マット・スミスの出演作を観てみようっ!part 4

CHRISTOPHER AND HIS KIND(2011) ★★★☆☆


上流階級なんだけど演技はドクター(苦笑) / CHRISTOPHER AND HIS KIND

「ドクター・フー」のオフ期間に制作されたBBCの単発ドラマで、ドクター以降で、マット初のドラマ出演で注目されました。

ミュージカル「キャバレー」のモデルとなった小説「Sally Bowles」の著者、ゲイのイギリス人作家クリストファー・イシャーウッドを演じています。

1930年代のベルリンでの日々を描いた同名の自伝が原作で、イギリスの上流階級社会から逃れたクリストファーのベルリンでの自由な生活と友情、男性達との恋愛、そして自由なベルリンを押し殺していくナチズムの台頭が描かれています。

20世紀初頭のクラシカルな雰囲気と美しい映像で、「モーリス」や「アナザーカントリー」直系とでも言いましょうか、この手の英国美青年耽美系ゲイ物がお好きな方にはたまらない作品となっておりますが・・・ただストーリーとしてはやや表面的というか、もう少し深みが欲しかったような。


このシーンはさすがにドイツでは撮影できなかったとか / CHRISTOPHER AND HIS KIND

役作りのために、クリストファーの恋人が現在も住むアメリカまでマットは会いに行き、これまでのマットとは違う、インテリで(おいっ!)上品で(おいおいっ!)いつも背筋が伸びた英国の上流階級出身者を演じています。そして男性とのとっても激しいベッド・シーンにも挑んでいますが、でも「ドクター・フー」と同じBBCウェールズ制作なのに、ドクターであるマットの全裸は禁止との指令がBBCから下ったそうで、チッ!よけいな事を(笑)

ともかくマットとしては非常にチャレンジな作品であり、ファンとしてもぜひ押さえておきたい作品ですね。そしてマットがインタビューでこのドラマを機に、彼の小説をぜひ読んでほしいと語っていましたが・・・う〜ん、日本語に訳されているものがないんですよねぇ。とりあえず映画「シングルマン」でも観ます?


これがUK盤。買うなら絶対こっち!! / Amazon.UKより拝借

もしDVDを購入されるならリージョン・コードが違いますが、ぜひUK盤を。US盤とジャケットが全然違いますので。

ちなみにクリストファーのオカマなお隣さんジェラルド・ハミルトンを演じるトビー・ジョーンズとは「ドクター・フー」第6シリーズの「AMY'S CHOICE」で再共演しています。

それにしても・・・このドラマの中で、クリストファーのお母さんが彼に「あなたにはドクターになって欲しいのよ」というセリフはウケ狙いなんだろうか(苦笑)「お母さん、彼はもうドクターですからっ!」って、思わず突っ込んじゃうよね。


こんなシーンどころじゃ済みませんぜ(苦笑) / CHRISTOPHER AND HIS KIND

BERT AND DICKIE(2012) ★★★★☆

2012年のロンドン・オリンピックを盛り上げようとBBCが制作した単発のスポーツ・ドラマです。こちらも「ドクター・フー」のオフシーズンに撮影されました。


BERT AND DICKIE

第2次世界大戦直後の1948年ロンドン・オリンピックで、ボート競技で金メダルを獲ったバート・ブッシュネルとディッキー・バーネルの実話を元にしたドラマ。マット演じるバートは、突然シングルからダブルスでのオリンピック出場を命じられるアマチュアのボート選手です。

ディッキー選手と突然ダブルスを組まされることになるバート。上流階級と労働者階級、育った環境が違う2人は、スポーツに対する考え方の違いなどから度々衝突し、そして互いにプライベートでは父親との確執を抱える。それでもボートを通じてお互いを理解していく2人の姿が、奥行きのある美しい映像の中で描かれ、いかにもBBC的な優等生ドラマな感じはありますが、それでも素直に感動しちゃう作品です。決勝戦を前に、バートが言う「親父も何も関係ない。俺とお前なんだよ。それに俺たちは最高のチームなんだろ?」なんてセリフに思わず涙が・・・。


映画のように美しい映像 / BERT AND DICKIE

オリンピックの試合会場にバートが自転車で通う、スポーツが商業主義にまみれる以前のそんな純粋な時代の中で、やっぱりヤンチャなんだけど普段よりはエキセントリックさが抑えめな演技のマットがその時代の空気によく合っていて、ファンにはぜひ観て欲しい作品です。ガニ股がすごく目立つ作品ですけどね(苦笑)おまけに金メダリストのくせに上半身が貧弱(苦笑)

とは言え、なぜかこのドラマはイギリスではDVD化されませんでした(当初はAmazon UKでも予約を受け付けていたのに・・・。)イギリスのiTunesからダウンロード購入することができますが、日本からは裏技が必要です(おまけに英語字幕がついてません。)でも、アメリカでは「GOING FOR GOLD」のタイトルでDVD化されていて、こちらはAmazon.USから購入可能ですよ。


クラシカルなファッションのマット / BERT AND DICKIE

CARGESE(2013)

こちらはマットが初監督したドラマ。でもマット自身は出演していません。


CARGESE / The Telegraphから拝借

イギリスの衛星TV局「SKY ARTS 1」の独自企画ドラマ・シリーズ「PLAYHOUSE PRESENTS」。その第2シリーズ8話目として放送された30分の短編ドラマです。

舞台で多くの賞を受賞しているパンクな脚本家サイモン・スティーブンスによる脚本で、SKY ARTSによると「詩的なリアリズム」と表現されたこのドラマは、行き場のない2人の10代の若者の物語を美しく演劇的な映像で描いています・・・と、イギリスのTV評ではかなり高評価のこのドラマ。しかし残念ながらこのTVシリーズはDVD化がなく、ネット上で観る事もできません。


詩的な映像のCARGESE / Radiotimesから拝借

かろうじて見つけたのがvimeoにアップされていた5分の映像<こちらをクリック→>かなり凝った構図や色彩で、とても芸術性の高いドラマで、マット・スミスは「新しいスタンリー・キューブリックになりたい」とインタビューで語っていましたが、そんな片鱗が垣間見える作品です・・・けどっ、ともかくフル・バージョンが観たいですよねぇ(涙)

それにしても俳優としてのマットはハリウッド志向が強いのに、この作品での映像や舞台はかなりインディーズな志向。この落差の激しさについていくのが大変(苦笑)


やらせのようなポーズをとるマット監督 / Radiotimesから拝借
<<前のページへ|マット・スミスの出演作を観てみようっ! | Part 5へ>>