THE ELEVENTH HOUR - ラグディマン、グッナイ!!part 1
2013年のクリスマスの夜、11thドクターが遂にリジェネレーションしました。
私が初めて「ドクター・フー」を観たのは10thドクター。そんなニワカなファンとはいえ、完璧とも言えるデヴィッド・テナント演じるドクターの後なんて想像できず、10thのリジェネレーションのシーンも「えっ!?こんなアゴ男(以下自粛)」なんて印象でした。スティーブン・モファット脚本のエピソードが大好きだったとはいえ、正直なかなか11thドクターのシリーズを観る決心がつきませんでした。
それが今では「My Doctor?もっちろんマット・スミスっ!!」と胸を張って言えるほどのハマりっぷり(苦笑)こんなサイトまで立ち上げ、この中でレポートしている「ドクター・フー」のファン・イベントの為にイギリスにまで行ったのも、11thドクターだったからこそ。
てな訳で、なんでここまで11thドクターの虜になっちゃったのか、最後にちょっとばかり考えてみました。
BOWTIES ARE COOL !!
The Big Bang / BBC
11thドクターといえば?
ボウタイがクール!!フェズ(トルコ帽)もクール!!
フィッシュ・フィンガー&カスタードが大好き!!
ジャミー・ドッジャーズ(ジャム・クッキー)も大好き!!
ジェロニモーっ!!
でもツイッターは大嫌い。
9thと違ってダンスが得意。子供達と一緒にThe Drunken Giraffe(酔っぱらいキリン)を踊っちゃう。
ターディスの中を駆け回り、相手かまわずキスするくせに、女性からキスされるとオロオロになっちゃう。
ヒーローらしくクールだった10thに比べると、自分はクールだと思い込んでる割にはかなりピントが外れたドクターでした。
I'M A DEFINITELY A MADMAN WITH A BOX !
このピント外れな11thドクターを演じたのがマット・スミス。
当時26歳でほとんど無名な俳優だった彼がオーディション会場に現れた時、新たにこのドラマの総合プロデューサーを引き受けた脚本家スティーブン・モファットは、彼こそがこれまでにない新しいドクターになると直感、「ドクターを演じるには若すぎる!」と反対する関係者達を抑え、彼を11thドクターに起用しました。
往年のファンからも不安視され、当のマット・スミスですら決定の知らせを受けて「どうしよう!どうしよう!」とロンドンの街をウロウロしてしまったとか(笑)おまけにドクター役が決まってから初めて「ドクター・フー」を観たという、そんな彼が創りだしたのは「MADMAN」という言葉がピッタリなドクターでした。
マイナス点と思われていた「若さ」を逆手にとって、好奇心旺盛で落ち着きがなく、コミカルだけど感情の抑制が効かない子供のようなドクターを全身で表現したマット・スミス。「『ドクター・フー』を子供達の手に戻したかった」とスティーブン・モファットが望んでいたように、子供達と同レベル(笑)な11thドクターは子供達に最も人気があったドクターと言われ、そんな彼だからこそ子供達が描いた絵に囲まれてリジェネレーションの時を迎えました。
それでいて、単に能天気でガキっぽいドクターにならなかったのは、ヒーローよりもむしろ悪役が似合いそうなマット・スミスが持つダークな表情・・・えっ?だって11thドクターが決定した時、最初に見た写真がコレですよっ!→
どんなアンチ・ヒーロー的なドクターになるのかと焦りましたよ!なのに蓋を開けたら、あんなお笑い系ドクターになるとはね(笑)
ともかく
11thドクターが持つ影の表情は、彼の軽さの裏にある何かを感じさせてくれるのです。故郷のギャリフレイを消滅させたドクターですが、その事実を後悔するのは10th、そして自分の名前と共に忘れ去ろうとしたのが11thでした。そんな11thを表現できたのは、時折狂気すらはらんだような表情を持つマット・スミスだからこそ。
「10thの世界は太陽、11thは月」と以前に書きましたが、太陽と違って月光は光と闇を際立たせます。光は夜を優しく明るく照らしますが、その分だけ闇は一段と濃くなり、そこには恐怖や孤独が潜んでいます。ドクターが持つ光と影、彼のルナティックな二面性を浮き上がらせたのがマット・スミス演じる11thドクターでした。