです。私も次のリフは歌詞が聞き取れなくて覚えてないんだよね・・・はっ!まさか、イギリス人の君達も聞き取れていないのか!?実はイギリス人の英語聞き取り能力は私並みなのかもしれません(笑)

と、こんな大合唱の中で思い出したのが、もっともっと大昔(苦笑)このアリ・パリでThe Stone Rosesを観た時の事。一大ハウス・パーティと化したライブで、シラフで頭真っ白になるまで踊りまくった帰り道、たどり着いた地下鉄駅でチップスを買おうと列に並んでいると、前のおニイちゃんが呟くような小さな声で「Sally Cinnamon」を歌っているのが聞こえてきて、そんな映画のワン・シーンのような瞬間も、うるさいほどの大合唱も、イギリスのバンドをイギリスで観てこそ味わえるライブの余韻なのです。

ところでEverything Everythingのライブがディスコになるとは意外でしたが、もうひとつ意外だったのは、観客にゲイ・カップルが多かった事。以前、ロンドンで観たHurtsのライブでゲイ・カップルが多かったのはなんとなく理解できるけど、なぜEverything Everythingが??メンバーの誰かがカミング・アウトしてる??ジョナサンのファルセット・ボイスに魅せられた??うちのダンナに疑問をぶつけると、「そりゃあブロンスキー・ビートみたいだからでしょ」それはちょっと違うような気がするぞ?!しかもネタが古過ぎ(苦笑)